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K-POP REVIEW VOL.3-SEVENTEEN「Face the Sun」

今回のレビュー:SEVENTEEN

カムバック日:2022/5/27

SEVENTEENプロフィール

デビュー:2015年5月26日
所属事務所:PLEDIS Entertainment
レーベル(韓国):HYBE LABELS

韓国人メンバー11人+中国人メンバー2人の13人組ボーイズグループ。
(メンバー:エスクプス・ジョンハン・ジョシュア・ジュン・ホシ・ウォヌ・ウジ・ディエイト・ミンギュ・ドギョム・スングァン・バーノン・ディノ)
13人のメンバー+3つのチーム+1つのグループ=17という意味が込められている。
VOCAL TEAM、HIPHOP TEAM、PERFORMANCE TEAMの3チームで構成され、楽曲制作から振付に至るまでメンバー自らが担当。

SEVENTEEN 4th Album'Face the Sun'

今回はタイトル曲のHOTDON QUIXOTEをレビューします。

天下のSEVENTEENなので今さらリンクを貼らなくても……といった感じですが、HOTのMVを未視聴の方がいたらぜひ見てください。

SEVENTEEN流の最高にお洒落でかっこいいウエスタンの世界が見れます。

(個人的にはミンハオのスケスケ衣装に対してほんとに見ていいの!?と思ってます)


収録曲

1.Darl+ing
Composed by WOOZI, BUMZU, ファンヒョン(MonoTree)
Lyrics by WOOZI, BUMZU, Shannon
Arranged by BUMZU, ファンヒョン (MonoTree)

2.HOT *タイトル
Composed by WOOZI, BUMZU, Tim Tan, Dan August Rigo, Ploypaworawan Praison, SOFTSERVEBOY(153/Joombas), Alex Keem(153/Joombas)
Lyrics by WOOZI, BUMZU, Dan August Rigo, Ploypaworawan Praison

3.DON QUIXOTE
Composed by WOOZI, BUMZU, Tommy Brown, Steven Franks, Melanie Joy Fontana, Michel “Lindgren” Schulz
Lyrics by WOOZI, BUMZU, ウォヌ, Michel “Lindgren” Schulz, Melanie Joy Fontana

4.March
Composed by WOOZI, BUMZU, パク・ギテ (PRISMFILTER)
Lyrics by WOOZI, BUMZU
Arranged by BUMZU, パク・ギテ (PRISMFILTER)

5.Domino
Composed by WOOZI, BUMZU, Sara Davis, Cameron Walker, Jordan Witzigreuter
Lyrics by WOOZI, BUMZU, ミンギュ, Sara Davis, Cameron Walker, Jordan Witzigreuter

6.Shadow
Composed by WOOZI, BUMZU, DINO, Johan Fransson, Ryan Lawrie, Matt Thomson, Max Lynedoch Graham, Gabriel Brandes
Lyrics by WOOZI, BUMZU, DINO

7.노래해(歌って)
Composed by WOOZI, BUMZU, 박기태 (PRISMFILTER)
Lyrics by WOOZI, BUMZU
Arranged by パク・ギテ (PRISMFILTER)

8.IF you leave me
Composed by WOOZI, BUMZU, Nmore (PRISMFILTER)
Lyrics by WOOZI, BUMZU, S.COUPS, ホシ
Arranged by BUMZU, Nmore (PRISMFILTER)

9.Ash
Composed by WOOZI, BUMZU, Vernon, Robb Roy, Nick Lee, Kyan Palmer
Lyrics by WOOZI, BUMZU, Vernon, Robb Roy

レビュー

1.HOT

◆かっこよさ ★★★★★
◆かわいさ  ☆☆☆☆☆
◆爽やかさ  ☆☆☆☆☆
◆切なさ   ☆☆☆☆☆
◆重低音   ★★★★☆

※個人の独断と偏見に基づく基準・項目・星による評価です。星は5個が最高値です。
重低音はTにとって大事な要素なので項目に入れています。ご容赦ください……!


さて、今回のカムバックはSEVENTEENが"I'm not SEVENTEEN anymore."と自らSEVENTEENであることを否定するティーザー(いわゆる全員脱退ティーザー)が話題となりました。
これは13人全員が早期再契約をしたという絶大な信頼が下地にあるから出来た演出にほかなりません。
とはいえ衝撃的だったことに変わりはなく、どんなカムバックになるのか気になるところでした。

SEVENTEENであることを否定しても結局はSEVENTEENである、ということなのかなと思いますが、そのタイトル曲がHOT

間違いなくあなたたち13人はホットな存在だよ!!と言いたくなります。いや、言いました。

カムバックした時はまだ完全な夏ではなかったですが、メロディーラインやMVの質感で夏だな〜と思わせる曲です。
SEVENTEEN流ウエスタンサマー。
治安が悪いところが最高です。

そしてアルバム名の'Face the Sun'ですが、ここにおけるSun(太陽)とはSEVENTEENだと考えます。

'Face the Sun'は「太陽に向き合う」という意味なので、とどのつまり、再契約したSEVENTEENがSEVENTEENと向き合ってSEVENTEENとして作り上げたアルバムなのかなと。(あくまでも私の考えです)

MV等の細かい伏線や考察は他の方々にお任せするとして、今回のアルバムのモチーフ&テーマは「ウエスタン」と「あつさ(hot)」「太陽にまつわるもの・こと」です。

HOTに限らず、他の曲のあちこちにウエスタン要素や太陽のことが出てきます。

HOTでのウエスタン要素はトラックの音とそのビジュアルですが、ウエスタンが舞台のアメリカ西部は暑い地域なのでまさに「HOT」なわけです。

歌詞の内容としては太陽のように熱い曲を世界に届ける、太陽よりも熱い存在にSEVENTEENはなる、といった決意が込められた曲なのですが
サビで「なんかこの感覚知ってるぞ?」となります。

というのも、SEVENTEENのHITに歌詞が似ているのです。(なんなら曲名も似ている)

★HOTサビ

우리는 Drop it like HOT HOT HOT (Oh 지금 Feelin’ so HOT)
僕たち Drop it like HOT HOT HOT (Oh 今 Feelin’ so HOT)

이 노래 Burnin’ like HOT HOT HOT HOT (Boom Brr Boom Boom)
この歌Burnin’ like HOT HOT HOT HOT (Boom Brr Boom Boom)

우리는 Drop it like HOT HOT HOT (Oh 지금 Feelin’ so HOT)
僕たち Drop it like HOT HOT HOT (Oh 今 Feelin’ so HOT)

Yeah I’m runnin’ too HOT HOT HOT HOT (Boom Brr Boom Boom)

태양을 향해 불붙여라
太陽に向かって火をつけろ

아주 뜨겁게 (Boom Brr Boom Boom)
熱く(BoomBrrBoomBoom)

태양을 향해 불붙여라
太陽に向かって火をつけろ

뜨거워 이 노래 Everybody 떼창
熱いこの歌 Everybody 歌え

★HITサビ

LET ME DROP THE 음악
LET ME DROP THE 音楽

LET ME DROP THE 음악
LET ME DROP THE 音楽

HIT HIT HIT HIT HIT SOUND
SAA
BRRRR SAA
SAA
HIT HIT HIT HIT HIT SOUND

ようするに、イケてる音楽をリリース(この世に落とす)するぜっていうことなんですが、HITとHOTで違うのはHITは音をメインにしている構成なのに対してHOTは歌をメインに据えているところでしょうか。
そもそもHITはSEVENTEEN史上最高難易度とも言われる群舞が見どころなので、魅せたい要素が違うこともあるのですが。

そしてこの記事を書いていて気付いたのですが、HOTとHITは他にも共通点があるというか、HITの延長線上にHOTがあるような気がしますし、逆もまた然りです。

ふたつの曲の世界観の共通点を探してみましょう。

총성이 울려 퍼진 다음 (Spicy한 Feelin’)
銃声が鳴り響いた後(SpicyなFeelin')

태양을 마음에다 쏴 (I just wanna do this)
太陽を心に撃って(I just wanna do this)

HOT

歌詞にもありますが、MVでもよくメンバーが銃を撃つシーンが出てくるHOT。
撃つ=HIT、ということでHOTにおける弾丸はHITという曲そのもの(さし引いてはSEVENTEENの楽曲そのもの)と解釈できなくもない。
深読みであることは認めます。(笑)

쇠뿔 달린 버펄로
牛の角がついたバッファロー

오직 직진 들이받아
ただ直進 突き飛ばして

HIT

HITに出てくるバッファローはアメリカバイソンとも呼ばれ、生息地は主にアメリカ西部・カナダ・メキシコです。
アメリカ西部=ウエスタン=HOT……繋がっちゃうんですねぇこれが……
ちなみに実際のカウボーイはバッファローを狩っていたそうで、切っても切れない縁だったようですよ。


We’re so hot super high yeh
we’re so hot

HIT

hotというスラング自体は珍しいものでもなんでもないのですが、この時点でhotと言ってたんだなぁと。


터질 것만 같아 I can’t breathe 뜨거운 심장이 (말을 안 들어)
破裂しそうだ I can’t breathe 熱い心臓が(言うことを聞かない)

벅찬 심호흡과 리듬 과열 Vibe
息切れする深呼吸とリズム 白熱 Vibe

HOT

Breathe Breathe Breathe
숨 쉬어 Baby

Breathe Breathe Breathe
呼吸してBaby

HIT

「息ができない」と歌うHOTに対して、「息をして」と諫める(?)HIT。
逆も成り立ちます。
息を整えたものの、結局息ができなくなるぐらい白熱した、のように。

そしてこのあとHITは以下のように続きます。

우리를 위해 이 노랠 부르자
僕らのためにこの歌を歌おう

한계를 넘어선 우리는 HIGHER
限界を超えた僕らはHIGHER

거칠은 새벽을 끝없이 달려
荒れた夜明けを果てしなく走れ

지금부터 해방 뛰어
今から解放 走れ

HIT

歌を歌う……そう、まさにHOTのサビに出てくる「熱いこの歌 Everybody 歌え」に通じます。
HITでは「僕らのため」と少々限定的だったのが、HOTでは「みんな」に範囲が広がっています。


そしてHITでは幾度となく「走れ」という歌詞が出てくるのですが、HOTでもよく走ります。

태양 위를 달리는 마차 (계속 달려 Uh)
太陽の上を走る馬車(走り続けるUh)

HOT

※この馬車というのは、カウボーイが馬車に乗っていたから&馬車馬のように忙しく働いてきたSEVENTEENのことを掛けているのかと思います。

세상을 사정없이 달려
世界を容赦なく走れ

HOT

깊은 숲을 헤치고서 달려
深い森をかき分けて走れ

HOT

HITとHOTの共通点のうちのひとつは「走る」。
今までも走り続けてきたし、これからも走り続けることの表れと捉えていいと思います。

また、HITでは「限界を超えた僕らはHIGHER」と歌っていますが、HOTでも

우린 Through the fire 한계를 다시 넘어
僕たちは Through the fire 限界をまた超える

어느새 우린 높이 올라가서 태양이 되어버릴 거야 Aw!
いつのまにか僕たちは高く上がって太陽になってやる Aw!

HOT

と歌っています。
HITで超えた限界のさらに先にある限界を超えて太陽になる……HOTの方が詩的ですが、HITの時より力強く感じます。

以上のように共通点が多々あるので、世界観的にHIT⇔HOTという式が成り立つんじゃないかな、と解釈しています。


2.DON QUIXOTE

◆かっこよさ ★★★★★
◆かわいさ  ☆☆☆☆☆
◆爽やかさ  ★☆☆☆☆
◆切なさ   ★☆☆☆☆
◆重低音   ★★★☆☆

今回のアルバムで1,2を争うぐらい好きなのがこのDON QUIXOTEです。
メロディアスな曲が好きなもので……かっこいいですよね、DON QUIXOTE。

曲名の通り、ドン・キホーテがモチーフの曲なのですが、
そもそもドン・キホーテってどんな話?というところから。
あらすじはざっくり以下です。

主人公はスペインの田舎の郷士で,騎士道物語を読みすぎて気が狂い,自ら遍歴の騎士となり,不正を正すために百姓サンチョ・パンサを従え,やせ馬ロシナンテにまたがって旅に出,さまざまな冒険に出会うが,最後には正気に返り騎士道物語を否定して死ぬ。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%86-107077#E7.99.BE.E7.A7.91.E4.BA.8B.E5.85.B8.E3.83.9E.E3.82.A4.E3.83.9A.E3.83.87.E3.82.A3.E3.82.A2

騎士道物語を読みすぎた主人公は現実と小説の世界の区別がつかなくなり、自らドン・キホーテを名乗って自称・騎士となり、冒険に出る話です。

周りから変人扱いされてもこの世界は小説に出てくる世界と同じであり、自分を騎士だと信じ込んで色々なことに挑戦するドン・キホーテですが、
この曲はそのドン・キホーテ精神に倣って誰になんと言われてもやりたいことをやってやる!という曲です。

すごく盛り上がりがあるような曲ではないのですが、メッセージ性が強い。

I Just wanna feel the vibes
모든 걸 불태운 밤

I Just wanna feel the vibes
すべてを燃やした夜

내가 미쳐도 좋아
Feeling like DON QUIXOTE

僕は狂ってもいい
Feeling like DON QUIXOTE


사람들은 손가락질해 It ain’t real It ain’t real
人は後ろ指を差して It ain’t real It ain’t real

겁먹지 않아 It’s real It’s real
怖がらない It’s real It’s real

미쳤다 해도 좋아 내 모든 걸 불태운 밤
狂ったとしてもいい 僕のすべてを燃やした夜

So come and call me DON QUIXOTE

DON QUIXOTE


冒頭からいきなり強い。
狂ってようがなんだろうがお構いなしです。
他人が「非現実的だ」と言おうが、当の本人からしたら追いかけたい現実なのです。
デビュー時から事あるごとに無理だのなんだの外野から言われたことに対してのメッセージなのかなと思います。

全体を通してずっとこんな感じなのですが、特に心に響いた歌詞があります。

Say my name DON QUIXOTE 두려운 게 없지
Say my name DON QUIXOTE 怖いものはないよ

Pay my day 오늘도 내일에 다 걸지
Pay my day 今日も明日に全部かけるよ

난 나를 알아 넌 나를 잘 몰라
僕は僕を知ってる 君は僕をよく知らない

난 겁에서 태어나 겁 없이 말 위로 또 올라타
僕は恐れから生まれ、恐れなくまた馬に乗る

DON QUIXOTE

どこがいいって、「僕は僕を知ってる 君は僕をよく知らない」のところ。
要するに「お前黙れ」ってことです。

そして「Say my name DON QUIXOTE」ですが、「Say my name SEVENTEEN(もしくはそれぞれのメンバーの個人名)」に置き換えてもいいと思います。
みんなの気持ちはおそらく一緒だろうし。

意味深なのは「僕は恐れから生まれ、恐れなくまた馬に乗る」の部分ですが、今回のカムバはSEVENTEENの恐れに焦点を当てているアルバムでもあります。(そのことについて歌っているのはM6.Shadow)
ティーザーでも13人の内なる恐れについて個別のティーザーを出しています。

人は生きていくにあたって色々な恐れを抱きますが、ここでいう「ドン・キホーテ」はその恐れの一部から生まれた、恐れを克服するためのペルソナのひとつだと思います。
この勇猛果敢な「ドン・キホーテ」は、やりたいことをやるために馬に乗って前進するわけです。

そしてここのパートはちょうど作詞に携わったウォヌのパートでもあります。
身内の不幸があった中でも前に進んでいかなければいけないウォヌの姿が歌詞と被ります。

ちなみに小説に出てくるドン・キホーテの馬・ロシナンテはやせ馬なので、多少見栄や虚栄を張ってでも前進していく、という意味もあるのかもしれません。

まとめ

絶賛ワールドツアー中のSEVENTEENが引っさげて回るアルバムとして、王者の風格を存分に発揮したアルバムとなった'Face the Sun'。
バラエティに富んだ9曲を楽しむとともに、7月18日にリパッケージアルバムが出ることも決定したのでそちらも楽しみに待つことにします。

それではまた!

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