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コロナと息子と30日間 #呑みながら書きました

それは突然の電話から始まった。

保育園「もしもし、こんばんわ。〇〇さん、お時間よろしいですか?お話がありまして…」
わたし「こんばんわ。はい、大丈夫です」
保育園「実は〇〇くん、本日濃厚接触者として認定されました。つきましては…」
わたし「え?」
保育園「濃厚接触者だと判明しまして…」
わたし「へ?」
保育園「あ、あの〜」

そうそう、人間驚くと、もう語彙力とか思考力とか皆無になるんだと身をもって体験した今年の夏の終わりの出来事を書こう、書こうと思っていたら年末になってしまった。

忘れもしない9月。
息子、0歳9ヶ月。
コロナ濃厚接触者、そして後にコロナ陽性者になってしまった。

電話が終わって少し語彙力が戻ってきた時のわたしの頭の中は、それはそれは忙しかった。
"いやいや、子どもはコロナにならない、コロナになりにくいってニュースとかで言っていませんでしたっけ?あれは嘘だったの?嘘だと言って?あ、濃厚接触者じゃなかったって言って?というか、本当にうちの息子なの?嘘だと言って?そしたら、何もかも許すから!"

うーん。
いや、やっぱり語彙力は戻っていなかったかもしれない。

とにかく、速攻で夫に直電するものの、仕事中はなかなか出れないので、LINEで単刀直入に「SOS!息子、濃厚接触者!」的なことを入れたら、すぐに折り返しの電話がきた。冷静な夫の電話で語彙力と思考力を取り戻したナイスタイミングに、今度は保健所から電話がかかってきた。

保健所からは改めて濃厚接触者になったこと、判明した経緯は個人情報保護の観点から説明は一切されなかったものの、濃厚接触日は8日以上も前だという事実をそこで知った。
息子は濃厚接触日の翌日には鼻水を出していたので、かかりつけのクリニックへ行き、そこでは風邪として薬と処方されて飲んでいた。
コロナと風邪は見分けはつかないけれど、濃厚接触者として8日間も保育園や近所の公園などには行っていたし、家ではマスクをしていないし、仕事だって普通に行っていた期間にもし本当はコロナだったとしたら、取り返しがつかない…と青ざめていたら、即日ドライブスルー式PCR検査を受けた息子がコロナ陽性者と判明した。その電話もまた突然だったし、当然ながら、またわたしは語彙力を失って、保健所の担当に3度ほどパードン?と繰り返した。

話は戻るが、ドライブスルー式PCR検査はまるで非日常のひと時だった。
車で指定の場所へ行き、広い駐車場のようなスペースに小さな待機スペースから全身ブルーの防護服とゴーグルと手袋をした3人の男女の医者のような人が出てきた。夫は運転席、わたしと息子は後部座席に座ったまま、窓を開けて名前の確認などを行った。確認後にチャイルドシートに座っている息子のところへ男性が向かうと、キョトンとした表情の息子に長い検査棒を鼻の中に入れてきた。「うぎゃー!」と号泣する息子の両腕を抑えるものの、息子の腕には力が入っていなかった。きっと怖い&痛いで、振り払えないんだろうと感じた。時間にしては数秒なのに、なんとも長く感じた。検査が終わって、そのまま車を走らせたが、息子は切り替えが早いタイプで泣いても割りと早めに泣き止むタイプなのに、しばらく泣いていた。
「オモチちゃん(息子)、もう大丈夫だよ〜もう検査終わったよ〜。あ、ほら、おやつ食べる?あ、おもちゃいっぱい買っちゃおうかな〜」とわたしが言うと、「それ、1番やっちゃダメなパターンだから」と冷静な夫。

そんなPCR検査からまもなく、コロナ陽性者と判明した我が家へ速攻で電話がかかってきた。その後様々な確認事項を電話と、エクセルシートに記入してメールでの送付するなど、数日間は慌ただしかった。この時点で自動的に家族全員濃厚接触者確定。わたし、夫も外出NG。8日間の間に息子と接触した可能性のある人にもその後連絡がいった様だった。

あの当時、とても恐ろしく感じていたのはデルタ株の感染力の脅威と急な体調悪化だった。今は息子は鼻水だけだけど、もしかしたら高熱が出たり咳が出てくるんじゃないかと、陽性者認定された日から毎日怯えていた。
一方で、息子自身は自宅で高速ハイハイをして、床や壁、家電家具に鼻水を撒き散らして過ごしていた。止めどない鼻水との戦いと消毒の嵐で、休む間もなかった。

その後、わたしと夫は唾液検査キットが郵送で届いたのはコロナ陽性者認定から2日後のことだった。当時はどこも保健所がパンクしていたし、ドライブスルー式は多分息子が小さかったから、急ぎで検査対応だったのだろう。

それにしても、この唾液検査キットもなかなか苦行だった。
唾液って意識すると全然出てこない。何かいい方法はないだろうかと調べたところ、「酸っぱいもの」を思い浮かべることだった。
早速Youtubeで「PCR検査、酸っぱい」で検索したところ、レモンや梅干しの動画があったので、見ながら唾液を溜めては容器に少しずつ移していったものの、半分ほどの量でレモンと梅干しを見てももう何も感じなくなってしまった。豊かな想像力も限界を迎えていたので、途中で「猫、おもしろ」に切り替えた。
無事に規定量に達した唾液検査キット一式を夫がすぐ車で保健所へ届けに向かった。息子の濃厚接触日の数日後には喉の痛みと鼻水の症状が既に出ていたので、やはり検査結果が出るまでは緊張感があった。

それから5日後サポートセンターから救援物資が段ボール2つと2ℓのペットボトル6本入りの段ボール1つが届いた。幼児用のものはなかったけれど、水とすぐ食べられるもの、おやつなどはとても助かった。


サトウのごはん、久々に食べたら美味しくてビックリした
たっぷりシリーズは本当にたっぷりだった
ビスコが進化してて、美味しすぎた

さらに、ようやくPCR検査結果の知らせがあり、息子以外の家族全員の検査結果は陰性で一安心した。

息子は、その後変わらず大量の鼻水を撒き散らしていたものの、体調の変化はないまま10日間と2週間の自宅健康観察が続いた。毎日保健所から息子の体調確認があり、何か不明点などあれば、そこで随時聞くことができた。フォローが行き渡っていたので、不安は大きいものの、どん底の底まで落ち込むことはなかった。サポートセンターからの届いた段ボールにはメンタルケアの情報などもあったので、自宅隔離で心を病む人はかなり多いのではないかと感じた。

息子の健康観察期間が終わり、保健所からの毎日の確認連絡が終わってからも完全に出られる様になるまではさらに2週間自宅隔離が続いた。結局約1ヶ月以上もの時間を自宅で過ごすことになった。

息子の体調は気付ければ鼻水もなくなり、元の元気いっぱいの健康体に戻ったものの、どちらかと言えば育児で疲労困憊になり、後半の2週間は追い込まれていった。また仕事にも出られず、現場仕事の仕事ができない状態が長期間続いたことでメンタル悪化に拍車をかけた。さらにクライアントさんに事情を電話で説明することや、謝罪する機会も多かったことも一層落ち込む要因に繋がった。

通っている保育園では8月にはクラスターが発生して臨時休園が何度か続いていた。子どももコロナに感染するという状況を目の当たりにしても、実際に息子がコロナ陽性になるとは微塵も思っていなかった。コロナになって、体調悪化もなく無事に回復したことは何よりも嬉しいことだけれど、心のダメージは予想以上に大きかった。メンタルケアはその後隔離が終わってから、約1ヶ月経った頃には元の状態に戻ったものの、身体と心の疲労回復はやはり時間がかかるものだと改めて感じた。

デルタの次はオミクロン。
備えあれば憂なし、とはとても言えない未知数だらけの感染症。
もう2度とあんな体験はしたくないが、改めて隔離になった際に家に必要なものや、メンタルケアをどうするか改めて考えておきたい。

世界中でまだまだ猛威を奮っているコロナ、どうか早くおさまりますように。






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