イギリスの高位公職者・聖職者の呼び方、敬称のつけ方

イギリスには王族や貴族のほかに、彼らを支える高位公職者や聖職者などがいます。彼らの呼び方 (form of address) 敬称 (style) のつけ方についてみていきましょう。

※アメリカのは以下をどうぞ。

枢密顧問官

枢密院 (Privy Council) とは、昔ながらのイギリスの行政政体で、君主が主宰するものです。枢密院は多くの機能を行使していますが、その中のいくつかは議会法によって委任されており、立法、行政、司法のいずれかの機能を持っています。

枢密院のメンバー(枢密顧問官。privy councillorという単語も使われるが、枢密院はcounsellorという綴りを好む)は終身制で、「Right Honourable」という敬称がつきます。略して「Rt Hon」となります。

枢密顧問官は、王室、カンタベリー大主教、ヨーク大主教、ロンドン大主教、ロンドン大法院長、司法大臣、全閣僚、海外の首相の一部など、国内外の様々な公職で著名な人物のうちから国王が任命します。枢密院の主席は通常、内閣の上級メンバーになります。

枢密顧問官に宛てた手紙の宛名の書き方や呼びかけには、特別な形式はありません。同様に、口頭での二人称、三人称のあらわし方の決まりはありません。

枢密顧問官が貴族の場合、その爵位に応じた敬称がつきます。枢密顧問官をあらわす「PC」というレターは、王室から授与されたすべての栄典のうしろにつきます。枢密顧問官は栄典ではなく職名だからです。

フォーマル、ソーシャルともに、「The Rt Hon」の敬称がつきます。これだけで枢密顧問官であることは明白なので「PC」というレターはうしろにはつけません。官位などはThe Rt Honの前につきます。女性の枢密顧問官については、MissやMrs、Msといった敬称は除かれます。

枢密顧問官の配偶者に対しては、これに関する称号や敬称は付与されません。

イングランド国教会・聖公会

イギリスは政教分離されていないので、宗教界が政治に力を持っています。イギリスの宗教界で有力なのは、イングランド国教会 (The Church of England) と聖公会 (Anglican Communion) です。女性の聖職者はイングランド国教会(1994年)、スコットランド聖公会(1969年)、ウェールズ聖公会(1996年)、アイルランド聖公会(1990年)で初めて叙任されています。

聖職者に対しては、基本的に「Reverend」(〜師)という単語を位階に応じて修飾した敬称が使われます。しばしば「Rev」と略されますが、フルスペルで書かれるのを好む聖職者や、「Revd」という略称を好む聖職者もいます。

イングランド国教会や聖公会内の他の教会によって叙任された聖職者は勲爵士号を受けませんが、ナイトをあらわすレターが名前のうしろにつきます。
例:The Right Reverend the Lord Bishop of Brompton, KCVO

博士号がある聖職者については、封筒の宛名にそれを示す学位を記載します。

聖職者が爵位を引き継いだり、儀礼称号や儀礼敬称を持っている場合は、教会から叙任された位階の方が前にきます。

例:
The Venerable Sir John Jones, Bt
The Reverend the Hon John Brown
The Very Reverend the Earl of Southend

軍務に服している聖職者の場合は、「The Reverend John Smith, Commander, Royal Navy」(海軍司令官ジョン・スミス師)のように呼ぶことで、軍務に服していることを明示することができます。

聖職者の配偶者は、特別な呼び方はありません。

原則として、参事会長 (dean)、主任司祭 (provost) 、大執事 (archdeacon)、参事会員 (canon)、プリベンダリ (prebendary) は、フォーマルには手紙の呼びかけは「Very Reverend Sir (Madam)」となり、結語は「I have the honour to remain, Very Reverend Sir (Madam), your obedient servant」あるいは「Yours sincerely」となります。

カンタベリー大主教・ヨーク大主教

カンタベリー大主教 (the Archbishop of Canterbury) とヨーク大主教 (the Archbishop of York) は、イングランド国教会のトップ2です。枢密顧問官でもあるので、「The Most Reverend and Right Honourable」という敬称がつきます。カンタベリー大主教は全イングランド・首都首座主教 (Primate of all England and Metropolitan) であり、ヨーク大主教はイングランド・首都首座主教 (Primate of England and Metropolitan) です。ともに貴族院 (the House of Lords) に議席を有します。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Most Reverend and Right Hon the Lord Archbishop of Canterbury/York
手紙での呼びかけ:
My Lord Archbishop あるいは Your Grace(フォーマル)
Dear Lord ArchbishopあるいはDear Archbishop(ソーシャル)
口頭での二人称:
Your Grace(フォーマル)
Archbishop(ソーシャル)
口頭での三人称:
The Archbishop (of Canterbury/York)

アイルランド聖公会大主教・その他の教会の大主教

アイルランド聖公会には、アーマー大主教 (Archbishop of Armagh) とダブリン大主教 (Archbishop of Dublin) の2人がいます。前者は全アイルランド首座主教 (Primate of all Ireland)、後者はアイルランド首座主教 (Primate of Ireland) ともいいます。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Most Reverend the Lord Archbishop of 〜
手紙での呼びかけ:
My Lord Archbishop あるいは Your Grace(フォーマル)
Dear Lord ArchbishopあるいはDear Archibishop(ソーシャル)
口頭での二人称:
Your Grace(フォーマル)
Archbishop(ソーシャル)
口頭での三人称:
The Archbishop (of 〜)

ロンドン主教

ロンドン主教 (Bishop of London) は常任の枢密顧問官のため、「The Right Reverend and Right Honourable」の敬称がつきます。2018年5月からは女性のロンドン主教が選任されました。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Right Reverend and Right Hon the Lord (Lady) Bishop of London
手紙での呼びかけ:Dear Bishop
口頭での二人称:Bishop
口頭での三人称:The Bishop (of London)

イングランド国教会・ウェールズ聖公会の主教、教区、属主教

ロンドン、ダラム、ウィンチェスターの主教 (bishop) は、貴族院に議席をもっており、貴族院に欠員が発生した場合は、議席のない上級教区主教によって埋められ、欠員となった教区は、席を待っている人のリストの最後尾に置かれます。ある宗派から別の宗派に主教が移動しても、その人が貴族院に座るための権利には影響しません。ソドーとマンの主教は、マン島の立法評議会の職権上のメンバーです。

イングランド国教会の各教区 (diocese) では、属主教 (suffragan bishop) が主教の推薦を受けて任命され、主教を補佐しています。属主教は、教区内の古い町の名前で呼ばれています。完全な主教権を享受しながらも、貴族院の議員になる資格はありません。属主教に「Lord」Bishopの敬称を与えるかどうか(つまり、この称号が聖的なものなのか、俗的なものなのか)については論争がありましたが、慣習上あるいは儀礼上プレフィックスがあたえられるのが普通にもかかわらず、公式文書ではそのような敬称はあたえられていません。

スコットランド聖公会の主教

スコットランド聖公会 (Episcopal Church) はスコットランド国教会 (State Church of Scotland) ではないため、そこの主教には公式の席次はありません。したがって、「The Right Rev △△ □□, Bishop of 〜」と呼ばれ、「The Right Rev Bishop of 〜」とは呼ばれません(△△ □□はその人のフルネーム)。ソーシャルには、敬称はイングランド教会の教区主教に準じますが、首席主教 (Presiding Bishop) のように活動するPrimus of Scotlandについては、他の主教によって選ばれ、Metropolitanの力は持っていません。敬称は「The Most Reverend the Primus」となります。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Most Reverend the Primus
手紙での呼びかけ:Dear Primus
口頭での二人称:Primus
口頭での三人称:The Primus

アイルランド聖公会の主教

イングランド教会の教区主教と同じような敬称がつきますが、Bishop of Merth(アイルランド聖公会の首座主教)は例外で、「The Right Reverend」ではなく「The Most Reverend」という敬称がつきます。

参事会長

参事会長 (dean) は、大聖堂や大学教会の現職者で、主任司祭でない者をいいます。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Very Reverend the Dean of 〜
手紙での呼びかけ:Dear Dean
口頭での二人称:Dean
口頭での三人称:The Dean (of 〜)

主任司祭

主任司祭 (provost) は通常、教区教会 (parish church) から設立された大聖堂の現職者であり、その責任は校長や牧師のような性質のものです。大聖堂に主任司祭(参事会長ではなく)がいるところでは、自由権と後援は通常、当分の間は主任司祭に帰属し、参事会長のいるところでは普通である参事会 (chapter) には帰属しません。業務内容は参事会長と同じです。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Very Reverend the Provost of 〜
手紙での呼びかけ:Dear Provost
口頭での二人称:Provost
口頭での三人称:The Provost (of 〜)

大執事

大執事 (archdeacon) とは、聖職者を監督し、教区の一部を管理することを業務とする上級聖職者のことで、訪問の業務と同様に、教区教会の建物とその内容を担当しています。大執事に対しては、「Reverend」ではなく「Venerable」(〜師)という単語を使います。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Venerable the Archdeacon of 〜
手紙での呼びかけ:Dear Archdeacon
口頭での二人称:Archdeacon
口頭での三人称:The Archdeacon (of 〜)

参事会員

参事会員 (canon) は、大聖堂の中で職務を行う住み込みか、名誉参事会員かのどちらかです。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Reverend Canon △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Canon (□□)
口頭での二人称:Canon (□□)
口頭での三人称:The Canon あるいは Canon (□□)
※△△ ファーストネーム □□ 姓

プリベンダリ

プリベンダリ (prebendary) は、大聖堂か大学の教会の中にPrebendal Stallをもっています。その任命は住み込みでない参事会員と似ています。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Reverend Prebendary △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Prebendary (□□)
口頭での二人称:Prebendary (□□)
口頭での三人称:Prebendary あるいは Prebendary (□□)
※△△ ファーストネーム □□ 姓

その他の聖職者

退任した参事会長、主任司祭、大執事については、敬称が「The Venerable」から「The Reverend」に変わります。但し参事会員やプリベンダリに残ったり、名誉位として残った場合は別です。そのときは、新しくついた職に応じた敬称がつけられます。また「名誉的な」という意味の「Emeritus」は、公式文書でのみ使われます。

退任した大執事について「Archdeacon+姓」のように呼ぶことが散見されますが、「archdeacon」という単語は職名であって位階ではないため、このような呼び方は誤りです。また「archdeacon emeritus」というのも、称号としてしばしば使われるものの、厳密にいえばこのような称号はありえません。

退任した参事会員については、名誉参事会員 (canon emeritus) に残らない限り、「その他の聖職者」扱いになります。名誉参事会員となれば、自発的に教区や教会を去らない限り、参事会員としての称号が残り、「emeritus」という単語は公式文書にのみ用いられます。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Reverend △△ □□ あるいは The Revd △△ □□
(Reverend □□やThe Reverend □□は誤り)
手紙での呼びかけ:
Dear Mr/Miss/Ms/Mrs □□, Dear Father □□
(恩恵を受けた聖職者についてはDear RectorあるいはDear Vicar)
口頭での二人称:
Mr/Miss/Ms/Mrs □□ あるいは Father □□
口頭での三人称:
Mr/Miss/Ms/Mrs □□ あるいは Father □□(またはThe Rector/The Vicar)

軍のチャプレン

英国軍に属するチャプレンは、軍の階級ではなく教会の位階で呼ばれます。但し公式な場では、位階のうしろ、ファーストネームまたはそのイニシャルの前に、カッコ書きで軍の階級を書きます。

英海軍のThe Chaplain、英陸軍のThe Chaplain General、英空軍のChaplain-in-Chiefは大執事 (archdeacon) の地位にあるので、「The Venerable」という敬称が用いられます。手紙の書き出しは「Dear Chaplain General」あるいは「Dear Archdeacon 姓」封筒の宛名は「The Chaplain of the Fleet」あるいは「The Venerable フルネーム」と書き、そのあとに職名を続けます。口頭では職名で呼ぶか「Archdeacon」と呼びます。

英陸軍のThe Deputy Chaplain General、海軍・空軍のスコットランド聖公会やスコットランド自由教会のPrincipal Chaplain、陸海空軍のThe Principal Roman Catholic Chaplainについては、バイネームか職名で呼ばれます。

例:The Reverend John Jones, OBE, CF, Assistant Chaplain General, HQ, Blankshire Command

その他のチャプレンは「Dear Canon Jones」あるいは「Dear Mr Jones」のようにバイネームか職名で呼びます。もし名前が他人と重なるようであれば、「The Reverend John Jones, OBE, CF, Assistant Chaplain General, HQ, 〜shire Command」のように、職名を名前のあとに続けます。「RN」(Royal Navy)や「RAF」(Royal Air Force)のレターは、名前のうしろに、すべての栄典のうしろに記載します。陸軍のチャプレンは「CF」というレターを名前のうしろに、すべての栄典のうしろに記載します。口頭でチャプレンを呼ぶときは、バイネームで呼ぶか、位階名で呼ぶか、インフォーマルな場面では「Padre」と呼んだりもします。

チャプレンの名前がわからないときは、手紙の封筒の宛名は「The Church of England Chaplain, RAF Station, 〜town」のように書きます。

ユダヤ教のチャプレンにあてる場合は「The Reverend David Smith, CF, Senior Jewish Chaplain, 〜town Garrison」とかいうふうに書きます。口頭で呼ぶときは「Rabbi」「Minister」「Padre」などと呼びます。

スコットランド聖公会

長老派の教会で、最高裁判所として総会 (General Assembly) があり、毎年5月に総会が開かれます。総会で毎年モデレータ (Moderator) が選ばれます。

総会には君主自ら出席するか、王室に任命されたLord High Commissionerが代理で出席します。

Lord High Commissionerは男女問わず同じ敬称がつけられます。

敬称のつけ方
封筒の宛名:His or Her Grace the Lord High Commissioner
手紙での呼びかけ:Your Grace
手紙の結語:I have the honour to remain, Your Grace's most devoted and obedient servant
口頭での二人称:Your Grace
口頭での三人称:The Lord High Commissioner

モデレータ

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Rt Rev the Moderator of the General Assembly of the Church of Scotland
あるいは The Rt Rev △△ □□
手紙での呼びかけ:
Dear Sir/Madam あるいは Dear Moderator(フォーマル)
Dear Mr/Miss/Mrs/Ms □□ あるいは Dear Moderator(ソーシャル)
口頭での二人称:Moderator
口頭での三人称:The Moderator
※△△ ファーストネーム □□ 姓

チャペル・ロイヤルの主任司祭(Dean of the Chapel Royal)およびシスル勲爵士団の主任司祭(Dean of the Thistle)

敬称は「The Very Reverend」です。1人の人が両方に任じられます。

その他

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Reverend △△ □□, The Minister of 〜
手紙での呼びかけ:
Dear Sir あるいは Dear Minister(フォーマル)
Dear Mr/Miss/Mrs/Ms □□ あるいは Dear Minister(ソーシャル)
口頭での二人称:Mr/Miss/Mrs/Ms □□ あるいは Minister
口頭での三人称:Mr/Miss/Mrs/Ms □□ あるいは The Minister
※△△ ファーストネーム □□ 姓

ローマ・カトリック教会

ローマ教皇

教皇 (the Pope) はバチカン市国のバチカン宮殿に住まわれています。バチカン市国の立法機関をHoly Seeと呼びます。

教皇の敬称は「所有代名詞+Holiness」(聖下)となります。

敬称のつけ方
封筒の宛名:His Holiness the Pope
手紙での呼びかけ:Your Holiness あるいは Most Holy Father
手紙の結語:I have the honour to be, Your Holiness's most devoted and obedient child(あるいは most humble child または、ローマカトリック教徒でない場合は obedient servant)
口頭での二人称:Your Holiness
口頭での三人称:His Holiness あるいは The Pope

枢機卿

枢機卿 (cardinal) は司教区 (See) によって任命され、職名で呼ばれます。例:His Eminence Cardinal Smith

敬称は「所有代名詞+Eminence」(猊下)となります。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
His Eminence the Cardinal Archbishop of 〜(大司教の場合)
His Eminence Cardinal □□(大司教でない場合)
手紙での呼びかけ:
Your Eminence あるいは My Lord Cardinal(フォーマル)
Dear Cardinal □□(ソーシャル)
手紙の結語:
I have the honour to be, My Lord Cardinal, Your Eminence's devoted and obedient child(超フォーマル)
I remain, Your Eminence, Yours faithfully(フォーマル)
I have the honour to be Your Eminence's obedient servant(公式)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
Your Eminence(フォーマル)
Cardinal □□(ソーシャル)
口頭での三人称:
His Eminence(フォーマル)
Cardinal □□(ソーシャル)
※〜 教区名 □□ 姓

大司教

大司教 (archbishop) は司教区によって任命され、バイネームで呼ばれます。あるいは「所有代名詞+Grace」(座下)が使われます。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
His Grace the Archbishop of 〜
The Most Reverend Archbishop □□
手紙での呼びかけ:
My Lord Archbishop(フォーマル)
Most Reverend Sir あるいは Dear Archbishop(ソーシャル)
手紙の結語:
I have the honour to be, Your Grace's devoted and obedient child(超フォーマル)
I remain, Your Grace, Yours faithfully(フォーマル)
I have the honour to be, Most Reverend Sir, Your obedient servant(公式)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
Your Grace(フォーマル)
Archbishop(ソーシャル)
口頭での三人称:
His Grace(フォーマル)
The Archbishop(ソーシャル)
※〜 教区名 □□ 姓

司教

ローマ・カトリックの司教 (bishop) は「Right Reverend」の敬称がつきますが、アイルランドの司教は例外的に「Most Reverend」となります。またアイルランドの司教は名前の前に「Dr」がつき、「The Most Reverend Dr John Smith, Bishop of Kildare」のようになります。

ローマ・カトリックでない組織からは、ローマ・カトリックの司教は「The Right Reverend Bishop Brown」のように名前であらわされます。土地指定 (territorial designation) があり、司教区に同名の人がいる聖公会の主教がいるときは、「Roman Catholic Bishop of Lancaster」のように土地指定を使います。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
His Lordship the Bishop of 〜
The Right Reverend △△ □□, Bishop of 〜
The Right Reverend △△ □□ Auxiliary Bishop of 〜
(上3つはフォーマル&ソーシャル)
The Right Reverend Bishop □□(公式)
手紙での呼びかけ:
My Lord あるいは My Lord Bishop(フォーマル)
Right Reverend Sir(公式)
Dear Bishop □□(ソーシャル)
手紙の結語:
I have the honour to be, Your Lordship's obedient child(超フォーマル)
I remain, My Lord, Yours faithfully(フォーマル)
I have the honour to be, Right Reverend Sir, Your obedient servant(アイルランドの司教の場合はMost Reverend Sir)(公式)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
My Lord あるいは My Lord Bishop
口頭での三人称:
His Lordship あるいは The Bishop
※〜 教区名 △△ ファーストネーム □□ 姓

大修道院長

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Right Reverend the Abbot of 〜(勲章のイニシャルがこの後に続く)
(フォーマル&ソーシャル)
The Right Reverend □□(勲章のイニシャルがこの後に続く)(公式)
手紙での呼びかけ:
My Lord Abbot および Dear Father Abbot(フォーマル)
Right Reverend Sir(公式)
Dear Father Abbot(ソーシャル)
手紙の結語:
I beg to remain, My Lord Abbot, Your devoted and obedient servant(ローマ・カトリック向け超フォーマル)
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
The Abbot (of 〜)
口頭での三人称:
Father Abbot(フォーマル)
Abbot(ソーシャル)
※〜 教区名 △△ ファーストネーム □□ 姓

モンシニョール

モンシニョール (Monsignor) とは、首席書記官 (Protonotary Apostolic)、教皇聖下の名誉の高位聖職者 (Prelate of Honour to his Holiness the Pope)、あるいは教皇聖下のチャプレン (Chaplain to his Holiness the Pope) の中から教皇により授与される称号で、敬称は「The Right Reverend」や「The Very Reverend」ではなく「The Reverend」です。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Reverend Monsignor △△ □□
The Reverend Monsignor
The Very Reverend Monsignor (Canon) △△ □□(参事会員の場合)
手紙での呼びかけ:
Reverend Sir(フォーマル)
Dear Monsignor □□ あるいは Dear Monsignor(ソーシャル)
手紙の結語:
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:Monsignor あるいは Monsignor □□
口頭での三人称:Monsignor □□
※〜 教区名 △△ ファーストネーム □□ 姓

管区長

管区長 (Provincial) とは、ドミニコ会、フランシスコ会、イエズス会などの宗教団体の管区 (Province) の長のことです。

敬称のつけ方
封筒の宛名:
Very Reverend Father Provincial(宗教団体のイニシャル)
Very Reverend Father
The Very Reverend Father □□(宗教団体のイニシャル)
手紙での呼びかけ:
Very Reverend Father Provincial あるいは Very Reverend Father(フォーマル)
Dear Father Provincial あるいは Dear Father □□(ソーシャル)
手紙の結語:
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:Father Provincial
口頭での三人称:Father Provincial
※△△ ファーストネーム □□ 姓

小修道院長

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Very Reverend the Prior of 〜
The Very Reverend △△ □□(宗教団体のイニシャル)
手紙での呼びかけ:
Very Reverend(超フォーマル)
Dear Father Prior(フォーマル&ソーシャル)
手紙の結語:
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:Father Prior
口頭での三人称:The Prior (of 〜)
※〜 教区名 △△ ファーストネーム □□ 姓

参事会員

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Very Reverend Canon △△ □□
手紙での呼びかけ:
Very Reverend Sir(フォーマル)
Dear Canon (□□)(ソーシャル)
手紙の結語:
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:Canon □□
口頭での三人称:Canon □□
※〜 教区名 △△ ファーストネーム □□ 姓

司祭

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Reverend △△ □□ あるいは The Reverend Fr □□
手紙での呼びかけ:
Dear Reverend Father(フォーマル)
Dear Father □□(ソーシャル)
手紙の結語:
Yours faithfully(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:Father
口頭での三人称:Father □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

平修道士

平修道士 (lay brother) は、口頭では「Brother」と呼ばれ、「Brother John」のように書かれます。

メソジスト教会、その他の主なキリスト教宗派

ミニスター

敬称のつけ方
封筒の宛名:
The Reverend △△ □□
手紙での呼びかけ:
Dear Sir/Madam(フォーマル)
Dear Mr/Miss/Mrs/Ms □□(ソーシャル)
口頭での二人称:Mr/Miss/Mrs/Ms □□
口頭での三人称:The Minister あるいは The Pastor あるいは The President あるいは Mr/Miss/Mrs/Ms □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

メソジスト教会の女性執事(deaconess)

Sister Jane Smithと呼ばれたり、コミュニティ内ではSister Janeのように呼ばれます。手紙ではDeaconess Jane Smithのように書きます。

ユダヤ教

チーフ・ラビ

博士号を持っているラビは「Rabbi Dr □□」という敬称になります。

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Chief Rabbi Dr △△ □□
手紙での呼びかけ:
Dear Sir(フォーマル)
Dear Chief Rabbi(ソーシャル)
口頭での二人称:Chief Rabbi
口頭での三人称:The Chief Rabbi
※△△ ファーストネーム □□ 姓

ラビ

敬称のつけ方
封筒の宛名:Rabbi △△ □□
手紙での呼びかけ:
Dear SirあるいはDear Madam(フォーマル)
Dear Rabbi □□(ソーシャル)
口頭での二人称:Rabbi □□
口頭での三人称:Rabbi □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

ミニスター

敬称のつけ方
封筒の宛名:The Reverend △△ □□
手紙での呼びかけ:
Dear SirあるいはReverend Sir(フォーマル)
Dear Mr □□(ソーシャル)
口頭での二人称:Mr □□
口頭での三人称:Mr □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

学術関係

ケンブリッジ・オックスフォード大学の総長(vice-chancellor)

ケンブリッジ大学の総長の敬称は、Holy Orderの有無にかかわらず「The Right Worshipful the Vice-Chancellor of the University of Cambridge」、オックスフォード大学の総長は「The Reverend the Vice-Chancellor of the University of Oxford」となります。ただしこのような使われ方はフォーマルな場面に限ります。

学長

大学によって異なりますが、Holy Orderがある場合はそれが前にきます。

教授

バイネームで呼ばれます。退任し名誉教授号が授与された場合は、professor emeritus/emeritus professorと呼ばれます。

敬称のつけ方
封筒の宛先:Professor △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Sir / Madam(フォーマル)Dear Professor □□(ソーシャル)
口頭での二人称:Professor □□
口頭での三人称:Professor □□

博士

博士号や名誉博士号を授与された人は、Doctor(あるいはDr)と呼ばれる資格を得ます。

敬称のつけ方
封筒の宛先:Dr △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Sir / Madam(フォーマル)Dear Dr □□(ソーシャル)
口頭での二人称:Dr □□
口頭での三人称:Dr □□

名前の後ろの学位の並べる順番

学位が授与された学部の序列に従います。設立順に降順に並べるか、授与された順に昇順にならべますが、ほとんどの大学は昇順に並べるようにしているようです。学位をあらわすレターは、それを授与する大学によって少しずつ異なります。

オックスフォード大学法学博士(Doctor of Civil Law)DCL
ケンブリッジ大学法学博士(Doctor of Law)LLD
その他の大学の法学博士(Doctor of Laws)LLD
ケンブリッジ大学・リーズ大学・リバプール大学・マンチェスター大学・シェフィールド大学文学博士(Doctor of Letters)LittD
オックスフォード大学・その他の大学の文学博士(Doctor of Letters)DLitt
ロンドン大学・ベルファスト大学文学部(Doctor of Literature)DLit
ケンブリッジ大学・マンチェスター大学音楽学博士(Doctor of Music)MusD
オックスフォード大学・その他の大学の音楽学博士(Doctor of Music)DMus
オックスフォード大学・サセックス大学・アルスター大学・ヨーク大学博士(Doctor of Philosophy)DPhil
その他の大学の博士(Doctor of Philosophy)PhD

軍関係

英海軍

英海軍 (Royal Navy) の将校の階級は、上から順に次のようになっています。

Admiral of the Fleet(元帥)
Admiral(大将)
Vice-Admiral(中将)
Rear Admiral(少将)
Commodore(代将)
Captain(大佐)
Commander(中佐)
Lieutenant-Commander(少佐)
Lieutenant(大尉)

代将以下の将校については、名前のすぐうしろに「RN」(Royal Navy)というレターがつきます。予備役にいる人については「RNR」(Royal Naval Reserve)というレターをつけます。

インフォーマルな手紙のやり取りでは、将官については「Admiral」とだけ書かれることもあります。

元帥は、退役したあとも終生、元帥の階級が用いられます。少佐以上の将校についても慣習上、退役後もその時の階級で呼ばれます(特に必要のある場合に限り、「Retired」「Ret」「Rtd」などの単語を名前のうしろにつけます)。

軍医は、Surgeon Lieutenant (D) Judith Green, RNのように、階級の前に「Surgeon」階級のうしろに「(D)」というサフィックスをつけます。

下級の人は上級の人に対して、口頭での二人称として「Sir」「Ma'am」と呼びかけます。

敬称のつけ方
元帥

封筒の宛名:Admiral of the Fleet Sir △△ □□, GBE, KCG
手紙での呼びかけ:持っている称号の呼び方
口頭での二人称:持っている称号の呼び方
口頭での三人称:持っている称号の呼び方(またはAdmiral of the Fleet)
大将
封筒の宛名:Admiral Sir △△ □□, KBE
手紙での呼びかけ:Dear Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
中将
封筒の宛名:Vice-Admiral △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
少将
封筒の宛名:Rear Admiral △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Admiral □□(称号があればその称号の呼び方)
代将・大佐
封筒の宛名:
Commodore △△ □□, CBE, Royal Navy
Captain △△ □□, CB, Royal Navy
手紙での呼びかけ:Dear Commodore □□ / Dear Captain □□
口頭での二人称:Commodore □□ / Captain □□
口頭での三人称:Commodore □□ / Captain □□
中佐・少佐
封筒の宛名:
Commander △△ □□, OBE, Royal Navy
Lieutenant-Commander △△ □□, OBE, Royal Navy
手紙での呼びかけ:Dear Commander □□ / Dear Lieutenant-Commander □□
口頭での二人称:Commander □□
口頭での三人称:Commander □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

英陸軍

英陸軍 (Army) は王立ではないため、「Royal Army」のようには呼びません。

英陸軍の将校の階級は、上から順に次のようになっています。

Field Marshal(元帥)
General(大将)
Lieutenant-General(中将)
Major-General(少将)
Brigadier(代将)
Colonel(大佐)
Lieutenant Colonel(中佐)
Major(少佐)
Captain(大尉)

元帥は、退役したあとも終生、元帥の階級が用いられます。少佐以上の将校についても、退役後もその時の階級で呼ぶことができます(特に必要のある場合に限り、「Retired」「Ret」「Rtd」などの単語を名前のうしろにつけます)。

下級の人は上級の人に対して、口頭での二人称として「Sir」「Ma'am」と呼びかけます。

陸軍の中に、王室師団 (Household Division) があり、王室騎兵連隊 (Household Cavalry:ライフガーズおよびブルーズ・アンド・ロイヤルズ) と近衛師団 (The Guards' Division:かつてのThe Brigade of Guards) からなります。

王室騎兵連隊のトップは准士官 (warrant officer) で、その中で上位の順に

Regimental Corporal Major (RCM)
Squadron Corporal Major (SCM)

があります。准士官の下に

Staff Corporal (SCpl)
Corporal of Horse (CoH)
Corporal (Cpl)
Lance Corporal (LCpl)
Trooper (Tpr)

という階級があります。

近衛師団のトップは准士官で、上位の順に

Regimental Sergeant Major (RSM)
Command Sergeant Major (CSM)

があり、准士官の下に

Colour Sergeant (CSgt)・Company Quartermaster Sergeant (CQMS)、Sergeant (Sgt)
Lance Sergeant (LSgt)
Lance Corporal (LCpl)
Guardsman (Gdsm)

という階級があります。

敬称のつけ方
元帥

封筒の宛名:Field Marshal the Lord □□, GCB
手紙での呼びかけ:持っている称号の呼び方
口頭での二人称:持っている称号の呼び方
口頭での三人称:Field Marshal (□□) あるいは持っている称号の呼び方
大将
封筒の宛名:General Sir △△ □□, KBE
手紙での呼びかけ:Dear General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
中将
封筒の宛名:Lieutenant-General △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
少将
封筒の宛名:Major-General △△ □□, CBE
手紙での呼びかけ:Dear General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:General □□(称号があればその称号の呼び方)
代将
封筒の宛名:Brigadier △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Brigadier □□
口頭での二人称:Brigadier (□□)
口頭での三人称:Brigadier □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓
敬称のつけ方(王室騎兵連隊)
Regimental Corporal Major (RCM)

封筒の宛名:階級。RCMのような略称可。
手紙での呼びかけ:Dear Mr □□
口頭での二人称:Mr □□
Squadron Corporal Major (SCM)
封筒の宛名:階級。SCMのような略称可。
手紙での呼びかけ:Dear Corporal Major □□
口頭での二人称:Corporal Major □□
Corporal of Horse
封筒の宛名:階級。CoHのような略称可。
手紙での呼びかけ:Dear Corporal □□
口頭での二人称:Corporal □□
※□□ 姓
敬称のつけ方(近衛師団)
Regimental Sergeant Major (RSM)
封筒の宛名:階級。RSMのような略称可。
手紙での呼びかけ:Dear Sergeant Major □□
口頭での二人称:Sergeant Major □□
その他の准士官
封筒の宛名:階級。略称可。
手紙での呼びかけ:階級と名前
口頭での二人称:階級と名前
※□□ 姓

英空軍

英空軍 (Royal Air Force) の将校の階級は、上から順に次のようになっています。

Marshal of the Royal Air Force(元帥)
Air Chief Marshal(大将)
Air Marshal(中将)
Air Vice-Marshal(少将)
Air Commodore(代将)
Group Captain(大佐)
Wing Commander(中佐)
Squadron Leader(少佐)
Flight Lieutenant(大尉)

代将以下の将校については、名前のすぐうしろに「RAF」 (Royal Air Force) というレターがつきます。予備役にいる人については「RAFVR」 (Royal Air Force Volunteer Reserve) というレターをつけます。

元帥は、退役したあとも終生、元帥の階級が用いられます。少佐以上の将校についても慣習上、退役後もその時の階級で呼ばれます(特に必要のある場合に限り、「Retired」「Ret」「Rtd」などの単語を名前のうしろにつけます)。

下級の人は上級の人に対して、口頭での二人称として「Sir」「Ma'am」と呼びかけます。

敬称のつけ方
元帥

封筒の宛名:Marshal of the Royal Air Force Viscount ○○, GCB
手紙での呼びかけ:持っている称号の呼び方
口頭での二人称:持っている称号の呼び方
口頭での三人称:持っている称号の呼び方
大将
封筒の宛名:Air Chief Marshal Sir △△ □□, KBE
手紙での呼びかけ:Dear Air Chief Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
中将
封筒の宛名:Air Marshal △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
少将
封筒の宛名:Air Vice-Marshal △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:Air Marshal □□(称号があればその称号の呼び方)
代将
封筒の宛名:Air Commodore △△ □□
手紙での呼びかけ:Dear Air Commodore □□(称号があればその称号の呼び方)
口頭での二人称:Air Commodore □□
口頭での三人称:Air Commodore □□
※△△ ファーストネーム □□ 姓

外交官

大使

大使 (ambassador) の敬称は、「所有代名詞+Excellency」(閣下)です。

女性の大使のことは「Ambassadress」とは言わず、男性同様「Ambassador」と言います。

敬称のつけ方
封筒の宛先:
His (or Her) Excellency The Ambassador of+国名
His (or Her) Excellency Mr(Miss/Mrs/Ms) △△ □□
手紙での呼びかけ:Your Excellency(フォーマル)Dear Ambassador(ソーシャル)
手紙の結語:
I have the honour to be, with the highest consideration, Your Excellency's obedient servant(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
会話中に最低1回「Your Excellency」と呼び、そのあとは「Sir (Ma'am)」あるいはバイネーム(フォーマル)
Ambassador あるいはバイネーム(ソーシャル)
口頭での三人称:
His (Her) Excellency(フォーマル)
The+国名の形容詞+Ambassador または The Ambassador of+国名 あるいはバイネーム(ソーシャル)
※△△ ファーストネーム □□ 姓

高等弁務官

高等弁務官 (high commissioner) の敬称も大使と同じ「所有代名詞+Excellency」(閣下)です。

敬称のつけ方
封筒の宛先:
His (or Her) Excellency The High Commissioner of+国名
His (or Her) Excellency Mr(Miss/Mrs/Ms) △△ □□
手紙での呼びかけ:Your Excellency(フォーマル)Dear High Commissioner(ソーシャル)
手紙の結語:
I have the honour to be Your Excellency's obedient servant(フォーマル)
Yours sincerely(ソーシャル)
口頭での二人称:
会話中に最低1回「Your Excellency」と呼び、そのあとは「Sir (Ma'am)」あるいはバイネーム(フォーマル)
High Commissioner あるいはバイネーム(ソーシャル)
口頭での三人称:
His (Her) Excellency(フォーマル)
The+国名の形容詞+High Commissioner または The High Commissioner of+国名 あるいはバイネーム(ソーシャル)
※△△ ファーストネーム □□ 姓

法曹関係

イングランド・ウェールズ

大法官

大法官 (Lord Chancellor) は、国璽 (Great Seal) の管理人であって、内閣のメンバーであり、法律によって、裁判所の効率的な運営と独立性に責任を負っているイングランドの最高司法責任者です。

2003年に大法官府 (Lord Chancellor's Department) は憲法事項省 (Department for Constitutional Affairs) に改称され、2007年5月に司法省 (Ministry of Justice) となりました。

大法官は、2006年までは貴族院議長 (Lord Speaker) の役割も担っていました。

敬称のつけ方
封筒の宛先:The Rt Hon the Lord Chancellor
手紙での呼びかけ:My Lord(フォーマル)Dear Lord Chancellor(ソーシャル)
口頭での二人称:Lord Chancellor(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:The Lord Chancellor(称号があればその称号の呼び方)

首席判事

首席判事 (Lord Chief Justice) は、高等法院 (High Court) の長です。

敬称のつけ方
封筒の宛先:The Rt Hon the Lord Chief Justice of England
手紙での呼びかけ:My Lord(フォーマル)Dear Lord Chief Justice(ソーシャル)
口頭での二人称:Lord Chief Justice(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:The Lord Chief Justice(称号があればその称号の呼び方)

記録長官・家事部長官・常任上訴貴族

記録長官 (Master of the Rolls) と家事部長官 (President of the Family Division) は、任命されると同時にナイトやデイムに叙せられ、枢密院のメンバーにもなります。呼称は法官としての階級で呼ばれます。

常任上訴貴族 (Lords of Appeal in Ordinary) は枢密院のメンバーでもあり、有爵者 (peer) となります。

敬称のつけ方
記録長官

封筒の宛先:The Rt Hon the Master of the Rolls
手紙での呼びかけ:Dear Master of the Rolls あるいは Dear Sir (Dame) △△
口頭での二人称:Master of the Rolls(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:The Master of the Rolls(称号があればその称号の呼び方)
家事部長官
封筒の宛先:The Rt Hon the President of the Family Division
手紙での呼びかけ:Dear President あるいは Dear Sir (Dame) △△
口頭での二人称:President(称号があればその称号の呼び方)
口頭での三人称:The President of the Family Division(称号があればその称号の呼び方)
常任上訴貴族
封筒の宛先:The Lord ○○, PC
手紙での呼びかけ:Dear Lord ○○
口頭での二人称:称号に基づく
口頭での三人称:称号に基づく

控訴院裁判官

控訴院 (the Court of Appeal) の裁判官である控訴院裁判官 (Lord Justice) は通常、ナイトやデイムとなり、高等法院の判事かつ枢密院のメンバーとなります。

敬称のつけ方
封筒の宛先:The Rt Hon the Lord Justice □□
手紙での呼びかけ:Dear Lord Justice
口頭での二人称:Lord Justice
口頭での三人称:The Lord Justice あるいは His Lordship

高等法院判事

高等法院 (High Court) の判事は任命とともにナイトに叙せられるか、the Most Excellent Order of the British Empireのデイムに叙せられます。また枢密院のメンバーにもなります。定年は75歳で、退官後は「the Honourable」のプレフィックスと「The Hon Mr/Miss/Mrs Justice」の敬称はなくなります。

敬称のつけ方
封筒の宛先:
The Hon Mr (Miss/Mrs) Justice □□
Sir (The Hon Dame) △△ □□
手紙での呼びかけ:Sir (Madam) あるいは My Lord(男性のみ)あるいは Dear Judge(男性のみ)あるいはDear Dame △△(女性のみ)
口頭での二人称:My Lord (Lady) あるいは Mr (Miss/Mrs) Justice □□ あるいは Sir (Dame) △△
口頭での三人称:称号に基づく

巡回裁判所判事

巡回裁判所判事 (circuit judge) は、退官後は「Judge」の敬称を失い、「His Hon+フルネーム」となります。同姓の裁判官が複数いる場合は、ファーストネームが使用されます。

敬称のつけ方
封筒の宛先:
His Hon Judge □□
手紙での呼びかけ:Dear Judge
口頭での二人称:Judge(称号がある場合は称号に基づく)Benchにあっては「Your Honour」
口頭での三人称:称号に基づく

スコットランド

民事控訴院 (Court of Session) の長官(Lord Justice-GeneralあるいはLord President of the Court of Session)は、スコットランドの司法権の長で、College of Justiceと民事控訴院の裁判長 (Presiding Judge) および判事 (Senator) です。主要閣僚 (Great Office of State) でもあります。判事席上では法曹称号で呼ばれますが、書くときは常に職名で呼ばれます。枢密顧問官でもあります。

Lord Justice-Clerkは民事控訴院長官の次に位置する副官です。判事席上では称号で呼ばれますが、書くときは常に職名であらわされます。

College of Justiceの判事のことをLord of Sessionと呼びます。判事席上では、職にある間も職を退いた後も知られる法曹称号があたえられます。

ほとんどのLord of Sessionは法曹称号として姓を使い続けますが、リヨン卿 (Lord Lyon) に認められれば姓の代わりに土地指定を使うこともできます。

スコットランド土地裁判所 (Scottish Land Court) のチェアマンもLord of Sessionとしての扱いを受けます。

州裁判所 (Sheriff Court) の上席判事 (Sheriff Principal) や判事 (Sheriff) は、判事席上では「My Lord」や「My Lady」と呼ばれます。フォーマルやソーシャルな場では「Sheriff Smith」のように呼ばれます。

敬称のつけ方
Lord of Session

封筒の宛先:The Hon Lord □□(枢密顧問官の場合はThe Rt Hon Lord □□)
手紙での呼びかけ:My Lord(フォーマル)あるいは法曹界の称号(例:Lord □□)
口頭での二人称:My Lord あるいは Lord □□
口頭での三人称:Lord □□
Lord Justice General
封筒の宛先:The Hon Lord Justice General(枢密顧問官の場合はThe Rt Hon Lord Justice General)
手紙での呼びかけ:My Lord(フォーマル)あるいは Dear Lord Justice General
口頭での二人称:My Lord あるいは Lord Justice General
口頭での三人称:Lord Justice General
Lord Justice Clerk
封筒の宛先:The Hon Lord Justice Clerk(枢密顧問官の場合はThe Rt Hon Lord Justice Clerk)
手紙での呼びかけ:My Lord(フォーマル)あるいは Dear Lord Justice Clerk
口頭での二人称:My Lord あるいは Lord Justice Clerk
口頭での三人称:Lord Justice Clerk

英国最高裁判所

従来、イギリスの最高法院は貴族院に付属する機関でしたが、2005年憲法改革法により、2009年10月1日に貴族院から分離する形で最高裁判所が新設され、イギリス全土の民事事件とイングランド・ウェールズ内の刑事事件についての終審裁判所となりました。貴族院の法官貴族 (Law Lord) がそこの初代判事となりました。貴族院から異動した最高裁判事は引き続き貴族院の議員となりますが、貴族院の議席を占めることはできず、投票もできません。2009年10月以降に任命された判事は全員、選考委員会の推薦を受けて直接最高裁に任命されることになります。

医療関係

医学博士 (doctor)、内科医 (physician) の口頭での呼び方は「Dr+姓」、外科医 (surgeon)、歯科医 (dentist) の口頭での呼び方は、「Mr+姓」です。前二者の手紙での呼びかけは「Dear Dr+姓」、後二者の手紙での呼びかけは「Dear Mr+姓」となります。封筒の宛名は、医学博士は「Dr Petra Faulks, MD, FRCP」、内科医は「Dr Helen Jones, MB, BS」、外科医は「William Forde, Esq, MS, FRCS」、歯科医は「William Smith, Esq, FDS RCS」のようになります。

歯科医で、追加の資格(DChD、FDS RCSなど)のある人は、通常「doctor」と呼ばれます。

医学上の資格をあらわすレターは、王室から授与された栄誉のうしろにきます。順序は、博士号、修士号、学士号、卒業後に授与された学位(フェローシップなど。MRCSを除く)、資格の学位(MRCS、LRCPなど)の順になります。

警察

ロンドン警視庁の階級

Commissioner(警視総監)
Deputy Commissioner(警視総監補)
Assistant Commissioner(警視監)
Deputy Assistant Commissioner(警視監補)
Commander(警視長)
Chief Superintendent(警視正)
Superintendent(警視)
Chief Inspector(警部)
Inspector(警部補)
Sergeant(巡査部長)
Constable(巡査)

ロンドン市警の階級

Commissioner(警視総監)
Assistant Commissioner(警視監)
Commander(警視長)
Chief Superintendent(警視正)
Superintendent(警視)
Chief Inspector(警部)
Inspector(警部補)
Sergeant(巡査部長)
Constable(巡査)

その他の警察の階級

Chief Constable(警察本部長)
Deputy Chief Constable(警察本部副部長)
Assistant Chief Constable(警視長)
Chief Superintendent(警視正)
Superintendent(警視)
Chief Inspector(警部)
Inspector(警部補)
Sergeant(巡査部長)
Constable(巡査)

CID (Criminal Investigation Department) の職員は、巡査から警視正までは、男女問わず階級に「Detective」というプレフィックスをつけます。

警部、警部補、巡査部長、巡査については、名前の前に該当する階級をつけ、「Dear Chief Inspector Smith」のように呼びかけます。封筒の宛名にも階級名をつけます。巡査部長はしばしばPS (Police Sergeant)・DS (Detective Sergeant)、巡査はPC (Police Constable)・DC (Detective Constable) のように略して書くことがあります。

以下の敬称のつけ方は、スコットランドと北アイルランドでは適用されません。

敬称のつけ方
ロンドン警視庁警視総監

封筒の宛名:Sir △△ □□, KBE, Commissioner of Police of the Metropolis
手紙での呼びかけ:Dear Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
ロンドン市警警視総監
封筒の宛名:Sir △△ □□, KBE, Commissioner of Police for the City of London
手紙での呼びかけ:Dear Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
他の警察本部長
封筒の宛名:Sir △△ □□, KBE, Chief Constable, 〜shire Constabulary
手紙での呼びかけ:Dear Chief Constable(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Chief Constable(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Chief Constable(称号があるときは称号の呼び方)
ロンドン警視庁警視総監補
封筒の宛名:△△ □□, Esq, Deputy Commissioner of Police of the Metropolis
手紙での呼びかけ:Dear Deputy Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Deputy Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Deputy Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
警視監
封筒の宛名:△△ □□, Esq, Assistant Commissioner, for the City of London / Metropolitan Police
手紙での呼びかけ:Dear Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
ロンドン警視庁警視監補
封筒の宛名:△△ □□, Esq, Deputy Assistant Commissioner, Metropolitan Police
手紙での呼びかけ:Dear Deputy Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Deputy Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Deputy Assistant Commissioner(称号があるときは称号の呼び方)
警視長
封筒の宛名:Commander △△ □□, Metropolitan Police / City of London Police
手紙での呼びかけ:Dear Commander □□(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での二人称:Commander(称号があるときは称号の呼び方)
口頭での三人称:The Commander(称号があるときは称号の呼び方)
警視正以下
封筒の宛名:階級名+□□ あるいは △△ □□, Esq
手紙での呼びかけ:Dear 階級名+□□
口頭での二人称:階級名あるいはバイネーム
口頭での三人称:階級名あるいはバイネーム

女性警察官については、警部補以上の警察官は口頭で呼びかけるときは「Ma'am」をふつう使います。発音は「マァ〜ム」のように母音をのばして発音することが多いようです。

政治家

イギリスの内閣 (Cabinet) の閣僚は全員、枢密顧問官でもあるので、「The Rt Hon」の敬称がつけられます。

庶民院 (House of Commons) のメンバーは全員、名前のうしろに「MP」というレターがつきます。

敬称のつけ方
首相 (Prime Minister)

封筒の宛名:The Rt Hon △△ □□, MP, the Prime Minister
手紙での呼びかけ:Dear Prime Minister
口頭での二人称:Prime Minister
口頭での三人称:The Prime Minister
副首相 (Deputy Prime Minister)
封筒の宛名:The Rt Hon △△ □□, MP, the Deputy Prime Minister
手紙での呼びかけ:Dear Deputy Prime Minister
口頭での二人称:Deputy Prime Minister
口頭での三人称:The Deputy Prime Minister
財務大臣 (Chancellor of the Exchequer)
封筒の宛名:The Rt Hon △△ □□, MP, the Chancellor of the Exchequer
手紙での呼びかけ:Dear Chancellor
口頭での二人称:Chancellor of the Exchequer
口頭での三人称:The Chancellor of the Exchequer
王璽尚書 (Lord Privy Seal)
封筒の宛名:The Rt Hon the Lord □□, PC, the Lord Privy Seal
手紙での呼びかけ:Dear Lord Privy Seal
口頭での二人称:Lord Privy Seal
口頭での三人称:The Lord Privy Seal
商務庁長官 (President of the Board of Trade)
封筒の宛名:The Rt Hon the President of the Board of Trade
手紙での呼びかけ:Dear President
口頭での二人称:President
口頭での三人称:The President of the Board of Trade
大臣 (Minister)
封筒の宛名:The Rt Hon △△ □□, MP, Secretary of State for 〜
手紙での呼びかけ:Dear Minister あるいはバイネーム
口頭での二人称:Minister
口頭での三人称:The Secretary of State for 〜 あるいはバイネーム
議員 (Backbencher)
封筒の宛名:△△ □□, Esq, MP
手紙での呼びかけ:Dear Mr □□
口頭での二人称:Mr □□
口頭での三人称:Mr □□
※△△ ファーストネーム  □□ 姓

地方自治体

イギリス国内の (county) ごとに、王室から統監 (Lord-Lieutenant) が任命されます。統監には特別な呼び方 (form of address) はありませんが、手紙の宛名では「Colonel Sir John Brown, KCB, DSO, HM Lord-Lieutenant of 〜shire」のようにあらわされます。

副統監 (Vice Lord-LieutenantあるいはDeputy Lieutenant) は、名前のうしろにDLというレターがつきます。

イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは州長官 (High Sheriff) が任命されます。

ロンドン市の長官 (sheriff) は、参事会員 (alderman) でもあり、階級または「sheriff」として呼ばれます。公式な書簡の書き出しは「Dear Alderman and Sheriff」になります。封筒の宛名は「Mr Alderman and Sheriff Smith」とか「Alderman and Sheriff Sir John Brown」などとなります。女性の場合は「Miss/Mrs/Ms Alderman and Sheriff White」や「Alderman and Sheriff Lady Green」になります。口頭で呼びかけるときはバイネームになります。

ロンドン以外の州長官 (sheriff) は、公式な書簡では名前のうしろに職名がつきます。

州長官代理 (Under-Sheriff) は、特別な呼び方はありませんが、公式な書簡では「Brigadier John Jones, Under-Sheriff of Cheshire」のように名前のうしろに職名がつきます。

地方自治体の席次は次のようになります。

州統監 (The Lord-Lieutenant of the County)
州長官 (The High Sheriff of the County)
大都市の市長 (The Lord Mayor)
選挙で選ばれた市長 (The elected Mayor)
州議会議長 (The Chairman of the County Council)
助役 (The Deputy Mayor)
参事会員 (Alderman)
議員 (Councillor)
Justice of the Peace
The Clerk of the County Council
The Town Clerk
The Chief Constable
The County Engineer あるいは Borough Engineer

大都市の市長 (Lord Mayor) とは、イギリスの都市の市民の長であり、君主によって都市に与えられる栄誉です。スコットランドでは、アバディーン市、ダンディー市、エディンバラ市、グラスゴー市のロード・プロヴォスト (Lord Provost) がこれに相当する地位にあり、それぞれの都市の職権上の統監となっています。

ロンドン市(シティ・オブ・ロンドン)、ヨーク市、ベルファスト市、カーディフ市の市長、エディンバラ市とグラスゴー市のロード・プロヴォストの敬称は「The Rt Hon」です。ただしこの敬称は職位に起因するものであって人に起因するものではないため、「The Rt Hon the Lord Mayor of York」と書くのが正しく、「The Rt Hon John Smith」と書くのは誤りです(その市長がたまたま枢密顧問官だった場合は別ですが)。

上記以外の大都市の市長の敬称は「The Rt Worshipful」となります(その市長が枢密顧問官であれば「The Right Honourable The Lord Mayor of X」となります)。ウェストミンスター市の市長の場合は「Rt」がなく「The Worshipful The Lord Mayor of Westminster」となります。

大都市の副市長 (Deputy Lord Mayor) の呼び方は、大都市の市長のルールを適用しますが、「Right Honourable」や「Right Worshipful」の敬称にはなりません。口頭での呼びかけは「Deputy Lord Mayor」となります。

※ロンドン市長(グレーター・ロンドンの長。公選により選挙された市長)の敬称については、封筒の宛名は「John Smith, Esq, Mayor of London」となり、手紙の呼びかけは「Dear Mr Smith」のようになります。

大都市以外の市長 (mayor) の敬称は、南東部沿岸沿いの5都市(シンク・ポーツ)であるドーバー市、ヘイスティング市、ハイス市、ニューロムニー市、サンドイッチ市の市長は「The Right Worshipful」で、それ以外の市長は「The Worshipful」になります。市長が複数いる前で口頭で呼びかけるときは「Your Worships」と言います。

副市長 (deputy mayor/mayoress) の敬称は、市長と同じ扱いになります(ただし、「mayor/mayoress」の前に「deputy」をつけることと、「The Right Worshipful」「The Worshipful」をけずることが市長と異なります)。

市長の配偶者は、バイネームで呼ばれます。

市長がいない地域では、Chairman of Councilが市民の長となります。

スコットランドでは、アバディーン市、ダンディー市、エディンバラ市、グラスゴー市の市議会 (District Council) から市長にあたるロード・プロヴォスト (Lord Provost) を選出し、それ以外の地域の議会からはプロヴォスト (Provost)、チェアマン (Chairman)、あるいは町村長 (Convenor) を選出します。手紙の呼びかけはそれぞれ「My Lord Provost」、「Dear Provost」、「Dear Mr (Madam) Chairman」、「Dear Convenor」となります。封筒の宛名はそれぞれ「The Rt Hon the Lord Provost of Edinburgh」、「The Lord Provost of Aberdeen」、「The Provost of X」、「The Chairman of X」、「The Convenor of X」です。口頭での呼びかけは「Provost」、「Chairman」などです。

ロード・プロヴォストの妻はレディ・プロヴォスト (Lady Provost) となります。グラスゴー市、エディンバラ市のレディ・プロヴォストは「The Right Honourable」の敬称になりません。手紙の呼びかけは「Dear Lady Provost」、封筒の宛名は「The Lady Provost of X」、口頭での呼びかけは「Lady Provost」です。

敬称のつけ方
州議会議長

座席札の記載:Chairman of a County Council
封筒の宛名:The Chairman of 〜 County Council
手紙での呼びかけ:Dear Chairman(女性に対しても使う)
口頭での二人称:Chairman(女性に対しても使う)
大都市の市長 (Lord Mayor、Lady Mayor)
座席札の記載:Lord Mayor (Lady Mayor)
封筒の宛名:
The Right Honourable the Lord (Lady) Mayor of 〜
The Right Worshipful the Lord (Lady) Mayor of 〜
(個々に要確認)
手紙での呼びかけ:Dear Lord (Lady) Mayor
口頭での二人称:My Lord (Lady) Mayor あるいは Lord (Lady) Mayor
Lord Mayorの妻、娘 (Lady Moyoress)
座席札の記載:Lady Mayoress
封筒の宛名:The Lady Mayoress of 〜
手紙での呼びかけ:Dear Lady Mayoress
口頭での二人称:Lady Mayoress
Lady Mayoressの夫
座席札の記載:Mr △△ □□
封筒の宛名:△△ □□, Esq
手紙での呼びかけ:Dear Mr □□
口頭での二人称:Mr □□
市長 (mayor)
座席札の記載:Mayor of 〜
封筒の宛名:
The Right Worshipful the Mayor of 〜
The Worshipful the Mayor of 〜
(個々に要確認)
手紙での呼びかけ:Dear Mr (Madam) Mayor
口頭での二人称:Mr (Madam) Mayor
参事会員 (alderman)
座席札の記載:Alderman □□
封筒の宛名(男性):Mr Alderman □□ / Alderman Sir △△ □□ / Alderman the Rt Hon the Lord □□ / Major and Alderman □□
封筒の宛名(女性):Miss/Mrs Alderman □□
手紙での呼びかけ:Dear Alderman あるいはバイネーム
口頭での二人称(男性):Alderman □□(+称号)
口頭での二人称(女性):Alderman Miss/Mrs □□ あるいは Alderman+称号
市 (city) や区 (borough, district) の議会議員
封筒の宛名(男性):Councillor+階級・称号+△△ □□
封筒の宛名(女性):Councillor Miss/Mrs △△ □□(Msは使わない)
手紙での呼びかけ(男性):Dear Councillor+階級・称号+□□
手紙での呼びかけ(男性):Dear Councillor Miss/Mrs □□(Msは使わない)
口頭での二人称(男性):Councillor □□(+称号)
口頭での二人称(女性):Councillor Miss/Mrs □□(Msは使わない)

まとめ

いかがでしたか?

イギリスの公職者や聖職者に手紙を書いたり、会合やパーティに一緒に出たりする機会がもしあれば、役立つかもしれません。

参考文献:
Wyse, Elizabeth, et al., ed. "Debrett’s Correct Form". London: Debrett’s Limited, 2010.
Wikipedia関連ページ
竹下 譲, "ロンドンは如何に治められてきたか", 自治体国際化協会, http://www.clair.or.jp/j/forum/series/pdf/h20_04.pdf

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