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想い人に届かないメロディーを
「俺のこと、好きじゃないの?」
そう聞かれて、私は何も答えることが出来なかった。何も考えずに好きだと言えたらいいのに、何かが喉につっかえて声が出ない。
「もういいよ」
俺たち、別れようと言われて、彼は部屋を出ていった。
何も感じない私はおかしいのだろうか?
でも、この答えは簡単。
「私はきっと貴方のこと、そんなに好きじゃなかった」
じゃ何故付き合ったのか?
この答えも簡単だ。付き合ってほしいと言われたから付き合った。ただそれだけ。だって、自分の好きな人が自分のことを好きになる確率なんてそんなに高くないのだから。
私は気分転換に部屋にあるピアノを弾く。この時だけは自分に素直になれる気がした。自由にメロディーを奏でていく。
私は本当に好きな人を想って、このメロディーを奏でることしか出来ない。
きっと届くことのないメロディーを。
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