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あの日の新木場はまるで絵に描いたような晴天で、東京湾とはいえ海沿いにはこんな空がよく似合う。


少し前になるが6月中旬にthe band apart(以下バンアパ)のツアーで新木場へ行ってきた。

バンアパを生で観るのも久々だが、こんな世の中なもんでそもそもライブを観に行く事自体がかなり久しぶりだった。


この日は東京での公演という事もありライブが楽しみなのはもちろん、会いたかった友達にも会える喜びで興奮を通り越してむしろ緊張していた。

いつもはライブ用の耳栓をして観るのだが、この日だけは鼓膜をダイレクトにバンアパの音で揺らしたかった。

そのおかげかライブ開始1発目の出音の衝撃で、人生で初めて観たライブを思い出していた。

遡る事30年ほど前、まだ原宿に歩行者天国なるホコ天が存在していた頃だった。当時はそこの至る所で路上ライブが繰り広げていたようだ。

友達の親に連れられて初めて原宿へ遊びに行ったのは小6の夏。
その時ホコ天で観たLUNA SEAのコピーバンド。
ビジュアル系の名に恥じないド派手な見た目だったのだが、それ以上に衝撃を受けたのは体に響き渡る爆音だった。

【音は目に見えないもの】ってのは当然頭では理解していたが、あの時体に受けた音の形は小6の感覚にグッサリと突き刺さった。
それが未だに忘れられなくてジャンルは違えどバンドが、ロックがずっと好きなんだと思っている。

そんな初期衝動をフラッシュバックさせてもらったバンアパのライブ。

耳栓無しゆえに耳キーンが残ったものの、それ以上に得た感動は計り知れない。

言わずもがな俺の人生史に確実に刻まれた最高で多幸感溢れるライブだった。


この日は車で来ていたので、運転前に夕飯を食べようとするも例のアレのせいで飲食店はのきなみ閉店。

かろうじて新木場にあった吉野家でテイクアウトをキメる。駐車場へ戻り後部座席で大盛りの牛丼を広げながらふと思う。

ついさっきまで友達とライブの感想を語っちゃったりしてワイワイしていたのに、一転して何と寂しい状況だろうといつもの俺なら悲観しそうなものだが、この日はちと違った。

先程までのライブがあまりにも良かったが為に、その余韻でこの状況ですら幸せに感じる事が出来た。

楽しかった1日を噛みしめるよう、ぬるくなり始めた牛丼を頬張りつつ改めてライブの素晴らしさ、そのパワーを実感した。


ここ最近ライブなどのイベント業界は風評被害の影響でどこも厳しいそうだ。
しかしながら実際にこうしてライブに足を運んでみるとしっかりとした感染対策、退場誘導をしていた。
よっぽど休日のショッピングモールや観光地の方がルール無視の無法地帯に感じるのは俺だけだろうか。
一刻も早くこの風評被害や偏見が無くなる事をいち音楽ファンとして切に願いたい。

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