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スタンドバイミードラえもん2感想(ネタバレあり)



※絶賛しているわけではないです スタンドバイミー2良かったでしょ!という人は閲覧ご注意ください。

公開二日目の11月21日、スタンドバイミードラえもん2観てきました。1は当日の朝見ました(遅すぎる)。間違えて高いIMAXの回で見てしまったからかもしれませんが、でっかいシアターに客が僅か15人ほどでした。映画館全体も土曜にも関わらずスカスカだったので、興行収入がちょっと心配なところです。

3Dドラえもんは本当超可愛いです。「未来ゴム」という素材で出来ているらしいですが、マットな感じやにっこりした口元がたまりません。他の人間キャラのデザインには違和感はたしかにありましたが、ストーリーに集中していれば慣れます。
声優もたいへん良かったですね。レギュラー声優は声だけで幼少期、小学生期、大人期を演じ分けるという難技をこなしてみせていました。
またゲスト声優も全員すごく良かったです。アニメ声特有のアクセント?とても上手で、どの方も違和感が全くありませんでした。
22世紀の都市で実際の企業の広告(トヨタやユニクロなど)があちこちに見受けられるのも面白いです。未来に広告があるということは、その企業が未来まで確実に存在しているということでもあるので、単なる広告宣伝以上の意味合いがありますね。また他のF先生の作品の隠し要素なども随所に散りばめられていました。

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あらすじは「子供のび太が死んだおばあちゃんに会いに行ったら『のび太のお嫁さんが見たい』と言われ、未来の結婚式当日に行ってみたら、大人のび太が逃げ出していた」って感じです。原作の名作回「おばあちゃんのおもいで」+結婚式"当日"というオリジナル展開が主軸になっていますね。1の結婚"前夜"から話が結構繋がっており、1をあらかじめ見ておかないと分からないところもあります。終盤に「ぼくの生まれた日」も入るのですが、尺不足、伏線不足感が否めませんでした。
過去、現在、未来をしょっちゅう行き来するので複雑なタイムパラドックスがあちこちで発生しており、ストーリーや伏線が難解で分かりづらくなっております。私も1回見ただけでは理解できなかったので、お子さんが見たらますます分からないんじゃないでしょうか。

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また、スタンドバイミー1で原作の屈指の名作回を殆ど使ってしまったこともあり、今回は1に比べてオリジナル要素が多めでした。ここはファンの間でも評価が分かれるところだと思います。原作を踏みにじって余計な展開を足したとも、ただ原作の良い話をなぞるだけでなく、新しい展開を生んだとも言えます。
私としては、最後の大人のび太の感動的なスピーチが「のび太はこんなこと言わない…」となり、脳内ののび太との擦り合わせに悩みました。大人のび太のスピーチを聞いていた子供のび太が号泣していたのもおかしいと思いました。まだ人生の紆余曲折これからな子供のび太なら、「なーんだ、未来のぼくも案外良いこというじゃない」とか言うんじゃないでしょうか。子供のび太にはあのスピーチはまだ響かないと思います。
また、ここで過去から連れてきたおばあちゃんが隠れて結婚式を見ていたのも違和感を抱きました。おばあちゃんは「のび太のお嫁さんが見たい」のくだりの後に「おばあちゃんは、ここで待ってるから」と言うのですが、私はこの「ここ」が「過去」のことを指していると思います。過去に生きるおばあちゃんが過去と未来の概念を理解し、タイムマシンに乗り、未来ののび太の結婚式を見に行ったというのはどうも違和感があり、「過去のおばあちゃんの元に未来のお嫁さんを連れてくる、または写真などで見せる」という展開の方が自然だったのではないでしょうか。

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そして、大人のび太が結婚式当日にマリッジブルーになって逃げ出すという展開に、「大人のび太が頼りなすぎてイライラした」という感想も見受けられました。私はそれは話の都合上仕方ないかと思いましたが、気になったのは「子供のび太も頼りない」という点です。
映画ドラえもんではのび太は大抵やけにかっこいいことを言い、たくましくなるのですが、この映画ではそういった補正は一切かかっていませんでした。まあ「映画ののび太はかっこいい」と勝手に思い込んでいただけで、所詮のび太ならそんなもんかもしれません。

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ただ、前作ほどは泣けませんでした。理由はおそらく、この映画が完全に大人向けだったからです。のび太の結婚の挨拶のシーンとか絶対泣きポイントだったと思うのですが、私まだ結婚してませんし、人生あまり味わってない青二才ですので…。人生紆余曲折乗り越えてきた大人の方なら、あそこできっと泣けるんじゃないですか?
そんなわけで、この作品は全く子供をターゲットにしていないなと感じました。
いつもの映画ドラえもんでは、未知の世界に行って、様々な道具を駆使して冒険する過程(日本を目指して白亜紀を旅したり)や、ギャグシーン(あたたかい目〜とか)が挿入されます。そこでワクワクしたり、ゲラゲラしたりして子供は大長編ドラえもんを楽しむ、と私は解釈しています。
スタンドバイミー2は全編が人生いろいろあった大人が泣くように作られているため、そういったシーンはほぼありません(1では出会ったばかりのドラえもんと色んな道具を矢継ぎ早に使って楽しむワクワクシーンがありました)。小さい子供とではなく、恋人や親と見に行くと良い映画だと思います。

全体的に言うと、「大人は感動するかもしれないが、子供向けではない。まあまあ面白かったが、傑作というほどではない」という感じです。8月に公開された新恐竜はガチで大傑作で何度見ても泣いたので、テレビ放送された際にはぜひそちらを見てほしいですね。