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受験生には正月がない?(塾講師による「二月の勝者13巻」読書会②)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

さて前回に引き続き二月の勝者13巻を取り上げます。前回は講師間のチームワークなどについて話しました。1人の生徒に対して厳しく指導する先生と、ガス抜きをする先生がいるようにするということでした。

今回は、塾が受験番号を回収する意味や受験生たちの正月の過ごし方、そしてそれに対する講師の対応などについて見てゆきます。

受験番号回収は塾にとって意味あるの?

ー「二月の勝者」の中で塾側が生徒の受験番号を確認していますね。受験番号の回収というのはいつ頃始まったのですか?

夏田:早稲アカはずっとやっていますね。

三宅:SAPIXもずっとやってる。

増田:日能研はその辺ゆるいですよね。

ー最近はWEBでの合格発表が多いと思いますが、掲示板方式の時は塾講師が現場まで見に行くのですか?

増田:行く行く。

三宅:何番ある!何番ない!ってやる。

松田:写真とる方式に段々なりました。

増田:速報で何名合格って出すんですよ。1月中とか、2月の初めとかに。その時にデータの照合をしなきゃならないから絶対必要なんですよね。

夏田:実際今は掲示板でない限り意味ないんじゃないですかね。

増田:後合格発表当日に絶対家庭に電話する塾もありますね。

三宅:サカセルのことを話すと、うちは塾としては番号は回収してないね。しなくても結果を教えてくれるだろうし、別に受験の結果は家庭が最初に見てほしいなと思ってる。

三宅:実際塾にとって速報で合格者数が出せたら何がプラスなのかよくわからないな。

増田:僕もよくわからないですね。

増田:みんなやってるから慣習でやってるところが多いと思う。

増田:またそれも来年以降変わっていくかもね。

三宅:大体、結果が芳しくなかった家庭とかに電話をかけたりしてもね。家庭だって整理する時間が必要なんじゃないかな。

三宅:塾との関係もそれぞれだし、塾から電話をかけて喜ぶ家庭ばかりではないよね。

咲良:まあ、でも1日2日とスケジュール組んで受験していると思うから、もし落ちちゃってたら明日に備えてねというメッセージを送る場合には電話はしやすいかな。可能なら問題の見直しまで一緒にやったりね。

咲良:私はだいたい家庭教師なんで、連絡はすぐいただくことが多いけれど、そういうところまで最初に決めていた方がやりやすいかな。

受験生にクリスマス、お正月はない?

ークリスマス、お正月の過ごし方の話に移りたいと思います。生徒にどのように祝日の過ごし方を伝えていましたか?

三宅:クリスマスってなんだ?冬期講習でしょ、お正月ってなんだ?正月特訓のことかという感じかな。

夏田:もう授業がカリキュラムの中に入ってますよね。

三宅:それっぽいものを食べればそれでよくないか。

咲良:受験の年は我慢しようという感じよね。

咲良:あのアイドルの話みたいに生徒を説得しようというのは考えたこともなかった。

咲良:え、紅白見るの?みたいな。

咲良:そんなの話題に挙げたこともなかった。当たり前だと思って。

三宅:そんなの話題にしたら生徒たちがそんなのあるんだと逆に思うんじゃないかな。

三宅:まあ、マンガの中で話してるの一番下のコースの子たちやし。

増田:というか、ねえ先生〇〇見ていいかなと言う生徒はいないよ。ダメっていうに決まってんじゃん。

咲良:そんなこと言ったら先生に怒られること分かってるから言ってはこないよね。

三宅:普段からテレビはちょっとくらい見てるだろ。別に何か特別正月だから見ていいとか悪いとかない。正月もクリスマスもなんの特別感のない普通の1日じゃない?

咲良:平常のね。

増田:なんか結局日常の延長なんですよね。休みの日に冬期講習の授業があるのは、夏期講習とか春期講習でも一緒じゃないですか。結局その延長だから、正月だからどうこうって多分ない。

夏田:あと、正月特訓だと小学生は体力的にくたくたで5時とかに授業が終わって家帰って飯食ったらバタンキューじゃないですか?

増田:2月の勝者に出てくる子たちは体力減ってないよね。

咲良:確かに体力余ってる。

夏田:まあ少しケレン味が出てる部分ですね。実際はもう火がついててそれどころじゃない子も多いと思います。

咲良:こういう子もいるかもしれないけど、塾でわざわざ言ってこないかな。

増田:一番下のクラスでもさすがに勉強するやつの方が多かったかな。

いつの時代にもいる脱走生徒

ー漫画の中では武田君が授業をバックレようとしていましたが、こういう隠れて逃げようとする生徒は今までいましたか?

夏田:いましたよ~数えきれないくらい。

増田:俺もやってたわ。

三宅:今の塾ってピッてしないといけないのかな?

夏田:そういうところが多いですね。ICカードをタッチすると保護者にメールが行くようになってます。

三宅:いいなそれ。

夏田:ずるをする子は友達にそのカードを渡してやってもらってました。

増田:僕が現役生だった当時のシステムだと池袋校で押しても、お茶の水校で押しても大宮で押しても全部出席って出るだけだったから、遊びに行く先で押すだけ押してるやつもいた。

夏田:小学生でも中学生でもいたな。

三宅:SAPIXは15分来なかったら保護者に電話があるな。見つからなかったら捜索に行く。

夏田:でもマンガだと授業じゃなくて自習ですよね。

咲良:そうするとSAPIXは自習室がないから。このケースはないかな。

三宅:でも1時間前に家を出たのにまだ来てません。というのはよくいる。

三宅:自由が丘だったらBookoffにいたよ。

夏田:教室に出席確認用の機械が1個しかないところだとさすがにずるできないです。ピってやって外出ようとするとちょっと待ってということになるんですけど、他の階とかにも押すところがあると完全にわからないんでエレベーターで勝手に上がっていって押して帰っちゃうと完全に分からないですね。

夏田:でも何回かやっているうちに、ばれて要注意みたいな形になって親から電話が来るようになると。そうなると、いよいよ逃げられなくなりますね。

三宅:ばっくれはよくあるな。軽いやつだったらサカセルにもあって、上がってきて玄関でマンガ読んでるな。

三宅:後は来ているはずなのにあおい書店にいるやつら。

夏田:後は自習室で寝るとかですかね。

三宅:サカセルやったらすぐ見つかるから生徒からすると嫌やろな(笑)

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ということで今回も二月の勝者13巻の内容にそって中学受験業界の話をしてきました。慣習的に生徒の受験番号を回収している塾もあるようですが、コロナ禍もあって、ますますその意味は薄くなってきているのかもしれませんね。また、漫画ではクリスマスで盛り上がり、正月にテレビを見たいと言っていた小学校6年生の受験生も現実では受験に集中している子が多いようです。

さて、そろそろ新学年になって最初の講習、春期講習が始まります。中学受験生の皆さん頑張ってください!

個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

〒154-0001
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Tel:03-5787-5563

HP:https://sacacell.jp/

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