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私の欲しいものは貴方には絶対出せない

千と千尋の神隠しが公開されたとき
わたしは小学1年生ぐらいだったと思う。
前評判が良いからって母が前売券を買って用意してくれていた。
てっきり母を独り占めできる!喜んでいたけど、そのころ妹が産まれての赤ちゃんでお母さんは手が離せなく
結局おばあちゃんと行くことになった。おばあちゃんは好きだし、おばあちゃんとお出かけするのも楽しいけど。
けどどこかなんか悲しい気持ちになったのを今でも覚えてる。


当日は早めに映画館について、ジュースとポップコーンを買ってもらった。
シアターに入ってもまだ時間があって、ここで待っててといってと
おばあちゃんはノートやらグッツを買ってきてくれたのを覚えてる。こんなにいらないよ〜って言いながら、お母さんじゃこんなに買ってくれないや、ラッキー!って思ったことも覚えてる。
(このグッツ使わなきゃ良かったな、大切に日記とか書いてたなあ)
こんなに映画を見る前のことは覚えているのに、肝心の映画の内容やその時観て何を思ったかは覚えてない、というか理解ができなくて記憶もないんだと思う。

これが、わたしのファーストせんちひ。

そこから幾度なく観てきた。
観れば観るほど、新しい気付きがあって
毎回響く台詞が変わってくるのが楽しかったし、この台詞が響くってことは、ああ今わたしはこういう所に躓いてるんだなって自己分析するのが好きで。
どんなときもわたしを励まして、背中を押してくれているような気がして。
なんとなく息詰まるなと思った時の救世主てきな映画だった。

就活中や社会人1年目の時なんかは釜爺の
「手出すなら仕舞いまでやれ」って台詞がとても好きだった。
嫌なこと 逃げ出したいことがあっても
よし!わたしももうひと踏ん張り。最後まで頑張ろう
って映画見る度に自分を奮い立たせてた。

社会人も中堅になってくると、今までそこまで好きでなかった湯婆婆の事がとても理解できるようになった。
世の中には決まりがあって、筋を通さないといけないことがあって。
大人になって湯婆婆は良し悪しはあるとしても間違ったことはひとつも言ってないなって気付かされたり。

そんなこんなで、今回響いた台詞は。
「私の欲しいものは、貴方には絶対出せない」だった。

大学を卒業して、憧れだったブランドに就職して副店長まで絶対は頑張る。
そしてそうだなぁ、社会人2年目くらいには実家を出てよう。
その辺で将来をちゃんと考えれる彼氏を作ってゆくゆく結婚しよう。そうだな、25,6歳で結婚しよう!

22歳ぐらいのとき、わたしはこんな夢を抱いて
その夢のために頑張った。頑張ることが楽しかった。
どんどん描いてたものが現実になっていくし、現実にならなくてももっといい方法が思いつくし。
なんかマリオのスター状態な感じ、ヒェーーーイって毎日を全力で走り抜けてる感じ、疲れるけど嫌な疲れじゃなくて。

結果、全部叶えちゃった。憧れのブランドで売上もクリアして副店長まではスムーズにいけたし
社会人2年目で実家も出た。その頃に彼氏もできて、その彼と25歳で結婚した。ぜーーんぶ叶えちゃった。

スター状態で突っ走ってきたけど、突っ走りすぎて
次の夢のことをわたしは全く考えてなかった。
最初は思い描いてたことゴールしちゃったもん、幸せだーって思ってたけど完全にいま燃え尽き症候群で。

そんな長い燃え尽き症候群の中の今のわたしに
「私の欲しいものは貴方には絶対出せない」って台詞がすごく響いた。
千尋は欲しいものが真っ直ぐに明確で、その為ならなんでも頑張るぞ。ってとても綺麗で眩しくて羨ましくて。
そんな千尋にこんな真っ直ぐな台詞を言われたもんだから、アッアア…しか言えないカオナシの気持ちがものすごく共感できて。
カオナシに共感する日が来るなんてほんとね、
少し前のスター状態のわたしが見たらびっくりよ。

第一線で仕事をばりばりと頑張ってる友達を見ると
羨ましいなって思う。でも今わたしにあのエネルギー残ってるのかなと弱気にも考えちゃう。

そしてもしかしたら、おこがましいけど。もしかしたらね。
友達はこんなゆったり退屈な日々を過ごしてる私のこと羨ましいって思ってるかもしれない。

なーんて考える。
結局は無い物ねだりなんじゃないかと。
なら、もっと自分に自信持ちなよ。と

色々とだらだらと書いてしまったけど
何回観てもほんとその時々で胸に刺さる台詞が違う
千と千尋の神隠し、最高!

また次観る時はどんな言葉がわたしを
励ましてくれるのか楽しみだ。

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