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#28「ホテルローヤル」桜木紫乃

2024年読書録#28

【あらすじ】
北国の湿原を背にするラブホテル。生活に諦念や倦怠を感じる男と女は“非日常”を求めてその扉を開く―。恋人から投稿ヌード写真の撮影に誘われた女性事務員。貧乏寺の維持のために檀家たちと肌を重ねる住職の妻。アダルト玩具会社の社員とホテル経営者の娘。ささやかな昴揚の後、彼らは安らぎと寂しさを手に、部屋を出て行く。人生の一瞬の煌めきを鮮やかに描く全7編。第149回直木賞受賞作。


ホテルローヤルという、ひとつのラブホテル。
そこで生まれるいくつもの物語。時間も、人も、また立場も、何もかもが違うのにどこか重なる感情がある。
現在から過去へ時間を遡って描かれるこの物語は、”今”があることの理由を紐解いてくれる。

体の交わりによって得られるいっときの高揚や安らぎと、その後おとずれる孤独と切なさのコントラストが美しく描かれており、
特に後者に焦点を当てているこの作品の温かみが癖になると感じました。

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