ゲイとレズビアンのカミングアウトに特別な意味はなく、特別な配慮も必要ない

最近Twitterで、教師が子どもに「自分はゲイだ」とカミングアウトすることへの批判が複数流れてきた。
批判の趣旨は、こんな感じ。

・性的な話をするな
・子どもが他の人に言ったら「アウティングだ」と怒ったり訴えたりしてくるのだろう
・子どもにケアや配慮を求めるな

それで、この批判は全部おかしいと思う。
ゲイやレズビアンには、日常生活において特別な配慮は必要ないし、そのカミングアウトにも特別な意味はないからだ。
いや、ゲイやレズビアンが差別をされている現状では特別な意味を持つかもしれないが、本当には、本質的には、特別な意味はない。

尚、ここでは、トランスジェンダーやクィアやXジェンダーについては触れない。
それらにはまた別の議論や配慮が必要だ。

ということで、先ほどの批判に反論していく。

性的な話をするな

「私はゲイです」「私はレズビアンです」は性的嗜好の話であるから、確かに性的な話に聞こえるのはわかる。
それを意味もなく喧伝するのは、確かに周囲にとって不快なことだ。
ただ、そういう人は、「私は異性愛者です」「髪の長い人が好きです」「筋肉がある人が好きです」という話も、同じように性的な話だと批判してくれ。

それで、性的嗜好を喧伝するのではなく、自分の生活の話をする際に、「僕には彼氏がいます」「私には彼女がいます」と本当のことを言うことがある。
そこには、確かに「私はゲイです」「私はレズビアンです」という前提が含まれている。
子ども相手なら特に、知らなくて「え?」となるから、「そういう人もいるんだよ」という説明として、「ゲイなんだ」「レズビアンなんだ」と伝える必要も出てくる。

でも、それを言い出したら、「僕には彼女/妻がいます」「私には彼氏/夫がいます」という話だって、同じだ。
そこにはやはり、「私は異性愛者です」という前提が内包されている。

なぜ前者だけ批判されるのか。
同じことではないか。
ゲイやレズビアンは、特別でない。

子どもが他の人に言ったら「アウティングだ」と怒ったり訴えたりする

自分から子どもたちに公然と話したのに、それが広まったら怒ったり訴えたりするとしたら、カミングアウトした側がおかしい。
公然とカミングアウトしたなら周りに広まっても構わないという覚悟を持っているだろうし、そうでないのに話してしまったのなら、それはカミングアウトした側が悪い。
(信頼できる個人や少人数に秘密として話したのなら、アウティングは問題だ)

それで、ただ、もし「あの先生ゲイなんだって」「彼氏がいるんだって」という内容を、悪い意味で広める人がいたとしたら、それは怒られても仕方がない。
また、それで人権侵害や不利益な扱いをした人がいたなら、それは訴えられても仕方がない。

ゲイやレズビアンであることを知られることは、本来は問題がないことだ。
自分から公然とカミングアウトしたのなら、それ自体が広まることは覚悟しなければならない。

でも、それで差別的な扱いをされたなら、怒ったり訴えたりしても良い。
ショートカットの人が好きだから、太っているから、髪の毛が薄いから、とにかく何の理由でも、差別されたら怒ったり訴えたりして良いでしょう?

ゲイやレズビアンは、特別でない。

子どもにケアや配慮を求めるな

ゲイやレズビアンだから必要なケアや配慮って、何かあるだろうか?

異性愛者だと決めつけての会話をしないとか?
それは単純に、人として、「どんな女の子が好きなの?」「美人だから彼氏いるんでしょ?」みたいな話を誰にもしないべきなのではないだろうか。
相手が異性愛者だろうがそうでなかろうが、普通に気持ち悪い会話なので。

あとは、ゲイやレズビアンだと知ったからしなければいけない配慮って、何かあっただろうか。
あったとして、例えば「髪の毛の薄い人には髪の毛の話をしないでおく」「最近ペットを亡くした人にはペットの話をしないでおく」「ダイエット中の人にスイーツの話をしないでおく」「光に過敏な子の席は窓から離す」みたいな範疇の配慮ではないだろうか。

それでもし、ゲイやレズビアンだからと、人として当然以上の配慮を求めてくる人がいたら、単純にその人がおかしい。

但し、例えばゲイやレズビアンだからと揶揄われて辛いから授業をリモートで受けさせてほしい、みたいな要望は、揶揄う側が悪いので、可能な限り要望を聞いたり、揶揄う子を注意したりすべきだ。
でもそれは、背が高くて揶揄われるとか、勉強ができなくて揶揄われるとかでも、同じように対応すべきことだ。

それで、どんな辛い人生を送ってきていても職員室でいじめられていても、教師が子どもにケアを求めるのはおかしいのだから、やはりそこにもゲイやレズビアンは関係がない。

やっぱり、ゲイやレズビアンは特別でない。

まとめ

ゲイやレズビアンは特別ではないし、可哀想でも何でもない、ただ普通に生きている人間だ。
他の人と同様に人として尊重して関われば、特別扱いの必要はないはずだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?