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金木犀とお葬式


京都を歩くと、むせかえるほどの金木犀の香りです。
突然寒くなった季節に恐ろしくなって、にわかじこみのトレンチコートの裾をぎゅっとにぎる、ああ冬が、やってくる。

年を重ねるに連れ、怖いことがなくなったなと思っていたけれど
年を重ねるに連れ悲しみもなくなるもんかなあと思った祖母のお葬式でした。
死んだ叔母の日記帳を、そっと亡骸のそばに置く事しかできなかった。
叔母の日常は美しい青春のままに留まり、わたしに自死についての問いかけを残したまま、
わたしは少し、息苦しくて、息苦しくて、この先の生き方を問われる思い。
美しく、生きたいとずっと思っていたけれど、今は全て放棄して、くらりとする幻想に逃れたいとそればかり。


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