【人事顧問ブログ】平凡な日課を続けて、それで人生がよくなるなんてことあるのか?
今回、書きたいこと
人事顧問の穴井です。
私は27歳の時に事故を起こして長期入院し、1年ほど仕事を休んでいました。それまで、私は仕事に対して真剣になることができず、適当に流していました。
しかし、入院からの復帰後、仕事に対する態度を改めました。お客様からの依頼や要望は、どんなに小さなことでも、希望の日時までに確実にやり遂げる。ただそれだけのことでしたが、その後、劇的に仕事がおもしろくなり、成果を上げられるようになりました。
このことは前回のブログ(7月16日アップ)に書きました。
とはいうものの、これは変化のきっかけに過ぎません。
その時点で28歳なのだから、人生はまだまだ先が長いじゃないですか。
なので次の課題は、「仕事がおもしろくて成果が出せるという状態をいかに継続するか」です。そこで、重要なのがルーティンワークということで、今回はそのお話です。
ルーティンワークって何?
ルーティンワークとは何か?
PCに入力したら、AIがすばやく答えてくれました。
『日常的に繰り返し行う定型業務のことです。
ルーティン(routine)は「日課」や「決まった所作」を意味します』
サンキュー、Bing!
一般的にルーティンワークとは、やり方が決められた仕事のことを指しますが、ここで私が言いたいのは日常生活におけるルーティンワーク、つまり日課のことです。例えば、ジョギングしたり、花壇の手入れをしたり、新聞を読んだりとか。
昔、イチロー(かの天才的なバッター)が毎朝カレーライスを食べている、
と聞いたことがあります。彼は、バッターボックスに入るまで儀式のように毎回同じ動作を繰り返すことで有名ですが、家庭においても決まった日課を繰り返していたようです。
このエピソードからも、ルーティンに何らかの効果があることを期待できそうです。
ルーティンは何がいいの?
では、ルーティンの効果とは何なのでしょう?
AIによれば、
①集中力を高めること
②気分を切り替えること
③体調の変化に気づくこと
‥だそうです。
この中で一番重要なのが②の気分の切り替えだと、私は考えています。
朝は日常生活から仕事へ、夕方は仕事から日常生活への切り替えと、働く人間は1日2回、毎日モードチェンジを繰り返しています。
ところが、人間は状況の変化に強いストレスを感じるらしく、この切り替えが思ったほどスムーズにできないそうです。
会社に来ても、前日の夜更かしの影響や夫婦喧嘩の余波で、仕事に身が入らないことありませんか?
毎朝行うルーティン(日課)が、気分を前向きに切り替えるきっかけとなるなら、その効果は大きいのではないでしょうか。
ルーティンで仕事を即起動
では、私の毎朝のルーティンは何だったのか?というと、
それはアイロンがけとコーヒーを淹れることです。
熱くて重いアイロンは、凝り固まったからだを軽くほぐしてくれます。
コーヒーは精神の集中です。豆をガリガリ挽いて、先端が尖った薬缶でお湯を注ぐことに全集中します。立ち上がる香りが脳を覚醒させて、仕事モードがONになります。
私は会社の経営メンバーだったので、
社員には、朝一番から仕事に集中してもらいたいと思っています。私自身、アイロンとコーヒーのルーティン効果でもって、デスクに就くやいなや即刻仕事を開始します。
ということで、社員の皆さんはルーティンを持つことで、速やかに仕事に集中して、会社の生産性を向上させてほしいのである。
と、ここで話をまとめてしまいたいところなのですが、今回一番言いたいことは、実はまだこの先にあります。
人は仕事だけしていれば良い、わけではない
1日の中でのモード切り替えは、もうひとつあります。
夜、家に帰ってからです。仕事から日常生活への切り替えです。
私たちは、仕事は大変だが日常生活はお気楽、と思い込んでいるところがあって、仕事から日常生活への切り替えなんて必要ないと思いがちです。自然に身体が緩んじゃうよ、そんな感じでしょうか。
しかし、それは昭和の時代までの話だと私は思っています。家庭内の役割分担(夫は仕事、妻は家事)が標準装備されていた時代の話です。
家で子どもが病気になろうが近所と揉めようが、仕事に専念できた時代は、もはやはるか昔の話です。
今の時代のプライベートは、仕事の息抜きの時間帯ではありません。
大げさに言うと、自分が、家族が、どう生きていくかの選択を迫られている時間帯でもあるのです。仕事に疲れて、人生の重要な選択を先送りにしていませんか?自分の将来のこと、老後資金のこと、子どもの教育のこと、親のこと、などなど。
昔とちがって、これらすべては自己責任ですって、言われる時代です。
現代においては、生活と仕事は等価であることが必須です。
ワークライフバランスという言葉がありますが、私がイメージしているのは少し違います。バランスという「静的」なものではなく、生活と仕事の場を意識的に切り替える「動的」なイメージです。仕事だけでなく、日常生活においても能動的であることを意識してほしい、ということです。
これが今回、私が書きたかったことの核心です。
私は意外と神頼み
実は、私が40年間続けているルーティンがもう一つあります。それは神棚にお米と水を上げて、祝詞(のりと)を上げることです。
おっと、宗教か、これはヤバい話しかもしれないぞ、と思われるかもしれませんが、これは親から引き継いだ日課なので、宗教とは異なるものです。
祝詞は朝と夕方に上げます。朝拝(ちょうはい)、夕拝(ゆうはい)と言います。祝詞は天津祝詞(あまつのりと)という、神道のもっとも基本的なものです。私もちゃんと理解できていませんが、ご神徳をもって、罪という罪、咎(とが)という咎を祓い給えと唱えるものです。
神道では言葉(言霊)をとても重要視しますが、祝詞はその乱れを整えてくれます。何かの恩恵を得られるというものではなく、世界を整えるだけです。この「整えるだけ」というところが宗教的な重さがなくていいのです。
ということで、私は朝はもちろん、会社から帰って来た時にも夕拝をします。これにより、仕事で凝り固まった気持ちをほぐして、家でやるべきことに取り組みます。と言っても夫婦で話をして、何が課題なのかを共有し解決を目指すくらいのことですが。
お分かりと思いますが、私は祝詞をを勧めているわけではありません。
毎日晩酌するとか、ペットを世話をすることでもいいのかもしれません。
大切なのは、日常生活の課題に向き合うための意識的なきっかけづくりです。
蛇足:生きのびるための事務
最後に、こんな時代に日常生活での選択や判断を上手にするためのヒントになる本(漫画)を紹介します。「生きのびるための事務」です。
この本の著者坂口恭平さんは、やりたいことをやるためには、「事務」が大切なのだと説きます。
事務とは何か?夢を実現させるための現実的な作業のことで、具体的にはスケジュールの管理とお金の管理です。
事務のよいところは、やり方が決まっているので、誰にでもできることです。夢とか将来とかいう漠然としたものを、事務作業によって数値化(達成する日の設定とか必要な費用の計算)することで、それを達成するための道筋が明確になり、行動のきっかけをつかめます。
なるほどね。
そういう意味では、ここで言う「事務」はルーティンの領域です。
決まり切ったことを繰り返すことで、課題が見えて目標に近づくことになるからです。
今回は、「仕事が面白くて成果が出せるという状態をいかに継続するか」というテーマに対して、ルーティンワークが重要だと述べてきましたが、本質的には自分の生活というルーティンを大切に扱うということに尽きるようです。
長々と書いて来て平凡な結論で申し訳ないです。
でも、それが真理なんですよね。そして真理は平凡なんです。
真理は青い鳥なんですかね。
さっきの本もぜひ読んでみてください。