偶然みつけたことば‐「逢フコト」ダケガ人生ダ
『偶然みつけたことば』とは、とくに脈絡なく、わたしが偶然に出会った素敵なことばを掲示するという、個人的なこころみです。
今回は、太宰治のことばから。
わたしはこの部分に行き会って、『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』のところにマーカーペンをいれた。
『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』。
このことばに出会うのははじめてではなかった。寺山修司が引いていたのだ。
けれど、寺山修司を熱心に読んでいたときのわたしは、彼のいっていることをしっかりとはまだわかっていなくて、このことばの意味も理解していなかった。
そして、あらためて太宰のことばと共にこのことばに出会って、はじめてその意味がわかった気がして、感動しながらマーカーペンをいれたのだった。
しかし、と少し経って考えはじめた。
真理を述べたようにおもう部分だが、果たして本当にそうだろうか。
逢ったよろこびは、すぐに消えるかもしれないけれど、
わたしがあなたに、新しく逢い続けることだってできる。
別離の傷心は、まこと深く、惜別の情も、まこと重いかもしれないけれど、
別離の後でさえ、わたしは新しいあなたに逢うことができる。
出逢いのきっかけはいつだって、わたしがあなたを深くみつめるまなざしに潜んでいる。
というわけで、わたしはむしろ、
『「逢フコト」ダケガ人生ダ』
といいたいのである。
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