見出し画像

ガーベラ

月を隠す雲が永遠に佇んでいたら
その存在すら忘れちゃうのかな
君がくれた一輪のガーベラが花瓶に傾いてる
君の言葉とガーベラにため息をこぼす僕は
夜の街に溺れるだろう

夜の暗闇に沈むことで
君は僕を見つけられないでしょ


もしも僕に魔法が使えたなら
迷わず君の記憶から僕を消すよ
何も残らないように、
物も残らないように、
違和感すらも忘れちゃうくらいに
こんな僕が君から出ていきますように



僕は何に疲弊していて
何で君を遠ざけようとするんだろう
君に不満なんてそうそうない
たぶん僕も君に恋しているんだ

だけど
それ以上に独りになることを愛してしまったんだ


もしも僕に魔法が使えたなら
真っ先に君の記憶から僕を消すよ
何も残らないように。
"運命の出会い" を描けない
こんな僕が君に恋しちゃ駄目だったんだ



イチからはじめられるなら
君とはじめましてを
ゼロからはじめられるなら
君と出逢うことすら遠ざけるのに、

パラレルワールドがあるなら
月の向こう側から、また初めましてを
向こうの僕なら、
"運命の出会い" を君と重ねられるだろうから


こっちの世界だって
魔法が使えたら、魔法使いなら、
君とだって もっとうまくやれたのかな

もしも僕に魔法が使えたなら
迷わず君の記憶から僕を消すよ
何も残らないように、
物も残らないように、
違和感すらも忘れちゃうくらいに
こんな僕が君に恋しちゃ駄目だったんだ

ねぇ、月の向こうへ、