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なぜ、作文が嫌いになるのか??

それは、書きたいことを書かせてもらえないからである。

作文は、自己表現であるが、自己表現になりえていない。つまり、教師に課題を言い渡されて、その時に子供たちが書きたいと思う題材について書くことができない。それが、作文嫌いを生む最大の要因だと思う。

先日、ショートショート作家の田丸雅智さんに国語「物語を作ろう」の単元のゲストティーチャーとして、本校でワークショップを行ってもらった。

田丸さんは、授業の導入で、「作文が嫌いな人、苦手な人はどのくらいいますか」と質問した。すると多くの子供たちが手を挙げていた。そんな子供たちが、田丸さんの手にかかると、子供たちは、2コマ(45×2)の時間、終始、集中して書くという表現に没頭していた。普段、作文の授業ではなかなか書けない子供たちが、作品作りに没頭して書く姿がそこらじゅうであったり、楽しそうに自分の書きた作品を見て欲しいと見せてくる様子があったりと・・とても微笑ましい光景がそこにはありました。

授業後、田丸さんとお話する機会がありました。田丸さんは、「書くという行為に対して、情動を刺激するようにワークショップを構成しているとお話話されていました。「型を教えることももちろん重要ですが、人が書く行為に対して、「書きたい、表現したい」という情動を大切にしたい」と・・

そのお話をもとに、授業を振り返ってみたい。

まず、一つ目のステップとして、自分たちの好きな言葉を好きなだけ思い浮かべ、ワークシートに書いてください。と・・・子供たちは思い思いに言葉を書き並べていく。「なかなか思い浮かばない人は、今見ているもの、今身につけているものなどでも構いませんよ」と、思い浮かばない子供たちもその言葉を聞いて、書いていく。

そのあと、第二ステップでは、書き並べた言葉から一つ選び、その言葉についての説明や自分が思うこと、感じることについて記載していく。

そして、三つ目のステップでは、一つ目のステップで書き並べた言葉と第二ステップで思っていることや感じたことの言葉を繋げて面白い言葉を紡ぎ合わせ、さらに、繋げた言葉を深堀して、どんなものか、どんないいことがあるかなど詳細に記載して骨組みを作成していく。

 例えば、第一ステップではさみ、カバン、第二ステップで、やさしい、やけどしそうと書いていたのなら、その言葉を繋いでみて、第三ステップでは、「やさしいカバン」や「やけどしそうなはさみ」という言葉を紡ぎ出し、「やさしいカバン」では、身に着ける人の体調によって重さが変わったり、夏は暑くないように素材が変わる。なので、よくないところは、夏の猛烈に暑い時は、涼しくなるようにと薄い素材に変わるので、思い持ち物を入れると破れてしまうとか・・・

 ワークでは、終始子供たちは、没頭していたが、この言葉と言葉を紡ぎ合わせるときに一番子供たちがキラキラと輝いていたように思った。好奇心をくすぐられるのだと思う。印象的な場面がたくさんあったが、ある子供が、田丸さんと関わっている時、言葉と言葉を繋ぐワークの際、「うんち」を繋げていいかと田丸さんに聞いたところ、むしろ「いいじゃん」と言われ、喜びながら私に話しかけてきた。そのあと、その子供は夢中になって作品づくりに没頭していた。

総じて感じたことは、田丸さんのワークには、子供たちが自己表現をするための余白があり、子供たち自身が自己選択、自己決定をする場面がワークの中にあった。それが、好奇心をくすぐり、没頭を生むのだと思った。

このnoteを書きながら、振り返って思ったのが、図工にも自己表現する余白があるんだろうなと・・だからこそ、子供たちは、好きなんだろうと思う。図工でも作るもの(課題)は決まっているが、そこに到る工程については、決められていない。そこに、子供の創造性が発揮される。それに比べて、作文は書く題材まで決められている。もっと、物語、随筆、詩、とジャンルの課題については決定するが、書くもの、内容については、子供たちに自己決定させることが必要だと思った。

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