パッケージとしてのソフトウェアとサービスとしてのソフトウェア - デジタルトランスフォーメーション時代のソフトウェア開発2
世界中の"むずかしい"を簡単にする株式会社diffeasyの取締役CTO西です。
この記事はアドベントカレンダー「diffeasyCTO西の24(にし)日連続投稿チャレンジ Advent Calendar 2019」の13日目の記事です。
パッケージとしてのソフトウェア
社会人としてSIerで働き始めて、ソフトウェア開発の仕事に従事し始めたのは、今から15年前の、2004年になります。
当時のソフトウェアは基本的にはパッケージでした。
パッケージとしてのソフトウェアとはつまり、ソフトウェア導入に対して一括で費用を支払うものです。
インストーラのCDで入れるソフトウェアをイメージしてもらうと良いかもしれません。
パッケージとしてのソフトウェアは、基本的にはソフトウェアの納品がゴールです。
その後のバグ改修やサーバーの保守作業、バージョンアップはありますが、バージョンアップはソフトウェアに対して大きな機能を追加するようなケースであり、数ヶ月もしくは数年後に次のバージョンを納品するイメージです。
ITが一般的になり、明確な課題が多くあった時代においては課題に対して適切なパッケージを導入することで業務改善につながっていたように思います。
例えば、交通費の管理、出退勤管理などは必要なパッケージを導入することで解決できました。
サービスとしてのソフトウェア
それに対してサービスとしてのソフトウェアとは、サービスに対して月々課金するようなソフトウェアです。
ITの世界ではSaaS(「サース」。Software as a serviceの略)を呼ばれます。
わかりやすい例では、AmazonPrimeなどが挙げられます。
ソフトウェアはインストールするのではなく、クラウド上で動きます。
サービスとしてのソフトウェアの場合、納品(リリース)はゴールではなく、むしろ納品がスタートになります。
顧客の要望に応じて柔軟に細かなバージョンアップをし、日々ソフトウェアを改善し、小さな機能追加が発生します。
永遠に完成することはなく、常にβ版のような状態です。
パッケージソフトウェアの時代からIT化が進み、企業においても課題を明確にすることが難しくなってきたように思います。
受託開発もサービスとしてのソフトウェアが必要とされている?
前回の「デジタルトランスフォーメーションとは - デジタルトランスフォーメーション時代のソフトウェア開発1」でも書きましたが、現在の社会において求められているのは、単に業務の一部を楽にしたい、ミスが多い手作業や人手がかかる作業を自動化したい、という守りのソフトウェアではありません。
長期的な経営戦略とビジョンからIT戦略を打ち出し、IT戦略に基づき、必要なソフトウェアを導入する必要があります。
そして、変化の激しい社会やITによる技術革新の中で、ソフトウェアを導入することをゴールに設定することは不可能です。
ゴール位置は常に前へ前へと変化していきます。
ソフトウェア開発においても、変化に対応していくためには最低限の機能の開発から始めて、現場で利用していく中で常に改善していく柔軟性とスピードが求められます。
従来の「保守契約」のようにただ単にサーバーをメンテナンスしたり、ソフトをメンテナンスするだけではありません。
変化していく社会や企業の中で、導入したソフトウェアを生きたソフトウェアにするためにも、攻めの改善が必要です。
DX時代のソフトウェア開発と保守運用
今回はパッケージとしてのソフトウェアとサービスとしてのソフトウェアについて説明し、デジタルトランスフォーメーション時代においてはサービスとしてのソフトウェアが求められる、と言う話をしました。
次回の記事では、デジタルトランスフォーメーション時代の今、IT戦略から考えるサービスとしてのソフトウェア開発の手順や手法について書きたいと思います。
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