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講師によるチームワーク?(塾講師による「二月の勝者」13巻読書会①)

自律学習サカセルの講師一同は、週刊ビッグコミックスピリッツに2018年より掲載されている漫画「二月の勝者」を愛読しております。
この漫画、綿密に取材され、中学受験業界を面白おかしく、とてもリアルに描写しているから塾講師が読んでもおもしろい。

そこで、自律学習サカセルの講師によるこの漫画の座談会を通じて中学受験と中学受験塾業界についてご紹介したいと思います。(各講師のプロフィールは自律学習サカセルHPよりご覧ください。)

ドラマ版「二月の勝者」は終わってしまいましたが、原作の方ではいよいよ中学受験が始まりました。自律学習サカセルでは引き続き、漫画版「二月の勝者」を読んだ感想を交えながら、中学受験業界について考えていきたいと思います。

成績は塾に隠してもあまりいいことがない?

ー成績を塾に知られないようにする生徒(大友さん)が登場しました。実際にこのような生徒に遭遇したことはありますか?

夏田:自分はないです。

増田:ないですね。

咲良:ないです。

齊藤:私結構いました。

齊藤:でも、二月の勝者に登場する子とはタイプはだいぶ違うと思います。

三宅:こちらでは集団をやめて個別の方だけにすると言って、集団の方に成績を知られないようにするという話だったな。塾を通さずに試験を申し込んだんだね。

齊藤:私が見ていた子はいつも親御さんと来ていた子でしたけど、成績を親御さんが見せてくれない。聞くと、「まあ、良くなかったです」ということだった。

三宅:確かに個別だったら、成績を教えてくれない。共有してくれないという子はいるかな。ただ、マンガの桜花さんみたいに、「塾を通して試験を受けてください」という形をサカセルで取ってないから、勝手に試験を取ってしまったという状況は起こりにくいかな。

三宅:逆にSAPIXとかだったら、SAPIXの試験だから結果の隠しようがないしね。

ーこのような生徒は塾的にはどのような対応をするのですか?

夏田:事前に成績を持ってきてくださいという話をしてあるので、基本的にはそういうことがないのが前提ですね。

三宅:でも、昔SAPIXは合不合が必須だったやん。10年くらい前に。あの時持ってきてなかった子っているよね。

咲良:いる。

三宅:でも、あまり覚えがない。隠してもしゃあないしな。

1月校は次につながる受験を

ー1月受験ではおまもり代わりの学校を準備してくださいということが言われています。サカセルでも同じような方針で受験校を提案したのでしょうか。

夏田:自分はそうですね。提案しました。

三宅:おまもりという言い方が適切かどうかは分からないけど、少なくとも1月校は受けさせる必要があるとは思う。

三宅:もちろん生徒によって見方は変わってくる。最後のテストから時間が空いて力が伸びてそうな子には模試代わりとして、そして、緊張感を与えないと緩んでしまいそうな子には数を重視して受けてもらったり。

三宅:後は上位生だったら、二月の勝者でも言われているようにデスロードに突っ込ませたい子もいる。それは自信のもとにもなるし、失敗したとしても気を引き締める機会にもなるし。

増田:実際受けた時に点数が開示される学校を結構受けてもらったという印象です。具体的に言うと栄東とか、城北埼玉とか。後は詳細がでるわけではないんですけど、佐久長聖も。これくらいの数値が取れているんだなと分かる学校を提案しました。

増田:それがあってめちゃくちゃ緊張したけど受かったという時に、特定の科目がぼこぼこだったり、特定の科目の点が良かったりすると、じゃあ次これを気を付けようというのがはっきりしますよね。今年はそういう次の行動につながる受験の仕方をできた子が多かったのではないかなと思いますね。

ーそれは結果がいかようでもでしょうか?

増田:結果が悪くても次にはつながった言えると思います。どうしても、日によって体調によって点数が安定しない子とか、緊張しすぎて、1科目でめちゃくちゃ点数が悪かったという場合でも、それ以外取れていたら緊張しなければ取れる実力があると分かりますから、上手くいっても行かなくても何かしらの材料になった子が多かったですね。

咲良:私も点数が出る学校しか受けさせてないです。模試が12月に終わっちゃうので、模試で点数取れなくても過去問が上り調子で点数取れていた子には、最後に結果を残して自信がつくかなと思います。

咲良:例えば、今回は最初の試験で落ちてしまって結果を見たらいつもは算数で稼ぐ子が、逆に算数でだめで落ちてしまっていたんです。そこで本人もどうしてリベンジしたいということでもう一回受けたら今度はものすごく良くて、それで実力がついているという確信は持てたと思います。

咲良:それが2月の本番まで持つかどうかはなかなか分からないんですけどね。

咲良:2回受けていいことも、良くないこともあるので生徒の性格も加味して考えないといけないですね。

三宅:落ちたらもう一回という話はなかなか慎重に判断したいところ。1月校って受けに行くだけで1日つぶれてしまうし、体力部分の負担も大きい。また、1回落ちている学校って行くだけでも気が滅入ることがある。

三宅:2回受けてもメリットがあまりないような生徒だったら、教室に来てもらって落ち着いて2月の試験に備えるのがいいのかなとも思う。

咲良:実際1月に良くても第1志望の学校を受験するまでに2週間くらい時間があると慢心して調子が出ないこともありますよね。

咲良:早く入試が来ればいいのにというね。今年の子は小学校の授業が無いなど、かわいそうな部分はありました。学校に行って体力的に疲れるのがリフレッシュになったかもしれないですし。

咲良:2週間ずっと家で勉強しっぱなしではなかったらもっと良い方向に傾いたのかなと思うことがありました。

ーサカセルには落ちたとしてもそれで余計にやる気が出る子はいましたか?

三宅:それは過去にいっぱいいたな。

三宅:ただ、講師としては本人には受かる受かると言いつつ、親御様には受かっても落ちてもどちらにせよ前向き持っていけるように準備しながらかな。

三宅:このマンガは色々な生徒のタイプがよくまとまってると思う。

三宅:一月校受かって調子に乗ってるやつはよくいるしな。

増田:講師初めて2年目くらいに開智受かって受験やめたやついましたね。受かると思ってなくて受けて、受かったからもう進学するから受験やめますと言われてなんてこったってなりましたね。

増田:でもそれはイレギュラーなケースだと思います。

生徒の性格ごとに勧める学校、そして講師の分担

ー自信に繋げられそうな子だったら受かりそうな学校の受験を勧めるという形でしょうか。

咲良:2校くらい受けてもらって、1つは確実に受かりそうな学校で、あとは、志望校の難易度に近い学校かな。

三宅:感情の起伏が激しい子、特に落ちた時に引きずるタイプの子には落とさせない受験をすすめるな。たとえ上位校を目指していても落ちそうな学校の挑戦は怖い。

三宅:それで奮起しないんだったらリスクを犯す理由はない。

三宅:それは講師の持って行き方かな。講師にも発破をかけるタイプの先生もいれば、ほめて伸ばすタイプもいる。

咲良:最近はマスクもしてるし生徒側の様子が分かりにくいから難しいです。

齊藤:私はどちらもあまりしないですね。ひたすら生徒の波長に合わせます。なんとなく気分のいい方に暗示とかはかけます。

ー暗示?

齊藤:第2志望校を受かったら第1志望校を受けようと話していた時に、第2志望校に落ちてしまったとしても、第1志望校に行ったら気分が乗るから受かるんじゃない?とか。

齊藤:問題できている時にできるよという雰囲気を作るということですね。

増田:俺も他の先生が厳しい場では怒らないですね。

三宅:そこは講師間でバランスとりますからね。

増田:僕が引き締め役をやっているのは、他の先生が引き締めない時だけですね。

増田:算数とか英語の先生って引き締め役になる傾向があると思うんですけど、それでいいと思います。スペル覚えてる、覚えてないとか、計算できるできないとかは厳しくいいと思います。

増田:でもそこでもう1人の先生が同じくらい厳しいと逃げ場が無くなっちゃうんですよ。

増田:だからと言って引き締め役がいらないわけではないので、そこは担当を見てやるという感じだと思います。

三宅:引き締める機会は常に設けていかないとね。

三宅:個別で複数人の講師で担当出来たらそういう棲み分けができるからいいな。

ー集団ではそういう分担はあるんですか?

増田:僕は自分でやってましたね。

夏田:でもある所の方が少ないと思います。

夏田:結局アルバイトの大学生が持っていたりすると、講師間でお互いを全然知らないこともあります。そのため、いい校舎だったら講師の間でコミュニケーションが発生するんですけれど、ほとんどの校舎ではそういうのはないと思います。

夏田:横担当の宿題の量とかも考えずに平気でたくさん出す人とかもいるので、そういうのがバランス取れている講師が持っている生徒は結果がでると思いますし、あまりそういう講師じゃ多くないと思います。

三宅:あの先生は怖いから俺は優しくしようとかではなくて、「俺は俺だ」になってしまう。

咲良:SAPIXだと6年だけはよくそうなってるかな。

三宅:まあ、それで実績出てるからありなんじゃないかな。

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塾講師としては、1月には点数が出る学校や、生徒のモチベーションが出るように必ず合格する学校を受験してもらっているということでした。そして、サカセルで複数科目を担当している場合には、生徒が慢心や意気消沈せず、やる気と集中力を保てるように厳しく接する講師とそうではない講師で役割分担しているということでした。

春期講習が始まるというこの時期に1月校のことを考えるのは少し早すぎますが、来年の1月にぜひ参考にしてみてください。それでは!

個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

〒154-0001
東京都世田谷区池尻3丁目4-2 SSビル池尻901
Tel:03-5787-5563

HP:https://sacacell.jp/

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