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白紙に戻した日

僕は空を見上げ
口を大きく開けた
僕の代わりに
大粒の雨が泣いてくれた
額にぶつかって弾ける水が
目に入り
涙を消して流していく
四角く切り取られた空は
真っ黒で
47階建てのビルから
光のシャワーが注がれた
大きな夢をたずさえて
辿り着いた
四方を坂に囲まれた
谷底の街で
僕は知らず知らずのうちに
踊らされていた
僕は背中についた
糸を断ち切って
誰にも指図されることなく
坂道を駆け上がった
ああ
この街はこんなに小さかったのか
僕ははじめから翼にのって
海を越えるべきだった
びしょ濡れになったTシャツが
背中にへばりつく
冷たくなった身体に
トクン トクン と
心臓が響く
僕は
このときめきを忘れないように
頭のなかに焼き付けた

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