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アキレス腱

空きコマに大学近くのイタリアン料理店に来た。胸とお尻が魅力的なお姉さんに案内されて席に着き、厨房の黒板に書かれた本日のイチオシメニューを読む。

「気まぐれシェフの気まぐれサラダ」

不安だ。気まぐれなシェフが気まぐれで作ったサラダはサラダなのだろうか。

でも本日のイチオシなのだからしょうがない。お姉さんを呼んで注文をする。

サーモンのオムレツ
アップルパンケーキ
そして、気まぐれシェフの気まぐれサラダ

お姉さんはご機嫌で注文をとった後、I love your sweater! とウインクして去っていった。

大学の課題をやりながら時間を潰していると、早速パンケーキがやってきた。甘さ控えめでとっても美味しい。ふと顔をあげると、向かいに座っていた少年がこちらを見ていた。ガン見だ。視線に耐えられなかったので一枚分けてあげた。少年はメープルシロップをドバドバかけて食べていた。

お待ちかねのサラダがやってきた。色々想像を膨らませていたのだが、普通のサラダだった。上にかかったパルメザンチーズが気まぐれの要素なのだろうか。

サラダもオムレツも美味しかった。だが、シェフの気まぐれさに期待していた分少し物足りなさを感じながらお会計をした。その時だった。私の左足が妙な違和感に襲われた。

攣る……!!

来たるべき激痛に備え顔を顰めていると、向かいの少年がそっと立ち上がり、私の背中をさすってくれた。

少年、、私は半分泣き目で少年を見つめ、痛みが去るのを待った。少年は優しかった。その後店をでるまで私に付き添ってくれた。

私が丁寧にお礼を言うと、少年は黙ってグッドサインを出し、店の中に戻っていった。



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