心臓が ん゜ぎょえェーっ ってなった音楽 てれかす 『ちんとんしゃんてんとんいみ』

苦しい仕事、辛い人生。心が痛んでいるのを隠しながら、日々を取り繕って生きている感覚が絶え間なくある。
「冬は必ず春になる」「夜は明けて昼になる」なんて言われても、自分が今ここで涙を流しているのは確かだ。
叫んでも届かない、世界の隅で。前の見えない中、たった一人。ずっと一人。

―――逃げたい。
そんな言葉が口を衝いて出た。

てれかすさんの「ちんとんしゃんてんとんいみ」です。サイコーすぎるのでぜひ聞いてくれ~~。
もう語彙力が底をつきましたが、絞り出します。そしてオタクの残りかすだけしか残らない。
公式に解釈自由とあったので、できる限りの解釈をここには提示しようと思います。

・ちんとんしゃんてんとんに注目した場合

本楽曲の中で複数回使用され、さらに楽曲名までにも使われるこのワード。情報は調べると以下の通りらしいです。
・三味線の奏法を意味する
・少年アシベの曲の歌詞
・小島よしおのネタのフレーズ
おそらく、これらは関係ないでしょう。
楽曲名を標榜した公式楽曲リンクでさえ、 ちんとんしゃんとんてんいみ.teleka.su と誤字があるほどですので。(別に馬鹿にしているわけではない!!!!!!!)
しかし、何かを象徴したワードであることは確かです。それは一体何か。
それを考えます。

考える一つのヒントとして、まずは歌詞を見てみます。

ちんとんしゃんてんとんってマジでどういう意味…?
ちんとんしゃんてんとんってマジでどういう意味…?
ちんとんしゃんてんとん ちんとんしゃんてんとん
ちんとんしゃんてんとんってどういう意味?!

PVではこの歌詞の部分を、目を「><」にして苦しむように歌っていました。
それらから推察するに、ちんとんしゃんてんとんは「私たちが苦しみながらも、意味・目的・正解を追求するもの」であるとわかります。

次に、この部分の一番の歌詞を見てみます。

Hold on うどん持ったらめっちゃ熱いし
冷めたり仕事はかったり~
伸びる伸びないもどうでもいい
麺類おいしいそれだけ大事
土日は夜ふかし大惨事
隅っこの僕らの物語
夜な夜なペン握り
世界にぶちかますぜハッタリ

ここから、歌われている人物像を以下のように考察します。
 ・「隅っこの僕ら」→脚光を浴びない、ありふれた人間
 ・「仕事はかったり~」→自分の立場に納得していない
 ・「麺類美味しいそれだけ大事」→日常の機微に楽しさを見出そうとする積極的な姿勢
 ・「夜な夜なペン握り」「世界にぶちかますぜハッタリ」→今なお夢を追い続けている

最後に、これは答えからの逆算なのですが、同氏の楽曲に注目してみます。
てれかすさんの楽曲の特徴は、VRCを題材にした曲が多い点でしょう。
#ぶいちゃでいちゃいちゃがその代表でしょう。
その一節に、このような一節があります。

標識従って 景色はもう見えないや

「標識」から、これは道に例えた暗喩であると考えられます。
これが「ちんとんしゃんてんとん」に関連するものを比喩として例えていると考えるならば、以上の2つの要素も合わせて、歌われている人物像について以下のことが推測できます。

夢を追いながらも、その成果はいまだ実らず、うだつの上がらない日々を送る。
冴えない毎日の中でうどんを一人ですすりながら自問自答する。
自分は、このままでいいのか。自分は今、正しい生き方をしているのだろうか。

以上の推論に基づくならば、「ちんとんしゃんてんとん」は「自分の生き方」を意味していると言えましょう。

・歪曲に注目した場合

この歌を最初から最後まで考えるにあたって、ねじれを感じる箇所があります。それは以下の二箇所です。

ゆるい ゆるい ゆるい ゆるい (ゆるい) ゆるい世界に出かけようか
トライ トライ トライ トライ (トライ) トライばっかうるさいな
世界にぶちかますぜハッタリ

前者は、成長や変化がないことを肯定しています。
しかし後者は、自ら革新を起こそうと息巻いています。
真っ向に対立する主張が同曲に混在しているのは自明でしょう。
では、いったいこれらはどのような関係でつながっているのでしょうか。
以下に複数の勝手な解釈を示し、その先にこのねじれの意図を邪推します。

1.そもそもねじれていないなら

そもそも論です。前者の女性パートであるサビの歌詞を前後含めて見てみます。

つらい つらい つらい つらい (つらい) つらいこと投げ出して
ゆるい ゆるい ゆるい ゆるい (ゆるい) ゆるい世界に出かけようか
トライ トライ トライ トライ (トライ) トライばっかうるさいな
迂回 迂回 迂回 迂回 (迂回) 迂回して進もうよ

ここで、迂回の意味を調べてみます。

【迂回】
目的地に行く際に距離の長い経路を通ること。
(weblio類語辞典 https://bit.ly/3jLZzI2 より)

すなわち、変化や進化を否定するのではなく、ゆるやかであるが肯定をしている。ゆえに矛盾はないと言えます。
しかし、それだといよいよパートを分けた意味がなくなります。もちろん、音楽的に聞こえが良くなるということもあるでしょうが、僕はここにクリエイターの意図を感じずにいられません。
もう少し、別の可能性を考えてみましょう。

2.パートごとに歌い手が変化するなら

まず、この前者が女性パート(ボーカロイドパート)、後者が男性パートであることが何を示すのでしょうか。

完全に勝手な解釈なのですが、私はこれをそれぞれ別の人物によって歌われているものと捉えます。
もしそうならば、上で先ほど考えた人物像は男性パートの人物でしょう。では、女性パートの人物は一体誰なのでしょうか?

上記の通り、てれかすさんの最大の特徴はVRCに着目している楽曲が多いことでしょう。もし、今回の楽曲もその一環であるとすれば、解釈の一助になるのではないでしょうか。

私は女性パートを「VRC世界での彼(彼女)」と、男性パートを「現実世界での彼(彼女)」と考えます。その解釈に基づくと、歌われている人物に対し、以下の推論が立ちます。

現実世界で梼昧とさえ思える日々を暮らす中、VRCに触れるうちに、自らの生き方に対しての疑問が・わかだまりが、肯定されるような感覚を覚えた。
肩の力が抜けるような不思議な感覚。それは今までにない温かな変化。
初めはVRCだけに居場所を感じていたが、自身の変化が周りにも影響するようにして、次第に現実世界でも変化が起きる。
そうして、最後は冷たい現実世界と暖かいVRC世界の乖離がなくなり、本心から言えるようになったのです。「迂回して進もうよ」と。

その証拠に、最後は男性パートで以下のようにして締められています。

つらい つらい つらい つらい (つらい) つらいこと投げ出して
ゆるい ゆるい ゆるい ゆるい (ゆるい) ゆるい世界に出かけようか
トライ トライ トライ トライ (トライ) トライばっかうるさいな
迂回 迂回 迂回 迂回 (迂回) 迂回して進もうよ

これはすなわち、うだつの上がらない一人の人間が、VRCに影響されて、世界を少しづつではあるが明るく見られるようになった―――そんな希望の変化を歌った歌であると言えます。

・以上より導いた場合

結局、この曲における主張は何だったのでしょうか。
(以下は以上よりも完全に自分の邪論になります)

私が思うに、これは変化の歌であるとおもいます。上でも書いたように、VRCに出会うことによって起きた―――世界には何も影響もないかもしれないけれども―――希望に満ちた変化が一人に起きたことは事実です。

それを歌に乗せて、言葉に乗せて。世界の片隅であっても、誰かに一歩踏み込む勇気を与えられるように。たった一人でもいいから、変化するのを恐れないでほしい。そんな真っ直ぐな思いが、込められていると思います。

ここからは私の話になるのですが、不安を綴りまくった時がありました。そして、その不安のピークは2月。その頃には食事が喉を通らない時期さえありました。
そんなときに出会ったのが「ちんとんしゃんてんとんいみ」でした。初めは何気なく聴いてました。閃光のように何かが分かるような、不安が溶けるような感覚もありませんでした。私にはそんな感受性さえありませんでした。しかし、安心だけは感じることができました。

そうして私は選べたのです。変化を。

「勇気を持つ」なんて言葉は、成功者の妄言だと思います。どんなときだって、挑戦するときは向こう見ずでしかない。そのときに感じる不安には目を背けているのは確固たる事実なのです。

しかし、それは悪いことではありません。不安に目を背けても、誰かのために、自分のために、何かに挑めるなら素晴らしいことだと私は思うのです!

私もこの歌のように、少しづつでも変わっていこうと思います。長文お読みいただき、ありがとうございました。




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