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起立性調節障害

”みーこがすんなり学校に行ってくれるか?”
について毎朝ドキドキすることは、
私にとってはごく普通の朝の風景。

だからその一言を言ってもらうまで、
恥ずかしながら全く気づいていませんでした。


幼稚園時代からママと離れたくなくて、学校の正門をくぐるのが一大イベントだったみーこ。

その後も、登校班の集合時間と自分の時間を合わせるのが苦手でパニックになったり、最近ではお腹の不調に悩まされたり・・

学校へ行ってしまえば大丈夫なようなのですが、行くまでにものすごく頑張って頑張ってエネルギーやパワー総動員で登校して行くみーこの姿に、私は慣れてしまっていました。


その日みーこは朝6時半まえに起きて来たのに、1時間もソファの上で二度寝。
朝ごはんを食べるのも億劫そうでした。
好きな100%オレンジジュースを注いで、
「みーこ、ジュース冷たいうちに飲んだら?」
って声をかけても
「・・・わかった・・・・」
ってだるそうに返事するだけ。
メニューも大好きなパンだけど、反応なし。

でも、そういえば最近だるそうだなあ、、
ちょっと無表情なこと多いなあ、、
遅い梅雨明けからいきなり異常な暑さになったし、どこか調子悪いのかな?

なんて、のんきに考えていました。


その日、勤務先で朝のみーこの話を同僚の先生になにげなく話したところ、その話を聞いていた養護の先生が
「それ、起立性になりかけてません?」
ってぽろりとひとこと。

はっとしました。
本当に目が覚めたような気持ちでした。


”起立性”というのは、”起立性調節障害”のこと。
自律神経がうまく機能せず、起きられなくなる病気です。

私が勤務する通信制高校には、そういった自律神経系の不調を訴える子が少なくありません。
身近にあった病気なのに、全く気づいていませんでした。
でも考えれば考えるほど、調べれば調べるほど症状は当てはまっていました。


まずは養護の先生に相談して、学校に来ておられるカウンセラーの先生にも相談しました。
そして教えていただいたのが、
1、水をたくさん飲むこと
2、塩分を取ること(血圧を上げるため)
3、あまり激しいことはせず、ゆっくり体を動かす動作をすること
4、朝起きる時すぐに起き上がらず、ゴロゴロしたりして体を動かしてから起きること
5、お風呂の時湯船に浸かり、体を温めること
などでした。

幸いすぐに私もみーこも夏休みだったので、時間はたっぷりあります。

次の日から、早速朝は一緒に起きるようにしました。
すぐ起き上がらず、ふたりで布団の上を遊び感覚でごろごろ。
仰向けになったまま手足、体をバタバタ。

その後、時間があれば昔買って引き出しの奥にあったヨガのDVDを引っ張り出して来て、ウォーミングアップだけでも一緒にやる。

そのあとはずーっと自由時間。
でも、午前のまだ早い時間に、みーこが元気そうなら水遊びに誘います。
お日様を浴びながら、わたしもみーこもピッピも一緒になって、全力で水の掛け合い。

疲れたら部屋に入って、ひたすらゆっくり。

塩分多めでみーこが大好きなカルパスとかポテチを常備して、
「このおやつすごいよ!いつでも食べていいんだよ!!」
「梅干しはママのおすすめです!」
って宣伝。でも、
「でも、水を飲むのも忘れないで」
って釘も刺しておく。

ちょうど大好きな映画をやっていたから、
「映画見に行けるくらい元気になったら、みーこの好きなの見に行こうね」
「今回はコロナで他にはどこも行けないから、特別にポップコーンとコーラつけてあげるよ」
っていうご褒美つきで。

お風呂の時間は特別に、
「ママの秘蔵の漫画持って入っていいよ」(スラムダンクいいね!)
ってことにしてゆっくり。

あったかメニューの夕ご飯の後、夜は時間を10時半って決めて、それまでに一緒に布団に入りました。


こうやって過ごした二週間弱の短い夏休みが終わった時、みーこはちょっと良くなっていました。

でも、ちょっと良くなったかな、と思ったらズーンと体が動かなくなることも。

もしかして前より悪くなったんじゃないよね?
って心配になることも、何度もありました。


体が動かなくなるたびに、
「みーこ、無理してない?ママ、無理させてないかな?」
って、不安になってみーこに聞きました。 

水遊びをやめたり、時間通りに寝れなかったり、ヨガだって毎日はちょっと難しい。

私が疲れて、
「ごめん。ママちょっとダウン。」
って昼間から2時間も爆睡することも。

上手くいかなくなるたびに、
「私のペースで考えちゃダメ」
「みーこにとって1番良いペースは、みーこの体が知ってるはず」
って、何度も言い聞かせながら。


夏休み終了の直前にソファでピッピとはしゃぐみーこを見たときは、ホッとして泣きそうになりました。
夏休み前、あんなに無表情だったみーこが、顔中をくしゃくしゃにして大笑いしていたから。

「ママ大好き」
ってきらきらした目でいつも言ってくれるみーこ。
一進一退の状況の中、自分のペースで進めそうになったとき、その一言に込められた絶対の信頼を裏切りたくないな、という思いで踏ん張ることができたのかもしれません。



**最後に。
今回のことはほんの一例にすぎません。
回復の速度や症状には個人差があります。
もしご自分やご家族について疑問に思われること、困ったことがおありの方は、専門機関にご相談ください。



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