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「シンプルだけど印象に残るロゴ」を作るために意識したこと

こんにちは、株式会社トラストハブでデザイナーをしている渡邉です。昨年7月からインターン生としてジョインし、会社HPから自社サービスのUI改善まで、あらゆるデザインを担当しています。今回、自社サービスのロゴリニューアルを担当したので、noteにそのプロセスをまとめてみようと思います。

こんな人に読んでほしい!
・ スタートアップのロゴリニューアルの現場を知りたい人
・ ロゴ作りに悩んでいるデザイナー

0. Cloveについて

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Cloveは2020年3月にローンチした、コレクターズアイテムに特化した中古販売・買取プラットフォームです。現在は遊戯王カードのみを取り扱っていますが、中には1億円以上の値段がついたカードもあり非常に付加価値が高まっています。Cloveができた経緯については代表の大懸のnoteをご覧ください。

1. ロゴリニューアルの背景

既存のロゴは約1年前に作られ、サイト内やSNS、広告クリエイティブなど様々な場面で使われていたのですが、少し使いづらかったり、次第に改善したい箇所が見えてきて、いつかロゴを新しくしたいという話が社内で出ていました。そこで、委託販売などの新機能が増え、Cloveブランドが急速に成長している今、このリニューアルプロジェクトを立ち上げました。

本記事ではマークの部分を「シンボル」、文字の部分を「ロゴタイプ」、それら2つを合わせたものを「ロゴ」と呼ぶことにします。
(画像引用: https://note.com/gurugle/n/n1086b78b0050)

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2. 課題の整理

まず、デザイナーの頭の中にあるモヤモヤをデザイナー以外にも伝えられるよう整理しました。既存のロゴに対する課題は以下の3つに分類できます。

既存ロゴの課題
1. シンボルの視認性が低い
2. ロゴタイプの汎用性が低い
3. 印象に残りづらい

1に関しては、シンボル内の斜め線や切り欠きの線がやや細く、遠くから見たときにぼやけてただの円に見えてしまうという問題があります。シンボルはサイトのファビコンやSNSのアバター画像など様々な大きさで使用されるため、より視認性の高い形を意識する必要があります

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既存のロゴ

2に関しては、既存のロゴタイプは元がオリジナルかつ特徴的な形であり、Clove〇〇といったロゴ展開をする際に他の文字を一から作る必要があります。今回のリニューアルでは既存フォントをベースとした汎用性の高いロゴタイプにすることを目指しました。

3に関して次の章で詳しく説明します。

3. 印象に残るロゴとは

ロゴはブランドを象徴する意匠であり、ロゴを通して自分のブランドを記憶・想起させる目的があります。そのためにデザイナーは色や形に工夫を凝らしているのですが、シンボルに関していうと、以下の3つのアプローチで人の記憶に残すことができると僕は考えています。

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記憶に残るロゴのための3つのアプローチ
① モチーフをはっきりさせて覚えてもらう
② 文字や記号として覚えてもらう
③ 単純な形の組み合わせで覚えてもらう

Cloveという単語は「クローバー(clover)」に由来し、既存のロゴは四葉のクローバーをモチーフにしています。すなわち上記でいう①のアプローチに当てはまりますが、おそらくシンボル単体を見ただけでクローバーが由来だと分かる人は少ないでしょう。一方で、③のように単純化した形かと聞かれると、丸や四角といった単純な形で作られている訳ではないため、記憶に残りづらいような気がします。

試しに、一番長くロゴを見ているであろう弊社メンバーに現状のロゴを見ずに描いてもらうことにしました。すると、ほとんどのメンバーが正しいロゴを描けず...。

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では、どうすれば印象に残るロゴになるのか。一つ目は①を伸ばし、よりクローバーというモチーフを想起しやすい形にすること。二つ目は③を伸ばし、より単純で明快な形にすること。この2種類の改善アプローチが挙げられます。

このような調査・分析を踏まえ、より印象に残りやすいシンボル作りを目指しました。また今回のリニューアルでは以下の前提事項を踏まえることとしています。

ロゴリニューアルの前提事項
・Cloveの信頼感、カッコよさを体現する
・ブランドカラーは赤のまま
・「シンボル+ロゴタイプ」という組み合わせはそのまま

4. シンボルの検討

まず、デザイナー2人で沢山スケッチをしてみました。現状に不満があったとして、どんな方向性で変えるのかや、そもそも変えるべきなのかまだ不確定な部分があり、とりあえず色々作ってみよう!と1、2週間ほど、作業の合間を縫ってロゴを作ることにしました。

前章で「2種類のアプローチがある」と話しましたが、ロゴを探す中でクローバーに近づけるアプローチだと、どうしても幼さ・可愛らしさが出てしまうことが分かりました。これでは「コレクターズアイテムを信頼して取引できるプラットフォーム」の象徴として好ましくない可能性があります。

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そこで、モチーフの中の「4つのパーツが集まっている」という特徴だけ継承して、もう一つのアプローチである「より単純で明快な形にする方向性で案出しを進めました

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その後、デザイナーの2人で合わせて7つの案が出され、デザイナー以外も含めた会議で客観的な意見をもらいながら、以下の3案まで絞られました。

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しかし、なんかしっくりこない...🥺

形をシンプルにしすぎた結果、オリジナリティーのないロゴが出来上がってしまったのです。単調な形すぎると、他のブランドと差別化ができず返って記憶に残らないという学びを得ました。

そこで、一番右の案を少しいじる方向性で形に動きをつけてみました。

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最終的に3つの案が残り、シンプルかつ躍動感がある、一番右のシンボルに決まりました!!決め手となったのは以下の3つです。

・それぞれの形が単純である
・ネガティブスペースが強調されすぎない
・遠くから見ても形が潰れない

5. ロゴタイプの検討

次に、ロゴタイプ(文字部分)の検討に入っていきます。Adobe FontsやGoogle Fonts、My Fontsなどのサイトでとにかく文字を探しまくり、大文字小文字の表記も改めて検討しました。(ちなみに同じ文字を見続けるせいでゲシュタルト崩壊を一日に10回ぐらい繰り返します😇)

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最終的に、ロゴタイプだけで見た時のバランスの良さも考慮して全て小文字の「clove」表記になりました。「Clove」だと右肩下がりのアンバランスな見た目になってしまい却下。「CLOVE」ではその問題は解決されますが、①シンボルに対してロゴタイプの主張が強くなってしまうこと、②「LOVE」という単語が悪目立ちしてしまうこと、の2つの懸念点があったため却下となりました。

ちなみに正式名称(=文章内の表記)とロゴの表記は統一されていないことが多いので、そこはあまり気にしなくて良さそうです(下記Twitter参照)

最後に、シンボルとロゴタイプを組み合わせた際のバランスを考慮しながら角丸の調整、カーニングなどを行いました。l(エル)の文字を尖らせて全体の丸々しい印象とのバランスを取ったり、cとeに遊びをもたせてたった5文字の中にも一体感が出るようにしたりと、視覚的な工夫を凝らしています

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さいごに

この記事ではブランディングの中の「ロゴ」に関する話をしましたが、ロゴだけでなく、ユーザーに関わる全てのことはブランディングに繋がります。これからもCloveは強いブランドにするために努力していきますので応援よろしくお願いします!!

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