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中学受験の現役講師が語る集団授業と個別指導の違い(Part2)

前回に引き続き講師の視点から見た集団授業を行っている塾と個別指導塾の違いを、自律学習サカセルの講師三宅、増田、夏田の3人に聞いていきたいと思います。

ー他にも集団塾で大変だったことはありますか?

増田:後はね。電話。

増田:しなかったというよりしなきゃいけない人数が多すぎてできない。

増田:俺がいたときは月に一回必ず担当から連絡がありますという回診電話という制度があった。回診電話の強化月間の時にはかける人の名前リストみたいのが貼りだしてあって、やるんですけど、無理なんですよ。担当している人数が多い講師は。

増田:それで回診電話を全てかけたことで昇給したとか、かけ終わらなかったことで減給したとか全くないのね。だから無理、かけない。かけるメリットがない。

増田:かけない人はかけなくてもアンケートですごい上位に行くし、かける人はかけたってアンケートで下位の人もいる。効果が感じられなかった。そしたら、最後に僕が復帰した年に2、3か月に一回みたいなすごいゆるい条件に変わっていてびっくりしました。

三宅:集団塾の電話ってそんなもんだと思う。僕のところだったらかけてなかったもん。マンスリーとかで極端に成績の悪い生徒とかのリストが回ってきてかける。

増田:かけるって謳わない方がいいんだよね。本当はね。自分で作った制度で首を絞めている感じ。

夏田:面倒見のいい塾を謳ってますからね。自分は担当している生徒が少ないのでかけてます。

三宅:それはすごい。個別だったらそんなん。親とお話するのがセットみたいなもんだから。

ーなかなか集団塾で親御さんと話をする機会はないですか?

増田:保護者会と個別面談くらいかな。

三宅:うん、そういう行事じゃないとない。

夏田:そうですか?結構ありますよ。親御さん送り迎えで来た時についでに。

増田:モテモテだな。

夏田:結構10分、15分しゃべるので人数が多いと首がしまってきます。

三宅:へー講師と保護者が同じ空間にいるということがあるんだ。

増田:結構多いんですよ。夜遅く終わった時に、お母さんをお迎え待ちとかで受付で待つ時とかあるんですよ。生徒が。お母さんが来た時にそのまま生徒がだーって帰っていく時もあるし、お母さんがそのまま入ってきてしゃべっていくパターンもあるんですよ。

三宅:僕がいた校舎は受付の奥に壁が明確にあった上で職員室があったような気がする。だから接する機会がないな。それだけ表に出せない先生がいっぱいいるんだな。集団は何がしんどいっていろんな人がいるからしんどいよ。

増田:犯罪に走るひともいるんで。

夏田:集団は違う人が炎上した時の火消をやらないといけないですね。理科担当がを家庭とうまく行かなくて、それを算数担当が火消をするみたいなあったりします。

三宅:でも個別、家庭教師の火消大変やで~

三宅:その辺火消部分は多分個別、家庭教師の方がより、直接くるな。

夏田:責任が重いですもんね。

増田:個別の方が燃えたときの燃え方がすごい。相手が火炎放射器を持ってゴーっとやってるような感じ。受け止めて対策しないといけないですよね。

三宅:個別の方がその生徒を直接家庭ごと見ているという感じだから、依存度は集団より高いと思う。後はそれを上手くさばけない人が集団にはいるからね。油を注ぐ人もいるし。

ーサービスができる人がサービス残業で業務が増えて、サービスができない人がサービスできる人の業務を増やすという悪循環ですね。

増田:それって塾の世界だけじゃなくてどこでもそうですよね。

増田:それってサービスができない人に日本がやさしいということだと思いますけどね。やさしいから変わらないですよね。

三宅:仕事ができる人に集中するもんね。

三宅:集団塾はやっぱり社員なのか、ただ授業だけをやればいい非常勤なのかその辺でも色々違うと思います。

夏田:個別面談でベテランの先生が10年前とかの情報でしゃべったりするんですよ。ベテランだからこっちから差し込めないじゃないですか。というのは何回か苦労したことがありますね。

三宅:自分たちも気をつけなきゃ。

夏田:保護者の前なんで余計言えないじゃないですか。

三宅:ここ今こうなってるんですよ。知らなかったんですか?なんてねー

増田:そういったら場が凍るな―

三宅:いつまでたっても学校の名前覚えない人もいるし。

夏田:個別だと業務が増えるもの何も自分に全てかかっているのでこちらの方が過酷だと思いますね。

増田:不思議なもんで集団の先生はそう思ってないんですよね。集団の先生は個別なんて行くのは甘えだよ。授業はこっちの方が上手いしと思ってますし、俺もそう思ってました。

増田:でもやってみると全然違うんですよね。個別に行く講師についているイメージは成績があがらないことなんですよ。結局通わせたところで成績あがってないじゃん。だから生徒が退塾みたいなパターンが多いというね。でもそれって自分がいた埼玉で結局教育の熱がこっちと同じくらい高いんですけど、個別が充実していないエリアだからなんですよね。

増田:東京の中心だと集団がへっぽこでも個別で底上げしてくれる担当がいたりするわけなんです。それでいい思いしている子供もいるから自分はこういう世界もあるんだなと勉強になったんですけど、それって都内というかそれが発達しているエリアに行かないと知らない情報なんですよね。

増田:だから集団授業をやっている講師の方が授業が上手いと思っている人が多いんじゃないかなと思います。

ーでは、個別でしかも成績がちゃんと伸びる塾というのは、ごく一部なんですか?

夏田:例えば埼玉だとごく一部ではないでしょうか。増田先生の言う通り地域によりますね。

ー集団と個別についてしゃべってきましたが、その中間とも言える1対2、1対3の授業について伺いたいと思います。あれは教育効果的にはどのくらいのものなのでしょうか?

夏田:早稲アカなどの集団でも、人が集まらないと1クラス2人とかたまにあるんですけど、その感覚で言うと20人とかよりは授業はやりやすいですね。半個別的に見れるので。だが学習効果で見ると、サカセルの授業の質でそのクラスをやれと言うのは無理かなと思いますね。

三宅:1対2の個別って、自分としては1対1の個別を平行している感じ。で、自分なりには出来ている感じがするけど、それは生徒にとってはあくまでも自分は2の方だということで集中力とかは落ちる可能性はやはり高い。

三宅:あと、技量のない先生がやってしまう場合は、とてもつらい。結局授業時間の半分は遊んでる。金額は半分だけど、授業の中身も半分ですということになりやすい。集中力も半分だから実質1/4ですみたいなことになりえる。

三宅:あとは先生によっては2人に同じ授業をする。2人のレベルとか塾とかは全然違うのに。

増田:授業の準備で毎回これをやるのかとなるような準備が必要なんですよ。

増田:2人の時間の進み方をイメージして、この子にはこの時間にこれやってその間に質問対応やってとかを全部プランニングしないといけないんですよ。週にそれが1コマだけだったんで、まだ良かったんです。自分は普通に授業の評価とかを受けている担当で、そこそこ中身がある方だとは思うんですけれど、この担当が発狂しながら準備しているのに、なぞに同じ授業をしようとしたりとか、楽しようとする講師もいるんですよね。

増田:授業の準備がめちゃくちゃ大事なんですよね。でもそれに気が付いてすらいない担当もいるんですよ。で、そういう担当と自分が同じランク付けとか、給料だともう辞めたくなる。

増田:集団授業でやっていることをそのまま個別でもやっている人も結構いる。

三宅:あーそれはひどい。

夏田:自分は1対2の授業を受けたことがあるんですけど、それは確かに集団と同じ感じでした。それぞれに必要な弱点とか、考え方を見るんじゃなくて、はいここやるよー、解いて―という形でしたね。

三宅:それはあまりよくないね。

増田:でも1対2をすることに対して僕とか三宅先生みたいに考えている人は少数派です。

三宅:まあだから話したようなこともあってサカセルでは1対2はやってない。多分授業の質は落ちないような先生は多いけど、生徒側にそれを耐えられるような集中力だったり、勉強への姿勢というのはおそらくない。

夏田:1対2をやるなら少し高いけど1対1をやった方がいいですよね。

増田:1対1は値段が高いみたいなことでも、1対2にするよりは回数減らして1対1の方がいいかな。

三宅:一回あたりの授業時間を少なくするな、俺。やっぱり回数は減らしちゃだめだ。毎週1回は受けてほしいから、毎週1時間半がきついというなら、1時間でいいから少なくとも毎週にしてほしい。

増田:1対2とは全然違いますよね。生徒もちゃんと準備してくれる。

三宅:1対3以上は知らん。

夏田:それはもう集団ですよね。

三宅:個別で1対3と言ったらそれはもうただの質問教室や。聞かれたことに答えるだけ。それに高いお金を払うのは違うんだろうな。

夏田:それだったら集団授業形式をやった方がいいとなってしまいますよね。

増田:1対2がその辺の線引きが難しいところかなと思います。

増田:1対2を標準としている塾は質を見極めたほうがいいと思います。利益優先にしているところが多いんじゃないかな。実際三宅先生もなんだかんだで金の亡者じゃないですからサカセルはこの形式なんですよね。

三宅:でも金は好きやで。

増田:まあ、とはいえ質があるから卒業したあとも三宅先生を紹介してくれる方が一定数存在するんですよね。

ということでいかがでしょうか。集団と個別、それぞれの違いを講師から見て話してきました。さらに、今回はその中間ともいえる1対2形式の授業についても語りました。

今後中学受験を目指す方がどのような授業形式を選択するかの際の手助けになれば幸いです。

個別指導・家庭教師の
自律学習サカセル

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