各種農法について

一般的に農法には「慣行農法」「有機栽培」「自然農法」があると言われています。漠然と有機栽培 = オーガニックが良さそうなイメージがあるのですが、それぞれどんなものなのかを確認してにみたいと思います。

慣行農法

そもそも、「慣行」とは「以前からのならわしとして通常行われること」という意味ですので、慣行農法とはそのままの理解をすると、通常行われている農法、要は最も一般的な農法、ということになります。ですので、時代によって変わる可能性があるのかな?と思います。

特に今の時代を背景に考えると「農薬や化学肥料を使った農業」ということになります。これは人間側でできる制御の幅を広げることになるため、効率的な食物生産ができるというメリットがあることになります。もちろん化学肥料や農薬を使うことで、成分の整った肥料を自然に頼ることなく大量に入手できますので、除草・害虫の対策が極めてシンプルになります。耕作面積当たりの対策がシンプルになるということは同時に大規模化が可能になります。結果、効率的に多くの食物生産ができるということになります。

一方で、デメリットとしては制御の幅を増やすことで自然環境への影響を与えてしまうということです。例えば、土壌中の微生物を殺してしまうことでそこから生まれる食物連鎖を破壊し、結果行われるべき花粉の伝搬などの自然素材が失われてしまう可能性があります。もうひとつが大きいと同時に明確にはなっていない点なのですが、それほどの力を持つ農薬を使った作物が人体への影響が無いとは言い切れないという話です。これほどまでに人が普通に生活を行えている以上、問題ない気もしますが、一般的に日本の農薬使用量は世界的にみても多いとされています。これがこれが無害と誰が断言できるのでしょう?というデメリットというか、疑問が拭えないという点です。ここへの恐怖心がオーガニックブームに火をつける側面もあります。

有機栽培

続いては有機栽培ですね。こちらはオーガニックと表現されているあれです。農業の世界では「有機」は主に肥料の原料を示します。つまり、ここに非自然のものが交わると、つまりは化学肥料を使うと有機ではなくなります。では、有機な肥料とは何か?一番簡単に思いつくのは家畜の糞を原料とした肥料です。その他、生ゴミ堆肥・有機廃棄物(米ぬかや畜糞など)を発酵させて作るケースもあります。これら有機物を肥料として行う農法を有機農法と言います。また、使う側ではなく、化学肥料や殺虫剤などの農薬を使わない栽培方法としても有機農法ということがあります。ちなみに日本では「オーガニック」や「有機栽培」に対しては農林水産省が基準を設けているためそれを満たさないと名乗ることができません。これは有機栽培を初めてもすぐのころは残留薬物によって有機の条件を満たさないことがあるため、一定の基準としては適切かと思います。ちなみに無農薬という言葉は現状利用が認められていません。というのも、近隣農家が使っていたり、残留農薬の影響を受けたりすることで、成果物には農薬が微量とはいえ混流してしまうことが多いからです。

ただし、これは諸刃の剣でもあります。肥料という観点だけではなく、防虫ネットや毎年行われる審査への準備と費用などコスト面でのリスクは高くつきます。そのため、基準を満たしている場合でもあえて認証マークをもらわないこともあります。日本では野菜等においても形状を重視する側面があります。虫に食われている野菜はなんとなく食べたくない、みたいな話ですね。なので、実際に売れるか?というリスクも付いて回ります。「安心」「安全」以上のウリが出せないのが有機栽培の現状です。食物連鎖を崩さない、自然を大切にする食品であることが価値を持つと、つまりは環境に対する一般の人の配慮が高くなるとコストに見合った評価を得ることができるかもしれませんね。これは給料の上がらない、デフレで生き延びている日本においては難しい問題かもしれません。そんな世界ではモノは安いほうが良いに決まってますから。

自然農法

最後は自然農法ですね。自然農法とは大げさに言うと、大自然の摂理に順応し、生きている土の偉大な能力を発揮させ作物を育てる農法です。冷めた言い方をすると、農薬や化学肥料を利用せず、枯葉や藁などで堆肥を作って田畑に還元し自然界で生まれる土壌の力を活用し作物を育てる手法です。

福岡正信氏によると、具体的には自然農法とは以下の4原則を自然農法の基本にしています。不耕起(耕さない)、無農薬(農薬を使用しない)、無肥料(肥料を使用しない)、無除草(除草をしない)。

一言で言うと、余計な化学薬品を使わないことで栄養価の高い皮まで食べれる作物本来の味を楽しめるが、虫などがつきやすいと言うデメリットを持つ農法です。自然農法は自然に任せる点が多いため、作物の成長は遅くなる傾向があります。

自然農法にもいくつかの種類があるようなので、深掘りする際はそちらに立ち入ってみると良いかと思います。

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