ラーメンの湯切りと、おっちゃん
こんばんは。
働き始めて1ヶ月が経つ、でも、特に仕事に関して書く内容もないので、
最後に大学に行った2020年1月27日のことを書くことにする。
私の大学にはごく普通の食堂があった。具のないカレー、美味しい唐揚げ、オムハヤシ。よくある大学食堂だ。
しかし、大学1年の頃から一際目を引く光景がある。それは、
ラーメンの湯切りをするおっちゃん
である。おっさんというよりかは、おっちゃんと言う方がしっくりくる。
なぜあそこまで惹かれたのか分からないけれど、おっちゃんのラーメンの湯切りを見ると、幸せな気持ちになった。
何年間この人はここで湯切りしているんだろう、とか、
どんな経緯でここでラーメンを作ることになったんだろう、とか。
味も昔ながらの醤油味でやさしくて美味しい。実家に帰ってきた、そんな感覚になる。そんなわけで在学中はラーメンばかり食べていた。
「湯切りのおっさんがエモいんだよ」とよく友人に言っていたが理解されなかった。
大学には書類を取りに行っただけだったので、特にやることはなかったが、
ふと、「ラーメンだ!」とひらめき、昼過ぎに食堂に向かった。
そこには、いつものおっちゃんがいた。即ラーメンを注文をした。
「ラーメンください」
おっちゃんは「はいよー」と言って手際良く麺を茹で、
伝説のエモい湯切りをして、きれいに盛り付けた。
私が「今年卒業するので最後にラーメンを食べに来ました。」と言うと、
おっちゃんは目を丸くした。
おっちゃんは話しかけられたこと自体に驚いているようだった。
そして、「最後のラーメン、楽しんでください、本当に、本当にありがとうございます!!」とめちゃくちゃでかい声で言ってくれた。
なんとなく涙ぐんでいるようにも見えた。
そして、深すぎるお辞儀をした。なぜか厨房の奥にいた人もお辞儀をしていた。
ラーメンを食べながら、大学生活5年間が終わったのだとしみじみ思った。
終わったというか、終わってしまったというか、あまりにも濃い時間だった。
当たり前だけど、5年前は今の自分を全く想像できなかった。
色々思うことはあるけれど、この5年間を通して、
どんな人にも感謝はするべきだという大切なことを身をもって学んだ。
私は、配達業のバイトをしていた。世の中に必要とされている仕事で、
なかったら困るのに、誰にも感謝されなかった。当たり前「すぎる」からだ。
当たり前のことほど、もっと注目されるべきであり、感謝されるべきだ。
オーストラリアでのワーホリ中、ホテル清掃のバイトをしていたことがあった。
フロントにいるのはオーストラリア人や、ヨーロッパ人のみ。
でも、アホみたいに安い賃金で死ぬほど過酷な清掃をしてるのは、
私と大量のネパール人だった。
エレベーターを使うことも許されず、重い掃除機を持って階段を往復して、
8時から5時まで飯もトイレもなしで働いた。
ある日、気絶しかけて、仕事を辞めることにした。
本当に体力がもたなかった。
だから、私はホテルの清掃員の人を本気で尊敬している。
当たり前のことを当たり前と思わず
しっかり感謝を伝えることは
この先もずっと心掛けていきたい。
ここで、ラーメンの話に戻るが、ラーメンを食べ終えた私は
「美味しかったです。ご馳走様でした。」とおっちゃんに笑顔で言った。
おっちゃんは本当に嬉しそうに「ありがとうございました!!」と言った。
絶対に忘れない、おっちゃんの湯切り。
いつかまた食べたいな。
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