第4期改訂でスタートする「特定保健指導の見える化」は、どのような効果を生み出すのか
3月29日開催の第4回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会を傍聴しました。資料 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32325.html
1.標準的な健診・保健指導プログラムの改訂(案)
はじめに「健診作業班」「保健指導班」による、今回の主な変更点について、説明がありました(【資料1 】【資料2】)。こちらをご覧になると、改訂点がわかりやすいです。説明からは、前回傍聴したWGの内容と大きな変更点はほとんどないかと。委員からも、改訂作業の感謝と、内容への好意的なメッセージとともに了承されました。
WGのおりに、気になっていたP272「表6 特定保健指導において目標設定及び評価を行うための行動変容の例」について見比べてみたところ、特段変更はないように思えました。
前回WGで出ていた
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具体的な参考値が必要なのでは? 目標は全て達成しなくてもポイントになるのか? 目標が達成しても体重が増えている場合はどう評価するのか? 目標以外の行動変容による体重減は? できそうなものだけ選ぶということにならないか? 支援者(評価者)の主観により評価が曖昧になるのでは?
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といった意見への対応策はあるのかなどは、傍聴ではわからず、まずはプログラムをじっくり読んでみます。
また委員から、こちらについて行動目標のアウトカム評価は、目標全部で1kg1cmの達成ではなく、1つの目標で1kg1cm程度の達成とすることを、誤解がないよう伝えるべきという発言もありました。
2.システム改修について
【資料3】にてシステム改修について説明がありました。こちらの資料を読むと、デジタルとして改修すべき項目がシンプルで書かれてあり、どこが変わるかがわかりやすいかも、です。
3.特定保健指導の見える化について
今回いちばん関心を持ったのは、特定保健指導の見える化の項目とスケジュール(案)です。
保険者の実績報告データが、特定保健指導の対象数、終了者数だけでなく、腹囲2cm体重2kg減の達成者数、腹囲1cm体重1kg減の達成者数、食習慣などの改善を認めた者の数、そして、前年度の積極的支援終了者の健診受診者数から、より詳細に「階層の変化」を実績報告データとして集計することになります。
ある意味、短期決戦の3か月後の保健指導のアウトカムに加えて、1年後の「階層の変化」データも集計されるため、保健指導の結果が、1年後の健康状態の改善につながっているかなどを知ることができます。 そしてこの集計データは、第4期の初年度データが集まる2026年から保険者ごとに公表することが提案されました。
見える化は、「対象者の特性に応じた質の高い保健指導を対象者に還元していく仕組みを構築(第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会(とりまとめ)より)」のためのものですが、あえて誤解を招く言い方をすると、特定保健指導の通知表にも読める内容です。事務局も、ここは気にされていて、冷たい制度にならないよう、小規模保険者の負担増にならないようになど、丁寧に説明し、考えていくとのことでした。
ちなみに、保健指導の実践者となる日本栄養士会、日本看護協会の委員からは、質の高い保健指導について腕の見せ所ということで、とても前向きな発言があり頼もしかったです。
4.特定健康診査情報の随時提出について
法定報告ではマイナポータル反映時期は健診年度の翌年12月頃になってしまうそうです。現在は、法定報告のみが42%、随時提出は、46.7 %、そのうち1か月以内に随時提出している保険者は30.1% という状況のため、加入者本人が自らの特定健康診査情報等を速やかにマイナポータルで閲覧できるよう、
「保険者は健診結果を受領してから1か月以内に閲覧用ファイルを提出することが望ましいこと」を周知するとのことでした。
こちらも保険者の負担増について配慮や、事業者健診結果は産業保健として将来的には事業所が提出すべきではといった発言が委員からありました。
2023年度は2024年度4期スタートの大切な準備期間となります。今回でこの検討会も最後。座長の中山先生からは、本当のアウトカムは、国民の健康であるというお話をいただき、終了となりました。
追記 3月31日付にて(案)の取れた、
「標準的な健診・保健指導 プログラム (令和6年度版)」が公表になりました。