選ぶ色と心の温度

あなたの好きな色は?

こう聞かれたとき、私は物心ついたときから、青、と答えていたように思う。実際、複数の色の中から選んでものを買うような場面では、たいてい青を選んでいた。青といってもいろいろあるが、私が好きなのは明るすぎず、少しくすんでいる青だ。

受験生としての生活がおわりにさしかかった二月中旬、ふと持ち物をみると、わたしはあることに気がついた。最近新しく買った手帳、ノート、ファイルなどすべてがまったく同じような紺だったのだ。よく考えてみれば、この秋冬好んで着ていた服も紺だった。

さらに、驚くべき発見があった。3歳くらいからほそぼそと習ってきたバイオリンの最後の発表会に臨むとき、今までの子供用から、フルサイズのバイオリンに替えることになった。そのときたくさんの色から選んだケースの色は、少し色味が抑えられているものの、派手な赤だった。そして、浪人生として勉強を始めたとき、新しく買ったペンケースも同じような赤だった。

もちろん偶然の要素もあるけれど、私が選ぶ色は心の温度を表しているような気がする。言葉や行動ではウソがつける。いくらでもきれいごとが言える。じぶんでも気がつかないうちに。でも、色を選ぶときは、直感だけで決めている。普段の生活ではほとんど登場しない直感というものが、この瞬間だけ、顔を出している。

とすると、私の常温はくすんだ青色。
不安や緊張でいっぱいのときは、じわじわと温度は下がって、紺。
なにかを始めるとき、やる気に満ち溢れているときは、火がつくように急上昇して、赤。

こうして書いてみると、我ながら単純だなあ。
今は少し落ち着いて常温に戻っている。ただ、最近はふと白を手に取ることが増えてきた。今までにないことで、これが何を意味しているのかわからない。もしかしたらこれから私の常温が変わっていくのかもしれない。

あまり意識しすぎると、せっかく出てきた直感が引っ込んでしまいそうなので、色について考えるのはここらへんにしておこう。またなにか気づいたら書くことにします。

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