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人事部無しで100人を超えたFinatextが実践するフィードバック・評価制度

こんにちは、Finatextでエンジニアをしている田島です!
いつもはTechBlogを書くことが多いのですが、今回はFinalog!で弊社のフィードバック・評価制度を紹介します!

最初に一つの大きな特徴を紹介したいのですが、弊社は現時点で国内で100人強の組織なのですが、いまのところ専任の人事部や担当者を設置していません。ではどのようにフィードバック・評価制度を運用しているかというと、他の職責も持つメンバー数人が中心メンバーとなり、全社を巻き込む形で運営しています。運営に関わっているメンバーのうち、私は主な担当領域としてはエンジニアリングをしていますし、他のメンバーも担当はBizDevだったりします。

制度の改善も、この記事で紹介するアンケートやフォーラムにより、職種関係なく全社の有志メンバーによって行われています。これによって、フィードバック・評価制度を "会社から強いられているもの" ではなく "自分たちにとって必要なもの" にする力が強く働いていると思います。 この点が一番注目すべきユニークなポイントではないかと思っています。

100~200人規模の会社の評価制度をどんなものにすればいいのか悩んでいる方や、弊社への入社を検討している方の参考になればと思います!

フィードバック・評価制度の全体像

弊社のフィードバック・評価制度は、主に以下の4つのステップで構成されています。
・セルフマネジメントシートの記入
・P2Pフィードバック
・Corpフィードバック
・Finalフィードバック

これに加えて、次回以降のフィードバック・評価制度の運用を改善するために、
・アンケート
・フォーラム
 
を行っています。
※社内施策ついてテーマを絞って改善を話し合う場をフォーラムと呼んでいます。

これらがセットで1サイクルで、これを半期に1度実施しています。
規模感としては、弊社グループのうち日本で働く約100人ほどがこの運用の対象になっています。

それぞれの取り組みについて詳しくご紹介します。

フィードバック・評価制度の狙い

私達は、この施策によって、
・メンバー各自の成果の「Update×∞」を加速する
・メンバーの成果を評価する

というのを実現しようとしています。

「成果」は、「貢献」と「成長」の2つに分解して考えています。
「貢献」は「会社の売上を伸ばす・プロジェクトを完了させる」といった直接的なもの、「リスクを低減する施策を行う」といった間接的なものを指します。ここに「成長」を明確に含めているのは、変化の大きいビジネス領域で会社として大きな成果を出すためにはメンバー1人ひとりが現時点の能力だけで戦うのではなく、継続してより多くのスキルや経験を身に付けていくことが大事だと考えているからです。そしてこれは、求められる比率は違えど、社内のすべてのメンバーが求められます。

「Update×∞」というのは弊社の Principle の1つで、組織も人もプロダクトも常によりよい姿を追い求め、改善し続けようという考えです。

一般的な評価制度というのは、「評価」のニュアンスが強く、「メンバーの成果を評価し、報酬を決めるためのもの」という扱いになることが多いのかなと思いますが、弊社の場合は「成果の最大化」ニュアンスも強くあり、各メンバーが「どうやったら次の半期でより大きな成果をだせるようになるか」を考えられるような場にしたいという思いがあります。

各ステップの詳細

セルフマネジメントシートの記入
一番最初のステップです。
各自が、自身のこの半期の「成果」を「成長」と「貢献」に分けて書き出します。
これが、一連のフィードバックの軸となる資料になります。

このシートは原則として全員分全社に公開されていて、誰がどんな内容を書いているか(そしてどんなフィードバックを受けたか)は誰でも見れるようになっています。一般的に、こういったフィードバックや評価に関するシートを全社に公開しておくというのはめずらしいかもしれません。公開することで、より誠実でよく考えられたフィードバックが行われることや、よかったフィードバックを参考にして他のメンバーのフィードバックの質が上がっていくことを期待しています。

P2Pフィードバック
メンバー同士が、「それぞれが次の半期でより大きな成果を出すために必要なことをフィードバックし合う」のがこのP2Pフィードバックのステップです。いわゆる「360度評価」に近しいものなのですが、一般的な「360度評価」と異なるのは、このステップの主な目的は「メンバーの成果の評価」をすることではなく、「成長のためのアドバイスを伝えあうこと」であるということです。

このP2Pフィードバックを評価と切り離したい理由としては、自分のフィードバック内容が相手の「評価」に反映されるという前提だと、気を使ってしまって率直でネガティブなフィードバックがしにくくなるという仮説を持っているからです。「評価に直接反映されない」というのを明言することで、忌憚のないフィードバックがしやすくなることを狙っています。

具体的な運用としては、
・各メンバーが、自分がフィードバックをもらいたい人を指名し、その人からフィードバックをもらう。
・フィードバックをもらう推奨人数は3人で、時間は30分程度。ただし人数や時間は各自の判断で増減させてよい。
・フィードバックの内容は、前述のセルフマネジメントシートにも記載する。

という対応を行います。

この類のフィードバックは、「きっかけがあるほうが嬉しい」と考えるメンバーもいる一方で、「半期に1度という頻度ではなく、より高頻度でやるべき」という考えもあり、実際にそれを実践しているメンバーもいます。よって、このP2P フィードバックの実施は必須ではなく、任意での対応となっています。

Corpフィードバック
弊社では、各ビジネス領域 (証券・保険・データ...等) に、ドメインリーダーと呼ばれる責任者がいます。
このドメインリーダーが、各メンバーの「成果」を評価するステップがCorpフィードバック (コーポレートフィードバック) です。ここでは、P2Pフィードバックとは一転して明確に「評価」を行います

事前の対応として、
・メンバーは「セルフマネジメントシートに記載された内容」ないしは「日常的な仕事の進め方」によって自身の「成果」を示す。
・ドメインリーダーは、メンバーから示されている材料や、必要に応じた別のメンバーへのヒアリングをもとに「成果」を把握する。
というのを行います。

これらの対応が行えている状態で、ドメインリーダーからメンバーに対して30分のフィードバックを行います。
ここでは、「ドメインリーダーが把握しているメンバーの成果」についての説明と、そこに齟齬や漏れがないかの確認が行われます。ここで話され、ドメインリーダーとメンバーで認識の揃った内容が、そのメンバーの半期の「成果の評価」となります。

Finalフィードバック
Corpフィードバックですり合わせた「成果の評価」を元に、CEO林とCFO伊藤がメンバーの報酬(の変更分)を決定します。
それを、林から各メンバー全員に通知します。1人あたり5分なのですが、人数が多いのでかなりの時間がかかります。
ただ、この時間をかけてでも林が直接通達することが大事という考えの元に今の形にしています。

アンケート
アンケートはこの半期(20年下期)から新たに取り始めました。
これは、今のフィードバック・評価制度の仕組みが「メンバーにとって有益なものとなっているか」「妥当と思える評価ができているか」といった観点の定点観測をすることを目的にはじめました。

今回は、せっかくなのでアンケートの結果も一部公開します。

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ひとえにアンケートを取ると言っても、様々なバイアスが入りうる余地があり、この結果だけを盲信することはできません。
よって、この記事でこの結果の良し悪しの解釈について言及することはしませんが、エンジニアリングと同じで、計測する指標がないところに改善はないので、今後も継続していく予定です。

フォーラム
アンケートをとっている理由でもありますが、私達は今のこの運用が完成されたものだとは考えていません。社内外の状況の変化に合わせて、この運用自体も Update×∞ していく必要があると考えています。

そのために、毎回フォーラムと呼ばれるミーティングを開催して、制度の改善ポイントをディスカッションしています。
前回までは、ほぼ全メンバー参加で開催していたのですが、今回はアンケートを取り始めたこともあり、希望者のみでの開催となりました。(もちろんディスカッションの内容は全社に公開しています。)

ディスカッションしたテーマの例としては、

・アンケートの結果を見たみんなの解釈
・P2Pフィードバックを全メンバー必須にしなくてよいのか
・P2Pフィードバックを評価と明確に切り離すのは無理なのではないか
・みんながP2Pフィードバックでより有益なフィードバックをできるようになるためにどんな施策ができるか
・CorpフィードバックとFinalフィードバックはマージしてもよいのではないか
・アンケートは匿名で取得したほうがいいのではないか (今回は意図して実名でアンケートをとりました)

といったものがありました。

冒頭、専任の人事部や担当者が設置されていないというのをお伝えしましたが、その体制が限界を迎え、メリットよりもデメリットの方が大きくなったときにはきっとこのフォーラムでそれが議題になると考えています。

ドメインリーダーとフラットな組織

弊社は、よく採用文脈などで「フラットな組織です」という表現を用います。今回の記事の文脈からは少しそれますが、評価と組織構造は切り離せない話題だと思うので簡単にふれておきます。

メンバーを評価するドメインリーダーという存在は、「フラットな組織」と相反する概念ではないかという考えもあると思いますが、今の私達の判断では、今のような評価制度を円滑に回すためや、その他の要因から、ドメインリーダー(最終責任者)は明確にたてる必要があると考えています。一方で、社内で行われるあらゆる議論や意思決定は、その立場に関係なくフラットに行われています。それはこのフィードバック・評価制度の改善においてもそうで、ドメインリーダーの意見も他のメンバーの意見と対等に扱われています。

このあたりは、また別の記事で詳しい考えをお伝えできるといいかなと思っています。

まとめ

この記事でお伝えしたかったことをまとめます。

・Finatextのフィードバック・評価制度は専任の人事部・担当者を設置せずに運用・継続的な改善を行うことで、
"自分たちにとって必要なもの" である状態を維持しようとしています。
・フィードバック・評価制度が「評価をするためのもの」だけでなく「今後の成果をより大きくするためのもの」としても機能するように努力しています。

最後に、運営に関わっている私としては、「エンジニアだから技術のことしかやらない」ではななく、Beyond の精神で組織の仕組みづくりにも携われるというのはとてもおもしろく感じています! 現状の制度には様々な穴や考慮不足の観点があるとは思いますが、これを改善していくのも今の規模のスタートアップで働く醍醐味かなと思っています。

この記事を読んで「こんな会社で働いてみたい!」とか「自分だったらこんな制度にするぞ!」などと思った方は、ぜひ以下のお好きな方法でご連絡ください!

採用サイト: https://hd.finatext.com/recruit/
カジュアル面談: https://forms.gle/sBGP8dMsysJUw7uq7
田島のTwitter: https://twitter.com/s_tajima


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