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美味しいね

けさ、仲間から
「オーベルジーヌのカレーメシが出た!」
とのグループLINEが届いた。
オーベルジーヌとは、新宿区四谷にある、欧風カレー専門店だ。最近だと、有名人が楽屋で撮ったインスタストーリーに映りこんでたりする。じゃがいもがついてるやつ。わたしもCM制作に携わっていた過去、昼に夜によくお世話になった。

オーベルジーヌと言えば出前なのだが、
出前を取るくらいだから、口にするのは決まって、食べに行く暇ない=めちゃくちゃ忙しい時だった。目が死んでる先輩たちの注文を取りに行く。「おれ大盛りね」とか言われて1人ずつメモして、電話する。
やることが山積みで、気が滅入りそうな状態で食べる、謎の高級カレー。気分と裏腹に美味しすぎるマイルドさが切なかった。きっと良かれと思って美味しく作ってくれているだろうに、美味しいのかよく分からないのが申し訳なくて、悲しくなったりした。
お店の方、こんなメンタルで食っててすんませんでした。


よくわかんないけど、鰻とか、しゃぶしゃぶとか、鉄板焼きとかを食べられることで、自分が特別な存在だと周りも含めて思い込んでいた気がする。そんなわりかしイタイ自身の姿は無視しつつ、あくまで普通みたいに振る舞う独特の風潮に、見よう見真似で馴染もうとした。東京に染まるのに必死。それはそれで楽しかったけど、全然中身がない。
味や匂いは、思い出そうとしてないこともしっかり思い出させる。なんでこんなに、自分を可哀想に思ったことって鮮明に覚えてるんだろう。やめたい!これもう辞めます。


アアアー!!!となって気を取り直し、
ハチャメチャに盛り上がってる仲間のLINEに頭を戻す。
自粛期間が明けてから、何度か一緒に食事に行っている仲間たち。いつも突然誰となく、定期的に連絡し合う。
みんなと会ったり話したりすると、面白かったこともそうでなかったことも、新しく、より楽しいものに塗り替えてくれる。みんなと一緒ならばどこだって楽しく、何だって美味しくなるのだ。
つまらないことを思い出してしまった今日も、ちゃんとカレーの口になった。

昼休み、ついでに買ってしまったローソンのからあげクンをぶちこみながら食べたせいで、若干胸焼けしながら午後の仕事。背徳感でいっぱい。後悔はない。

黒柳徹子さんが昔貧乏だった頃、「おばあさんになったら大金持ちになって、もっとたくさんのもの食べたいわ」的なことを話したら、永六輔さんが「年老いたら、そんなに沢山は食べられなくなる。こうして若いうちに、みんなと分け合って食べるのが、美味しくて幸せじゃないか。」的なことを言った。
( …的な話があったと思うけど、違ったらどうしよう。)
めちゃくちゃぼんやりした記憶だけど、すごく大好きなエピソードで、ふとした時に思い出す。
仲間たちの笑顔が思い浮かぶ。


次はじゃがいもの付いてるやつを、みんなで食べよう。


※補足:オーベルジーヌはめちゃくちゃ美味い!


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