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自己愛が足りない

みなさま、あけましておめでとうございます。
2022年初投稿になってしまいました。今年のやりたいことリストのひとつに「noteを月1以上は更新する」と書いたので1月もちゃんと書きたいと思います。

書きたいことがまとまらないくらいに沢山あるのだけど、
まずは昨日読んだ島本理生さんの『Red』のお話を。
映画を見かけて気になったから図書館で借りてきた。不倫がテーマで、少し重たい感じもする。読んでいる間は胸が張り裂けそうで困ったので、駆け足で読了した。
読み終えてからも、ずっと後に残る感じ。家族と恋人と、違うのかな?なんて浅いことを思いながらもずっと苦しかった。

私は、主人公の塔子に似ている。
強引な人を断れないところも、どこか下に見られていても何も言えないところも。

女として求められないのがつらくて、一人の女性として扱ってくれる人に惹かれてしまうのはわかるけれど、それで不倫しようとはならない。
それよりも、仕事のことを否定するのとか、育児を何も手伝わないとか、節約してるのも知らないで自分の稼ぎがいいし手伝ってくれる姑がいていいだろう、という旦那さんの傲慢な態度のほうがずっと傷ついた。欲しいものを買うのに独身時代の貯金を使わなきゃいけないのも、家事をやる人だと当たり前に感謝もしなくて仕事について考えてあげないこと。好きになったはずの奥さんですらそんな扱いなら会社の同僚も下に見ているのか、それとも奥さんだから下に見ているのかと苛立った。いちばん堪えた。結婚は忍耐というようだけど、そんな我慢をして何になるのか。実際、翠がいなかったらきっと塔子は離婚を選んでいただろう。心だけではなく、体が繋がった描写が、妙に生々しくて痛かった。

登場人物の中では、小鷹さんが好きだった。どうしてかはわからないけれど、人に興味がなさそうな癖して核心をつくことを言うあたりとか。興味がないからこそ客観的に見られるということなんだろうか。結婚だろうが、交際だろうが、尊重が大事なのだ、自分勝手に使うための道具じゃない。

ついでに、子供を巻き込んで自分が被害者ぶってもいいって思っているお姑さん、こういう人って結構いるけど、本当に大嫌い。子供だっていろいろ分かっているのに。
と言うことで、読後感も最悪だったけれど、それだけ深い読書体験になったのだと思う。この物語を書くことが本当に凄いと思う。島本理生さんの恋愛小説はいつも強くてドロドロで、ずっと消えないで残っている。ひとつの記憶として心に閉じ込めている。


2022年の目標は、「きちんと断ること」だ。
これまでの私は、断らなかった。会う約束も、頼まれたことも。それが好きな人でも、そんなに深い関係でなくても。だから優しいと言われる。でも、なんでも肯定することは優しいでもなんでもなく、ただのお人好しだ。
薄々、自分が「優しい」と言われることに違和感を覚えていた。大なり小なりきっかけはありつつも、去年になって言語化できるまでにはっきりと気がついたのだ。
自己犠牲で相手が傷つかないならいいと思っていた。嫌がる気持ちを態度に示していたら、察してくれるんじゃないかと願っていた。けれど、去年関わったある人はどうしてもどうしても察してくれなかった。拒否していたのに。結果的に逃げることになってしまった。ブロックして距離を取った。どうしても目に入れたくなかった。怖かった。どうしようもなくなったとは言え、いちばんしたくないことだった。
拒絶することになったのは、もっと前の段階できっぱり断らなかったからだろう。許してくれる人なんだと思われていたと思う。これはその人だけじゃなくて、周りにも思われているだろうけど。
去年から今年にかけて出会った人がいて、その人にも距離を詰められて嫌になったのに態度に示したところで察してくれなかった。まるで再放送みたいだと思って、今年はちゃんと断ろうと意気込んで、フォローの言葉をつけながらも断った。約束がなくなって心がとても軽くなった。
なんでもいいよ、って言うのは簡単だし、相手も喜ぶけれど、自分のできないこと嫌なことまで引き受けたって苦しいだけだ。
断ったからって下に見られなくなるわけじゃないけれど、私は私を大事にするのだ。そんな決意が『Red』のおかげでさらに強まった。

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