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After the rain ストロベリームーン前夜

この半月の間に音楽を聴きに出掛けた際の鑑賞内容は省いている記録

5月20日 三溪園

三渓園南門前の睡蓮

「花と笙」
念願の宮田まゆみさんの笙を体感できる機会を銀閣寺で花守をしてる珠寳さんの投稿で知り、水星逆行らしく予定との兼ね合いで紆余曲折あったものの予約できた。
横浜にあるけど未だ体験していなかった三溪園の中の今は使われていない古寺の本堂、ロケーションが完璧に感じられた。

今回は三溪園で毎年開催されていたという工藝展の行事の一環だそうで事前に案内状を郵送してくださり、三溪園入場券も同封してくださっていた。

前日は強い雨降りだった。
当日は雨こそは降っていないものの、風が吹いていた。
週末ということもあり横浜駅ではなく根岸駅に降り、バスに頼らず歩いていこうと思い立ちGoogle Mapを開く。
三溪園は正門の他に南門があるらしく、徒歩には遠回りしなくとも良いルートを発見、約20分弱を歩いた。高速道路の高架沿いを歩くので本当に南門がこの近くにあるのか、増してや日本庭園があるのか疑い深かったが睡蓮池が出迎えてくれ、人が駐在してる門は存在した。

神奈川に住んで早3年目。
疫病が蔓延してからこちらに越してきたのもあって名前と横浜にあることは知ってはいたけど初めての入園。
園内は予想を上回る広大な敷地でさっきまで高速道路の高架下近くを歩いていたことを一瞬で忘れさせてくれ勿論、騒音も聞こえなかった様に記憶してる。
本題の開演は一時半頃からなのでせっかく来た園内マップを見ながら時間まで巡ってみる。
私がお気に入りの花寺、北鎌倉の東慶寺さんの旧寺跡が目に飛びこんて来たので行き着いたところ、改修工事中で雰囲気も見れず残念だった。
ならばと直ぐ近くに会場の旧燈明寺本堂があったので早めの開場入り。

本堂での展示

開演前は境内に人が少ないうちに今回の花器を創作した硝子作家の作品を鑑賞した。
開演すると同時に日中の風が気持ち良く通り抜けた本堂の扉は全て閉じられ、暗闇のなか硝子作家が演出した膝下位置の足元を照らすような直線的なライトだけが灯る空間のなかで笙の演奏が始まった。
笙を初めて体験した時からまるで脳で受けとる音色といつも感じる。
珠寳さんが地元から一緒に連れてこられた人の背丈ほどはある竹を潔く活けられて締め切った空間の中に彼女に活かしてもらった竹の復活の瞬間に立ち会った気分。
閉めきった空間の中でまるで風が通り抜けているような。

広大な三渓園に住み着いた猫もチラホラ

終演後に茶屋で焼きたてみたらしの串団子を一本いただいた。
また一日中過ごしに落ち着いた日に来たい。


6月2日  淀橋教会

MODE2023’ 

年明けの瞑想合宿後に知ったサウンドアーティストKali Malone。
オルガン奏者でもある彼女の1月に出た新譜がまるで春の祭典の様に動植物の生命力を表している様な印象を受け気に入っていた。
彼女の5月末の告知投稿で大久保にある淀橋教会という場所を知った。

大久保駅と新大久保駅の間にこんな場所が

6月1日の午後まだ嵐の前の静けさ。
とある電子上の事務作業に四苦八苦している間に気持ちだけは行こうと決めていた明日の晩のチケットが1時間前に売り切れの事実を知る。
明日は台風が来るらしいし、残念な気持ちをお気に入りのアイスクリームで鎮めつつ雨脚が強くなってきたことで諦めた前夜だった。

翌朝、SNSのコメントに知らない人から返信が来ていた。
もはや忘れていたけど、一週間前にブラウザの関係で電子チケットのページが選択購入できないようになっていて、既に売り切れているのかと勘違いした私は主催者のページにコメントを残していたのだった。

“I have a extra ticket if you still interested ”

という主催からは何も返答がないものの親切なストレンジャーのコメント返しに嵐の日だから行きたくない気持ちも徐々に嬉しさに変化していった。どうもコロンビアンの若者らしい。同じ類いの音楽でお気に入りの作曲家が丁度コロンビアンだったこともあり、面白いシンパシーを感じて既に雨脚が強くなっている当日のお昼どきに直接メッセージさせてもらい、数分やり取りしたことでSNSは実名だし、親切な若者だと良く分かったのでそのエキストラチケットを譲ってもらい行くことに決めた。
どうも時間予報を見ると、電車を降りるだろう時間から家に戻ると思われる時間まで幸いなことほんの少し雨は弱まってくれるらしい。
大久保駅の南口で開場直前に待ち合わせしたのにあまり利用しない山手線に乗り換え間違えしてしまったはあとの祭り、新大久保駅で降りたことで教会のゲートで現地集合に急遽待ち合わせを変更してもらった。
そこには多くの開場を待つ人だかりが。
直ぐに見つけてもらい、当日チケットの譲渡上、一緒に入場することになり、200番以降の整理番号を待つ間に普段聴いている音楽の会話をした。
ジェネレーションが違えど、普段聴いている音楽が近いことがメッセージを通してお互いに気づき始めているのがわかった。
若者は遅めの整理番号が気になっている様だったけど、恐らく写真の印象から大きい教会だと思うよ、と伝えた。
番号を呼ばれ入場し教会に入る。
大きいとは思っていたがメガチャーチという言葉に相応しいような二階もある空間で既にスモークが焚かれ、ライティングが非日常を演出していた。
椅子も天然素材の編まれたものが何百脚と用意されていて Muchos Gracias!と感謝してそれぞれ沢山の選択肢のあるそれぞれの椅子へ向かった。

感想を言葉で表すのは難しい。
演奏と演出の相互関係によるアートワークなので言葉にするのは省くが本当に出掛けて良かった。
特に初めて入った淀橋教会という場所とプロジェクションマッピングのような巧妙な造り込みはしないまでもKali MaloneのDoes Spring Hide Its Joy のグラデーションのような長い時間軸のある楽曲の世界観を可視化させたライティングワークへそのまま変換した様が見事だった。
Kali Maloneの前に初めて体験した日本人のFUJI|||||||||||TAの内容も好みだった。

今までも私は何度か台風が来る日に幸運を経験しているが新たに味のある話が上書きされた六月最初の金曜日の夜だった。
私はこういうボタンとボタンホールがうまく合わさるような出来事のために生きてるのだと思う。