手を動かしながら読む ──『建築情報学へ』勉強会からのレポート 近藤広隆
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手を動かしながら読む ──『建築情報学へ』勉強会からのレポート 近藤広隆

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2020年12月25日、書籍『建築情報学へ』(監修:建築情報学会)刊行!
好評をいただいており、発売からわずか1カ月足らずで重版となりました。読者の皆様、執筆・編集・制作に関わっていただいた方々に御礼申し上げます。

出版から半年という節目に、全国の有志学生による『建築情報学へ』勉強会
 @arch_info_study  の企画メンバーによるレポートを公開します。
出版前に発起され、約120名がSNSで連携し、一度も直接会わず複数回の勉強会を開催してきた前代未聞のコミュニティとは。

【バックナンバー】
建築情報学が本当に必要な世代 ──『建築情報学へ』勉強会からのレポート
おいしさは自分でつくる ──『建築情報学へ』勉強会からのレポート 池本祥子


普段私は「建築と異分野の融合」を軸としながらデジタルデザインに特化した制作・研究を行うチーム「ND3M」のエンジニアリングを担っている。
『建築情報学へ』勉強会では、特に第2章の「Ⅲ Connect」第13講「空間的拡張」の読解と進行、「Ⅰ Learn」第3講「情報と生産」の担当をしていた。
まさに勉強会が進行している期間、ND3Mのメンバーとして複数のプロジェクトに関わっており、書籍から得た気づきが実際に活かせる場面や、これまでの経験を振り返るきっかけが何度もあった。
そうした実体験と重ね合わせながら巡らせた思考を綴っていきたい。

物質・機械・条件との格闘

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ひとつ目は、ND3Mが制作した「Fablossom」で、桜の花をモチーフにした幾何学を元に、折りたたみ可能なチューブで構成したパヴィリオンである。3Dプリンタで出力したユニットは、3Dプリンタの上に布を引っ張った状態で敷き、上から樹脂のフレームを積層することで布と樹脂を一体にしている。各ユニットは、硬い樹脂のフレームでありながらも、切り欠きによって布の張力を生かしながら、グニャリと変形するようになっていて、全体の形を変えることができる。パヴィリオンは屋上に置かれ、風の影響を受けることから毎日解体して翌日に組み直していたため、設置期間中、日毎に形を変化させていた。3Dプリンタで出力したユニットは、3Dプリンタの上に布を引っ張った状態で敷き、上から樹脂のフレームを積層することで布と樹脂を一体にしている。各ユニットは、硬い樹脂のフレームでありながらも、切り欠きによって布の張力を生かしながら、グニャリと変形するようになっていて、全体の形を変えることができる。パヴィリオンは屋上に置かれ、風の影響を受けることから毎日解体して翌日に組み直していたため、設置期間中、日毎に形を変化させていた。布の素材、積層する樹脂の厚み、フレームの切り欠きの密度など、素材やデザインの工夫だけではなく、温度管理、樹脂の押し出し量など3Dプリンタの特性も考慮しながら、膨大なスタディを繰り返し、最終形を模索した。布の素材、積層する樹脂の厚み、フレームの切り欠きの密度など、素材やデザインの工夫だけではなく、温度管理、樹脂の押し出し量など3Dプリンタの特性も考慮しながら、膨大なスタディを繰り返し、最終形を模索した。また、屋上への搬入時も踏まえ、分解と組み立てができるような施工方法も考えながらユニットやジョイントをデザインしていった。
また、屋上への搬入時も踏まえ、分解と組み立てができるような施工方法も考えながらユニットやジョイントをデザインしていった。

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これらは『建築情報学へ』の第2章、杉田宗さんによる「3Dプリンタの特徴を理解したうえで、3Dモデリングすることが必要になる」(p.129)、「3Dモデルをそのまま出力する以上に、どのように分解し加工するかを考えるおもしろさがあるとも言える」(p.130)といった記述に共感を覚えながら読んだ。マシンの特性を理解するまで、様々なスタディをし、泥臭くプロトタイプを製作し続けていくことが大切だと実感できた。

VRでプレゼンテーションしARで確認する

ふたつ目は、複雑な木組みである地獄組をオフィス最上階のワークショップなどを行うスペースの天井に取り付けるプロジェクトである。

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複雑な形状のため、模型ではなく、VR(Virtual Reality)でクライアントに体験してもらうというプレゼンテーションをしながら取り付けパターンを決め、AR(Augmented Reality)によって施工後の雰囲気を確認した。

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このプロジェクトを通して、VRやARを使った検討は、クライアントとのコミュニケーションにとって非常に有効であることがわかった。一方で、MR(Mixed Reality)を使うことで、墨出しを行わずに部材のの取り付け位置を割り出すことにも挑戦したものの、実現までは至らなかった。
私たちがここでやりたかったことや、そのさらに先は、書籍の第1章で堀田憲祐さんによって紹介されていた(p.35)。「スマートブロックプロジェクト」は、積み木の支援システムで、ARやVRを使って視覚的に確認するだけではなく、その先の行動までシミュレーションしている点が非常に先端的で、大きな刺激になった。

ものづくりの知見共有へ

『建築情報学へ』の内容は、実際に手を動かしていくなかで改めて実感として理解できる。特に、デジタルファブリケーションやコンピュテーショナルデザインは、実践から得られることが多く、この領域に関わる人たちが交流し合い、知見を共有することが重要になる。この『建築情報学へ』勉強会や建築情報学会で開催されているミートアップなど、他にはない交流の場を活用しながら、自らの学びや経験を発信し、知見を吸収していきたい。
これを読んで、交流や知見の共有に興味を持った方は、是非『建築情報学へ』勉強会 @arch_info_study へ。

近藤広隆(名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻、N3DM)


書籍『建築情報学へ』(監修:建築情報学会)

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