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サッカーボールと絵の具 そんな日々⑤(pixiv_2015年8月19日投稿)

「…うわ、珍しい」
「…お帰り」
いつもの整えられている姿とは打って変わって、その髭面に槇は驚きの声をあげた。
「何日ぐらいでこんなんなんの?」
「…何日ぐらいだろ、」
興味深げに懐に入り、指でじょりじょりと楽しそうに撫でている。
その間嵯峨野は目を閉じて槇の腰に手を回した。
「嫌だ?」
「平気、」
その答えに満足だったのか、槇は嵯峨野の手を取ってソファーに座らせるとその上に跨ってまた髭を撫でる。
楽しそうな顔を引き寄せて口付けると、槇が声を上げて笑った。
「違う奴としてるみたいだな」
「…浮気気分でも味わうか?」
「髭が癖になったらどうしような、」
「…」
その問いかけに複雑そうな顔をして槇の顔を見上げた。
「剃る?」
「今?」
「カミソリと、シェーバーとどっちがいい?」
「…お前手先器用だっけ?」
「ふふふ、」
「笑い方が怖い」
会話をしながらも髭に触れる手は止まらず、嵯峨野はその顔を見上げて複雑そうな顔をしながら笑う。
それに気付いているのかいないのか、槇は髭から手を離し少し顔を近付けた。
「その前に…する?」
「お前が痛くないならこのままでもいいけど、」
「んー、どうなんだろうな。それが刺激になったりして」
そう楽しそうに笑う顔が更に近付く。
「…したいんだな、」
「したいよ、」
そう囁く声に誘われるように、唇が重なる。

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