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2002. 読書とカメラと心の記録 自分の言葉で。

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最近の記事

#28「ホテルローヤル」桜木紫乃

2024年読書録#28 【あらすじ】 北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。 ホテルローヤルという、ひとつのラブホテル。 そこで生まれるいくつもの

    • #27「啼かない鳥は空に溺れる」唯川恵

      2024年読書録 #27 【あらすじ】 愛人の援助を受けセレブ気取りで暮らす千遥は、幼い頃から母の精神的虐待に痛めつけられてきた。一方、中学生のとき父を亡くした亜沙子は、母と二人助け合って暮らしてきた。千遥は公認会計士試験に受かった年下の恋人と、亜沙子は母の勧めるおとなしい男と結婚を決める。けれどその結婚が、それぞれの歪んだ母娘関係を暴走させていく。 気づけば1日で読み終わった。 2人それぞれの物語を行ったり来たりしながら進んでいくので、ついつい先が気になる。 母と娘の関

      • #26「カエルの小指」道尾秀介

        2024年読書録 #26 【あらすじ】 詐欺師から足を洗い、口の上手さを武器に実演販売士として真っ当に生きる道を選んだ武沢竹夫。しかし謎めいた中学生・キョウが「とんでもない依頼」とともに現れたことで彼の生活は一変する。シビアな現実に生きるキョウを目の当たりにした武沢は、ふたたびペテンの世界に戻ることを決意。 先の見えないが、テンポよく進んでいくストーリー展開と、予想外でありながらもあたたかい”どんでん返し”が余韻を残す1冊。 キョウや、テツの妙に大人びている違和感が終始

        • だから、私はカメラを構える

          カメラを通して世界を見ていると、 私は時に涙が出そうになります。 青空を横切るひこうき雲 道端で静かに咲いている花、 毎日のあたたかい食事、 大切な人たちの笑顔。 そして これらに囲まれている生きている私。 まるで当たり前かのように存在する 小さいけれど、何にも代えられない ささやかな幸せを目の当たりにするからです。 SNSの普及により、 私たちはいつも自分を誰かと比較し、 ”理想”だと思い込んだ何かを追いかけ、 いつのまにか手の届かない幸せに夢中になり、 本当に目を向

        #28「ホテルローヤル」桜木紫乃

          #25「風葬」桜木紫乃

          2024年読書録 #25 【あらすじ】 釧路で書道教室を開く夏紀は、認知症の母が呟いた、耳慣れない地名を新聞の短歌の中に見つける。 父親を知らぬ自分の出生と関わりがあるのではと、短歌を投稿した元教師の徳一に会いに根室へ。 歌に引き寄せられた二人の出会いが、オホーツクで封印された過去を蘇らせる……。 桜木紫乃先生、初読。 ここ最近で読んだ作品の中でも、1、2を争うほど良いと感じる作品だった。 夏紀と徳一、メインキャラクターである2人それぞれの目線で語られる人生には一見する

          #25「風葬」桜木紫乃