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「質問のしかた」のレベルを上げる

以前、新社会人のみなさま向けに
どんどん質問してほしいという記事を書きましたが、
職場の大切なコミュニケーションの一つでもある「質問」は
そのしかた・・・によって、いい印象を与えたり、
高評価を受けることもできます。
では、「質問のしかた」のレベルは
例えばどんなふうに上げられるでしょうか?

レベル0 質問できない

はじめのうちは、質問、しにくいですよね。緊張するし。
こんなこと訊いていいのかな、とか
今忙しいんじゃないのかな、とか考えたらもう動けない。
でも、判らないことを質問するのも仕事の一部です
もし、判らないことをそのままにして
自分の判断で仕事を進めて、それが間違っていたら
周囲に迷惑を掛けるかもしれません。
頼まれたのは簡単なデータ入力だし、ちょっと違っても
迷惑ってほどじゃないでしょ、と思うかもしれませんが
それ自体が「あなたの判断」です。
そのデータを元にプレゼンの準備が進むかもしれません。
役員に提出する資料にそのまま使われるかもしれません。
相手にとって、間違いがあった場合の尻拭いは
その場で質問されることの何倍も手間がかかります。
それが判っているから、細かいことを質問しても怒りません。
もし相手が不機嫌になってしまったら、もしかしたら
質問のしかたがよくなかったのかもしれません。
でも、質問した時点で「可」は取っていますから
安心してください。
あとは、質問のしかたのレベルを上げていけばいいだけです。

レベル1 説明やマニュアルを繰り返させない

何かの作業を依頼されるときには
手順を説明されるか、マニュアルを提示されるか、した筈です。
その説明で言われたこと、あるいはマニュアルに書いてあること
を質問するのはNGです。
説明聞いたけど忘れちゃった
というのは、言い訳にもなりません。
相手に二度説明させることは、会社にコストをかけさせることです。
では、説明を忘れないためにはどうするか?
簡単です。
仕事を教わる時は、必ずメモを取りましょう
後から「これは教わっていない」ことの証拠にもなります。
(「教わってないんですけど!」と相手を責めるためではなく、
これは訊いてもいいことだ、と確信をもって堂々と質問するためです)
また、マニュアルは隅々まで読みましょう
質問して「ここに書いてあるよね?」と言われてしまうのは
かなりまずいです。
マニュアルを読みもしないで質問したのか、と思われてしまいます。
ただし、
書いてあるけど読んでも判らないこと
は、質問しても大丈夫です。
マニュアルを読んでいない、のではなく
読んだけど判らない、のであれば
相手の時間を無駄にしたことにはならないからです。

レベル2 相手の様子を見計らう

相手が忙しい時は、質問は控えましょう。
あたりまえのようですが、そう簡単でもありません。
忙しい時に、判りやすく「忙しい忙しい!」と喚く人はいません。
でも、出勤して同じ空間にいれば、相手を観察できます。
今日は朝からばたばたしてるな、とか
なんか殺気立ってるな、とか、見て取れることもあります。
そういう時は、質問の急ぎ具合と相手の忙しさにもよりますが
区切りのいい時を見計らう
のが有効なことが多いです。

区切りのいい時というのは、例えば
・席を立って戻ってきたとき
・電話を切ったとき、会議が終わったとき
・お茶を飲んでいるとき
などがあります。
集中がいったん切れているか、切れても問題のないときです。
話しかけに行く方からすると
相手がしばらく机で静かに座っているとき
の方が行きやすいのですが、そういう時は
相手は作業に集中している可能性も高いので、避けた方が無難です。

テレワーク等で別の場所にいる場合、見計らうのは難しいですが
スケジュールが共有されていれば、それを確認することはできます。
アポイントの直前はもちろん、プレゼンの前数時間とか
会議が詰まっている午後とか、相手が忙しいかなと思う時間帯は
できれば避けたいです。

ちなみに、区切りのいい時を見計らったつもりでも
「ごめん、ちょっと後で」
と言われることはあります。
それ自体は何の問題もありませんし、相手も気を悪くしていません。
むしろ、言葉通り、ごめんねという気持ちです。
タイミングを読もうとしてくれたんだな、ということは
結構伝わっているものです。

レベル3 まとめて質問する

こんな質問のしかたはどうでしょうか。

このデータをこっちの表に転記するんだな。よしよし。・・・この項目はどこから転記するのかな?マニュアルにないから訊いてみよう。先輩、これはどこにあるんですか?あ、こっちですね。ありがとうございます。・・・あれ、この場合は何を入力するんだろう?先輩すみません、これってどうすれば・・・ああなるほど、判りました。・・・おっと、次の項目が合わないぞ。せんぱーい・・・

さすがにこれは、怒られるかもしれません。
質問する側はずっと自分の仕事に集中していられますが、
質問される側は、その都度、自分の仕事が中断されます。
先輩だって、自分の仕事を進める時間が必要です。
とはいえ、こちらも質問しない訳にはいきません。
そこで考えられるのは、「ある程度まとめる」ことです。

例えば、入力項目の多いデータ入力のような作業だと
1件入力するのにいくつも疑問が出てくることがあります。
まずは、数件やってみて(判らないところはとばして)、
だいたいこんなものかなと思ったところで一度質問する。
そうすると、例外的なもの以外はだいたい解決するので
次の疑問点が出るまでには時間がかかりますし、数も減ります。
それをまたある程度まとめて質問する。
その繰り返しです。
これも、相手には、配慮していることが伝わります。
その作業の手順を具体的に知っているから、
あなたが意図的に質問をまとめていることも判るのです。

レベル4 確認を取る

新人のうちの質問は
「どうやるんですか?」
が多いですが、これがやがて
「こうやるんですか?」
になると、かなりレベルが上がってきます。
とりあえず質問する
ではなく
自分で考えて確認を取る
ということです。
こうなると、相手にも「おっ、ちゃんと考えてるな」と思われますし
考えることで、仕事を覚えることにも、自分の成長にもつながります。

もちろん、できる作業の種類が増えるなどして
ある程度俯瞰的に業務の全体像が見えるようにならないと
「正しく考える」ことはなかなかできませんが、
すぐに正解を出す必要はありません。
それよりも、まずは
一つひとつの作業がどうつながっているかを理解しようとする
ことが大事です。
そうすれば、自分の作業の意味もおのずと見えてきて
自然と正解に近づきますし、やりがいにもつながります。

ちなみに、これがさらに進化すると
「こうしてもいいですか?」「こうしたらどうでしょうか?」
という提案になります。
そこまでいけば、もう新人とは言われないかもしれません。

こうすると「いい質問のしかた」になるのではないかな、と
思うことを書きました。
はじめの1~2ヵ月は、レベル1で大丈夫です。レベル2を
心掛けるだけでも「なかなかやるな」と思われるでしょう。
ともあれ、前の記事でも書いたとおり、先輩も上司も
質問してほしいと思って、待っています。
まずは、質問しちゃいましょう。