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信頼は積み木遊びに似ている

仕事上の信頼を得ることは、積み木遊びのようなものだと思います。
はじめは何もない床で、そこに一つずつ積み木を置いていく。
いくらか面積ができたら次の段を積んで、
また下の段を広げて、また上の段を積み増して、
少しずつ高くなっていく。
信頼は、事象の積み重ねです。
正確なデータ入力ができるのも、社運を賭けた契約を取るのも
大きさは違いますが、積み木の一つです。

小さな積み木を裾野広く積んでいくのは、時間がかかります。
でも、もし一角が崩れても、まだ他の部分が残るので
完全になくなってしまうことはありません。
大きな積み木は効率よく高く積み上げられますが、
崩れるときはほとんどが床に落ち、一瞬で高さを失います。
大きな積み木を垂直に積み上げ、ぎりぎりバランスを取って
てっぺんに立ち続けるのは、つらいものです。
あるいは、小さな積み木をいい加減に、あるいは騙しだまし
積んできた場合も、思わぬ時に足元が抜ける怖さを
味わったりします。

若いうちは、小さな積み木をちまちま積んでいくことに
鬱屈を感じることもあるでしょう。
資料をまっすぐスキャンできるとか意味あるの?内容が
読めれば問題なくない?それより企画書書かせてくれよ!
残念ながら、「まっすぐスキャンすべき資料」の見極めが
できないうちは、適切な企画書は書けません。
「内容が読めればいい」資料と「まっすぐであるべき」資料は
明らかに違いますし、それは社会人が当然思い至るべき常識です。
社会人常識は小さな積み木そのものです。
そういう常識で積み木が積めるなんて、本当はお得なんです。
年齢を重ね職位が上がると、小さな積み木は認められません。
否応なしに大きな積み木を積むことを求められます。
それでも、足元に小さな積み木がみっちり積んであれば
水平な面を探して大きな積み木を置くことができます。
でも、大きな積み木ばかりの土台だと、高さもばらばら、
不安定な足場にさらに大きな積み木を載せることになります。
そういうスリルやプレッシャーを楽しめる、そして
勝ち続けられる人なら、それもいいでしょう。
あるいは、時にはゲーム感覚で
大きな積み木にチャレンジするのも一興かもしれません。
ただ、失うことの覚悟と準備は必要です。
小さな積み木の裾野は、その「準備」にもなります。

多くの職場では、小さな積み木がないうちに
大きな積み木をもらうことはできません。
それは、若手の信頼を守るためでもあるのです。
年数や経験とともに、いろいろな積み木がやってきます。
小さな積み木と大きな積み木を上手に混ぜて積むことで
安定して高さも得ていくことができます。
本当は、失敗できない真剣勝負である筈の信頼の積み上げですが
会社組織では、自分で積み木を選べない代わりに
積み木自体の種類が多く、また
その時の自分に合ったものを他人が選んでくれるのも
組織にいることの利点の一つかなと思います。