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読者と、その友人らしき人と2(pixiv_2015年12月13日投稿)

「お! こたつ!」
「さすがにもう必要だろ」
「狭くなるけどな」
紫宮の家にいつもの様に訪ねてすぐ、いつもと違う光景に大伴は声を上げた。
ネクタイを緩めて鞄を置き、狭くなった部屋を見渡した。
「冬だな」
「冬だね」
「風呂沸いてるから、入って来れば?」
体も冷えているだろうとそう促せば、抵抗もなく風呂場に向かって行く背中を見送る。
その間に夕飯の準備をし、いつの間にか慣れた二人分の料理をこたつの上に並べて行く。
整う頃に大伴は風呂から戻り、火照った顔のままこたつに潜り込んだ。
「何か飲む?」
そう問いながら温めに淹れておいた麦茶を差し出す。
以前大伴が風呂あがりに一気にビールを飲もうとしたら紫宮は怒るように止め、その理由を聞くと、脱水症状の状態でそんなものを飲んだら危険、とのことでそれ以来麦茶やらスポーツドリンクやら一気に飲みやすい温度で手渡して来るようになった。
それを一気に飲み干して紫宮に返すと、それを受け取ってまたキッチンへと戻って行く。
「お前が飲むのと一緒でいいや」
「おー、」
今度は緑茶のいい香りを漂わせた紫宮もこたつに潜り込んで、目の前に湯のみが置かれた。
「んじゃ、頂きまーす」

テレビ、こたつ、紫宮、体を包み込むような大きなクッション、ベッド、と一列に連なっているのを見て、食器を洗い終えた大伴は再びこたつに潜り込もうとして動きを止める。
そのまま紫宮の後ろに回り込むと、早々風呂から上がったその熱を感じて紫宮を抱きかかえるようにして座った。
「…狭い方に来なくても」
「引っ付きたいだけー」
そう言いながら腹の前に手を回して自分に凭れかけるように紫宮を寄り掛からせた。
回された腕にそっと触れる手を取って指を絡めると、紫宮の体はリラックスするように力が抜ける。
その姿に思わず口元が綻んだ。
そのまましばらくテレビの音だけが響き、何の会話もないまま番組が一つ終わる。
時計を見てもまだ少し寝るには早い時間で、リモコンを手にテレビをザッピングする。
「普段この時間て何やってるっけ」
「この時期スペシャルばっかりでいつもやってるのやってないからなぁ」
「あー、」
なるほど、と呟いて無難にニュースをかけると、大伴もリモコンから手を離した。
「…」
ボリュームを絞って両手で紫宮の手に指を絡める。
「…手ぇ荒てねぇ?」
「…あー、うん」
「何かねぇの? ハンドクリームとか」
「…そういうの苦手」
そう言いながら指は絡んで、指先を撫でるように掠めてはまた絡んだ。
キリの良い時間で新たな番組が始まって、紫宮はまたテレビに意識が戻ったのに気付いたのは数分前のこと。
その真剣な顔に一つ笑って耳の後ろ辺りに鼻を寄せる。
洗いたての匂いが鼻をくすぐって、目を閉じて静かに息を吸い込んだ。
服の上から腹を擦り、指だけを潜り込ませる。
手触りの良い肌が反応することはなく、性急にならないようにゆっくりと撫でる。
紫宮は微かにそれを制すように手が触れたが、気にすることなくまた意識はテレビに戻った。
腰を撫で、腹を撫で、ゆっくりと上へ手を向かわせる。
胸の谷間のあたりに指を這わせると少し逃げるように体は前に傾くが、それでもまだ制されることはない。
テレビに目を向けると昔の映画が流れていて、懐かしいと思いながら首筋に唇を這わせる。
脇の下あたりに手を伸ばして擦るように撫でるとびくりと体が跳ねて大伴の体に寄り掛かった。
顔を覗きこむと眉間に皺が寄って微かに乱れた息遣いが聞こえる。
俯いた視線はどこか遠くを見ていて、その頬に口付ける。
服の中で手が蠢く。
「…っ…、」
両方の親指が突起に触れ、薄く開いていた目が閉じた。
親指はそのままに他の四本の指がその周辺を這う。
刺激するように、撫でるように、労るように動く指に声が上がらないように口を必死に閉じて、鼻から抜けていく息の音が徐々に乱れていくのが聞こえる。
大伴の右手が胸から腹を撫で上げ、安心させるかのようにまた胸に戻った。
ちゅ、と音を立てて首の後に口付けると、乱れた息を整えようとするかのように深く息を吸うのが聞こえる。
両手で胸の肉を引き寄せるように掴み、そのまま先端を摘み上げると蹲るように体が逃げる。
覆い被さるようにくっつきながら刺激すると、息が震えながら吐き出された。
「…おっぱい、気持ちいい?」
然程肉付きの良くない細い体は応える代わりに震えて、何かを耐えるかのようにこたつの布団を握りしめた。
返事はなくても正直な反応に大伴はにやける顔が隠せないまま柔く耳を食んだ。
逃げるようにこたつの中へずれていく体を少し引き上げて、下着越しに手を這わせると今度はその手を掴まれる。
「…ん?」
「…っ…は、…ぅ…、でんき…、」
消して、と続けられる言葉を塞ぐように顔を上向きにさせて口付けると、その手を掴んでとろんとした目が閉じた。

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