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石のはなし

「趣味はなんですか」と聞かれたとき、「これだ!」と答えられる趣味がない。空いた時間があればすべてをそれに捧げてしまうような確固たる対象はなく、ただその日の気分でしたいことに手当たり次第手をつけていくような人間にその質問はやめてほしい、と思いながら、それはこちらの事情なので、「映画とか見てます」などと言ってしまう。

そんな私ではあるが、石に対しては人よりも思い入れがあるのではないかと思う。最近人に石の良さを話していたときに、スラスラと魅力を説明できる自分に驚き、石が好きな自分を自覚したばかりの、にわか石オタクだ。

「オタク」と言ってしまうと、インプットした関連する豆知識や蘊蓄をもとにさらに自分の考えを展開する、といった高度な技を成し遂げて初めて認定されるような感じがあるが、私の石好きはまるでそんなものではない。ただ、石に心が動かされるというだけである。一般的に「石好き」と言えば、花崗岩を始めとする鉱物系、パワーストーン系、などが思い浮かばれるが、私はそういうものには(好きだが)大きな関心を抱かない。

石。一番憧れるのは、海面から突然ドカンと飛び出ているようなでかい岩だ。ドカンとそびえる岩をサパンサパンと撫でる海。こんなコントラストがこの世でほかにありますか?という美しさに心が洗われる。私もあの岩みたいになりたい。

日本海のでかい岩

あとはコンクリートやモルタルなどもかなり好きで、固まってシュッとした状態はもちろんのこと、固まる前のどろどろした状態もかなり良い。これから流し込まれる型や、ならすコテの力加減で自由に形を変えていく、その未来への伸びしろとでも言えばいいだろうか。いつかモルタルを練って自分で壁を塗らないといけないし、仮に生まれ変わることができたら壁を泥で塗りつくす左官になりたい。

こうして見てみると、私の石好きには①外界と共存して魅力アップ系(石+海、石+苔、石+空 など)、②石の材質を他の形へ転化系(セメント、モルタルなど)の2パターンに大きく分けられるらしい。好きだな、石。今後もこの思いをじっくり育んでいきたい。


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