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とろみでまとめる休日

彼は鍋を使った長時間料理が得意、言い換えれば「日常的な助かる料理」は作らない。気が向いたときにキッチンに登場し、カレーや鶏ハムなど引っ越し祝いにもらった真っ赤なル・クルーゼで腕を振るう。

今週末は潔く予定がない。暇ができると彼の煮込み欲は高まる。昨日(金曜)の買い出しで豚の塊肉を購入。時間と金がかかるが、達成感を得られる料理でおなじみの角煮に挑戦するようだ。私は一人暮らし時代に挑み、そのコスパ・タイパの悪さから角煮はお惣菜売り場で買うものと結論づけた。

今日は外気と自分の境目が曖昧になるほど心地よい気温で、朝から散歩へ。帰宅して早々に角煮づくりに取り掛かった。
スマホで調べて一番上に出てくるレシピを見て、「え?まず2時間下茹で?聞いてないんだけど?」と衝撃を受ける彼をなだめフォローしまくる。なぜなら日頃料理担当の私からすると、彼の非常に稀有な煮込み欲をそぐことは絶対に避けたいのだ。無事達成感は何にも代えられないことを受け入れ、彼は真摯に鍋に向き合い続けてくれた。

今回のレシピは食べる直前に片栗粉でとろみをつけるというもの。
母が作ってくれる煮汁少な目角煮を正としてしまっていたが、なんだか餡がかかると大層リッチな見た目に仕上がった。

私はフリースタイル・クッキング(冷蔵庫の中身をみてその場で作りながら考えるやつ)の際、最終的に野菜炒めなど餡をかけてごまかすことが多い。そもそもあんかけ焼きそばなどとろみがついた料理が大好きなのもあるが、なんか丸く収まった一件落着感が出るのだ。

実際に夕食でメインとなった角煮はいい意味で別物、餡があることでよりお米とも合い美味しかった。全くごまかしの末のあんかけではなかった。ただ中華料理で出てくるような高貴な角煮を作り上げた彼だったが、結局はあっさりと私と同じ結論を出していた。

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