岐阜イノベーション工房_2019-05-31

イノベーションをマネジメントする

この記事は、2019年5月31日に岐阜県大垣市で開催された「岐阜イノベーション工房2019シンポジウム」での基調講演を再構成したものです。

これより、イノベーションをマネジメントするということについてお話ししていきたいと思います。既存の企業の中には、新規事業に取り組んでいるところも、そうでないところもあると思いますが、多くの場合において既存事業に対する新規事業の規模というのは、次の図に描かれた円の周縁部のような位置づけでしょう。

既存事業は、過去の延長線上にあるためにかなり正確に予測可能で失敗率も低いのですが、今後市場や技術が変化すると消失していく可能性があります。これに対して新規事業というのは、過去の延長線上にないために予測が不可能で成功率が低いため、経済的合理性はありません。このため、取り組まないという判断をする企業も多いのが現実です。しかしながら、新規事業には直接の収益以外の効果が期待できます。

例えば、対外的には、新規事業に取り組むことによって企業の認知度が向上したり、従来では確保できなかったような優秀な人材を集められる、といったことがおきるかもしれません。対内的には、新しいことに挑戦して成長していきたいという人々にとって魅力的な取り組みとなるため、組織が活性化される、さらなる成長を求めて離れてしまう優秀な人材を繋ぎとめられる、ということにつながるかもしれません。ここで、既存事業と新規事業を推進するために重要なのがイノベーションです。イノベーションは、既存事業においては漸進的な変化、新規事業においてはその中心となる不連続な変化です。まず、イノベーションとはどんな概念なのか、原点に立ち戻って見ていきたいと思います。

イノベーションとは?

多くのメディアにおいて、未だイノベーション=技術革新という誤解に基づいて紹介されたり、議論されたりすることがあります。この起源となったといわれているのは、60年以上前となる昭和31年度(1956年)に発行された『経済白書』です。「もはや戦後ではない」というフレーズで有名になったこの報告書の中において、次のように述べられています。

世界景気の堅実な力強い発展の陰に潜む基礎的な動因は、大衆購買力の増加による耐久消費財の売れ行き増加と技術革新のための新投資の増大であろう。〔中略〕このような投資活動の原動力となる技術の進歩とは原子力の平和的利用とオートメイションによって代表される技術革新(イノベーション)である。

実際には、この少し後まで読むと次のように技術革新に限らないことが補足されています。

技術革新とはいうけれど、それは既にみたように、消費構造の変化まで含めた幅の広い過程である。外国では技術革新をさらに拡張して、技術の進歩と、これに基づく内外の有効需要の構造変化に適応するように自国の経済構造を改編する過程を、トランスフォーメーションと呼んでいる。

それまで日本語になかったイノベーションという概念を紹介する際、無理矢理一言で述べようとした弊害が現在まで続いているといえるかもしれません。さて、そもそもこのイノベーションという概念は誰が、いつ提唱したものなのでしょうか?

イノベーションという概念は、100年以上前にオーストリアの経済学者シュンペーターが提唱しました。シュンペーターは、ハーバードビジネススクールが世界で一流の学校になっていく過程で大きな貢献をした研究者です。彼は主著において次のように述べています(『経済発展の理論』p. 182)。

生産をするということは、われわれの利用しうるいろいろな物や力を結合することである〔中略〕。生産物および生産方法の変更とは、これらの物や力の結合を変更することである。〔中略〕新結合が非連続的にのみ現われることができ、また事実そのように現われる限り、発展に特有な現象が成立するのである。〔中略〕われわれの意味する発展の形態と内容は新結合の遂行(Durchsetzung neuer Kombinationen)という定義によって与えられる。

シュンペーターは「新結合の遂行」を「イノベーション」と言い換えました。シュンペーターは、この後に続けてイノベーションの概念には5つの場合を含むと説明しています。ここでは、最近の日本の研究者たちによる解釈で紹介します。一橋大学イノベーション研究センターの研究者たちが2年前に出版したこちらの書籍において、シュンペーターによるイノベーションの定義を現代的に解釈して次のように紹介しています(『イノベーション・マネジメント入門 第2版』)。

イノベーションとは、知識や物、力を、従来とは異なったかたちで結合する「新結合」である。シュンペーターは、この新結合には次の5つがあると説明している。①まだ消費者に知られていない新しい商品や商品の新しい品質の開発、②未知の生産方法の開発(科学的発見に基づいていなくてもいいし、商品の新しい取り扱い方も含む)、③従来参加していなかった市場の開拓、④原料ないし半製品の新しい供給源の獲得、⑤新しい組織の実現。

100年前にシュンペーターが提唱したイノベーションという概念は、その後世界中で多くの人々がその重要性に着目し、その定義が更新されていきました。例えば、2005年にOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)が発行したオスロマニュアルにおいて、イノベーションは次のように定義されています。

新しい又は大幅に改善されたプロダクト(製品又はサービス)又はプロセスの導入,マーケティングに関する新しい方法の導入,若しくは業務慣行,職場組織又は外部関係に関する新しい組織の方法の導入。

この例として、プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション、組織イノベーション、マーケティング・イノベーションの4つが紹介されています。イノベーションは、天才でなくとも、国際的な大企業でなくとも創出できるというのが世界的な了解ですが、そのために重要なのがマネジメントであり、イノベーションの創出をマネジメントするシステムを標準化しようという動きは世界的になっています。

例えば、2013年にCEN(Comité Européen de Normalisation:欧州標準化委員会)により定められた標準「CEN/TS 16555-1:2013」では、オスロマニュアルにおける定義を簡潔に整理して次のように定義しています。」では、オスロマニュアルよりもやや簡潔に、次のように定義しています(筆者は翻訳による)。

新しいまたは大幅に改善されたプロダクト(製品またはサービス)、プロセス、新しいマーケティング方法、または商慣行、職場組織または外部との関係における新しい組織方法の実現

さらに、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)は、欧州のイノベーション創出戦略の動きを受け、イノベーションマネジメントシステムの国際標準化へ動いており、現在は最終国際規格案の承認段階にあります(ISO/FDIS 56002)。現在行われている投票が順調に進めば、おそらく来月位には公表されるのではないかと思います。このように、シュンペーターが100年前に提唱したイノベーションという概念は、世界中で多くの人々がその重要性を認め、様々な人々が関わってその定義を更新しなが、マネジメントするための知見を蓄積してシステム化を進め、現在に至ります。ここまでで、イノベーションが重要でかつ世界的に注目を集めている事は理解していただけたと思います。では、イノベーションを創出するためには、どのようにマネジメントしていけばいいのでしょうか?

レンズ1:両利きの経営

ここでは3つの「レンズ」を紹介したいと思います。レンズと表現しているのは、それを身に付けることによって複雑な世界をある程度整理して理解する、今まで焦点が合わず見えていなかった物事を見ることができるようになるという意味においてです。最初のレンズは「両利きの経営」です。両利きの経営という考え方が提唱されたのは1990年代です。研究と企業のコンサルティングなどを通じた実践を通じて洗練させてきたオライリーとタッシュマンの2人は、豊富な事例と共にこの理論をまとめて『両利きの経営』という本として出版しました(原著は2016年、日本語訳は2019年2月)。この本の中において、オライリーとタッシュマンは次のように述べています(『両利きの経営』)。

成功している企業が変化を前にして革新を求められると、なぜこれほど適応しにくいのだろうか。私たちの結論は、それを左右するのは戦略でも、テクノロジーでも、はたまた運ですらない。もちろん、そうした要因も重要かもしれないが、何といっても関係するのはリーダーシップだ。つまり、変化に直面したときにリーダーがどう行動するかが問われるのである。〔中略〕成熟事業の成功要因は漸進型の改善、顧客への細心の注意、厳密な実行だが、新興事業の成功要因はスピード、柔軟性、ミスへの耐性だ。その両方ができる組織能力を「両利きの経営(ambidexterity)」と私たちは呼んでいる。リーダーが成功の要だとすれば、両利きの経営は戦うための武器にあたる。

オライリーとタッシュマンは、この両利きの経営がなぜ必要なのかについて、様々な企業の成功事例と失敗事例を用いて紹介しています。ここでは、おそらく皆さんにもなじみが深いであろう日本の企業、富士フイルムの例を抜粋して紹介します。

世界におけるフィルムの売上は、2000年をピークに急降下し、2005年には半減しました。これは大方の予想を上回るペースでした。2000年当時、富士フイルムにおけるフィルム販売は売上の60%、利益の70%を占めていたため、この市場の変化は危機的な状況を生み出しました。この危機に対応するため、2000年にCEOに就任した古森重隆の采配下で、化学分野の専門知識(=界面化学)を新規市場に活かそうと努力し始めました。

次の図の右側にあるのが、イノベーションストリームというこの2人が用いている分析のフレームワークです。市場と組織能力、それぞれにおいて既存と新規で分けると4つの領域ができます。この4つの領域において何を行っていて、どこからどのようにイノベーションを創出していったのかということを分析するフレームワークです(『両利きの経営』第3章をもとに作図)。

既存の市場に対して既存の組織能力で取り組む既存事業にくわえて、既存の市場に新規の組織能力で、新規の市場に既存の組織能力で、新規の市場に新規の組織能力で、という4つの領域に取り組みました。これは大きな組織開会を伴う大変な挑戦でしたが、これにより、富士フイルムは現在でも企業としての成長を続けています。これに対して、2000年の段階ではほぼ同じような状況にあったコダックは、既存事業のみにこだわったため、その後大幅な規模縮小を余儀なくされました。

市場と技術が、大きく、急速に変化していく中で重要なのが、既存の資産と組織能力を「深化」しながら十分に探索をする「両利きの経営」であると二人は主張します。深化とは、探索などを通じて試したことの中から成功しそうなものを見極め、それを深掘りし磨き込んでいく活動です。これに対して探索とは、自身や自社の認知の範囲を超えて、遠くに認知を広げていこうという行為です。この探索に取り組まない企業は、大きな変化に直面したときに破綻する可能性が高いというのが、過去の多くの事例に対する調査結果から明らかになっています。しかしながら、過去の延長線上にあるために短期的な成功が保障されている深化と、過去の延長線上にないためにそもそも非効率的な探索という両者の間で、組織内におけるバランスを取るのは非常に難しいと2人は指摘します。それでは、探索と深化に同じ組織内で取り組むにはどうすればいいのでしょうか?

探索と深化という相反する取り組みを同じ企業内で行うために、様々なやり方が試されています。例えば、パナソニックは、パナソニックのビジネス改革を主導する馬場渉さんという強力なリーダーのもとで、パナソニックβという出島のように完全に分離された新規事業のユニットをつくって取り組んでいます。

こうした方法はある程度規模の大きな企業であれば可能ですが、小規模の企業では難しいかもしれません。また、分離して進めてしまうことにより、新規事業の立ち上げ時に既存事業の資源をうまく活用する、新規事業がある程度の規模まで成長した後に既存の事業に接続する、といった段階で社内政治に巻き込まれて消失した例も多数あります。

これに対して岐阜イノベーション工房では、出島モデルではなく、既存事業の辺境部分に新規事業を作り上げていくという、いわば「辺境モデル」を推奨したいと思います。これにより、既存事業で蓄積し深化させてきた資源や知見を生かしつつ、隣接する領域へと事業を展開していくことが可能になると思います。

今回のシンポジウムで用いているグラフィックでは、この辺境の部分に注目して濃いオレンジで表現しています。辺境の部分というのは、外部からその企業を見たときに顔になり、外部の企業や個人の人々とつながる接点にもなります。このように現在の既存事業の辺境に新規事業を位置付けることで探索と深化を両立させようというのが私からの提案です。

レンズ2:枯れた技術の水平思考

次に紹介するのが「枯れた技術の水平思考」というレンズです。これは、横井軍平さんが提唱した考え方です。大変残念なことに横井さんは約20年前の事故で亡くなっていますが、この考え方に共感する人々は多く、亡くなった後も様々な書籍の中で取り上げられ語り継がれています。この横井さんは、元々はトランプや花札を製造するいち地方企業でしかなかった任天堂が、世界の任天堂として知られていく段階において多くの貢献をした方です。その代表的な製品がゲーム&ウォッチです。リアルタイムで遊んだこともあるという方もいれば、見たことも聞いたこともないという方もいらっしゃるでしょう。ゲーム&ウォッチは、このインタビュー記事にあるように液晶を搭載した小型の携帯型ゲーム機です。1980年より発売され、シリーズ累計で5千万個以上も販売されたといわれる、初期の任天堂の大ヒット商品です。この商品からの利益を元に大胆に投資したのがファミリーコンピュータで、その後の任天堂の躍進へとつながっていったといわれています。横井さんは「枯れた技術の水平思考」という考え方について、インタビューで次のように答えています(『横井軍平ゲーム館』pp. 210-211)。

私がいつも言うのは、「その技術が枯れるのを待つ」ということです。つまり、技術が普及すると、どんどん値段が下がってきます。そこが狙い目です。例えば、ゲーム&ウオッチというのは、5年早く出そうとしたら10万円の機械になってしまった。電卓がそれくらいしていたわけです。それが量産効果でどんどん安くなって3800円になった。それでヒットしたわけです。これを私は「枯れた技術の水平思考」と呼んでいます。つまり、枯れた技術を水平に考えていく。垂直に考えたら、電卓、電卓のまま終わってしまう。そこを水平に考えたら何ができるか。そういう利用方法を考えれば、いろいろアイデアというものは出てくるのではないか。

液晶は、アメリカのRCAが1968年に開発した技術が元になっています。それを元に自社開発して確立し、さらにシャープが小型で長時間使用可能にするために独自に技術を開発し、1973年に大ヒットした液晶電卓を発売して以降、様々な企業が競合する液晶電卓製品を次々と開発、発売したことによってこの液晶の技術は成熟し、かなり安く製造できるようになりました。電卓をそのまま垂直に思考すると、高性能な電卓のようなものしか出てこなかったかもしれません。しかしながら、横井さんは水平に思考しました。

京都から東京に向かう出張の新幹線の中で、サラリーマン風の人が暇つぶしのためにポケットから電卓を取り出してパチパチと叩いて遊んでいる様子を観察した横井さんは、携帯型のゲーム機というアイデアを思いつきます。当時、成熟して枯れた技術となっていた電卓用の液晶を水平に思考して生まれたゲーム&ウォッチは世界中で大ヒットし、その後の任天堂の発展のきっかけになりました。

イノベーションというと、最初に紹介したようなイノベーション=技術革新であるという誤解も手伝って、多額の投資をして全く新しい技術を開発しなければ実現できないと考えてしまうことがあります。しかしながら、自社の既存事業の外にある分野において既に成熟している技術を探索し、水平思考することにより、大きな投資をすることなく新たな分野に取り組んでいくことが可能になるのです。

レンズ3:バリデーション(validation)

最後に紹介したいのが、バリデーションという考え方です。この言葉にはまだ日本語での標準的な訳語がないため、カタカナでそのまま使います。バリデーションによく似た言葉として、日本語では検証と訳されるベリフィケーション(verification)という言葉があります。検証における問いは「我々はプロダクトを正しくつくっているだろうか?」です。これは、要件や要求の定義に基づいて法令等を遵守しながら要求される精度で決められた納期とコストでつくるということで、ものづくりに関わっている企業であれば当然のようにやっていることです。これに対してバリデーションにおける問いは「我々は正しいプロダクトをつくっているだろうか?」この2つはほとんど言葉遊びのようにみえるかもしれませんが大きく違います。

検証においては、要件や要求の定義が正しいか間違っているかは問題にはなりません。このため、間違った要件や要求の定義に基づいて、正しくプロダクトをつくることが可能になってしまいます。そうしたプロダクトは、実際に顧客に対して何も価値を生み出さないため、おそらくは市場で大きな失敗をすることになるでしょう。これに対して、プロダクトを開発する途中の段階において、本当にそれが正しいプロダクトなのかどうかというのを確認するというのがバリデーションです。バリデーションを実行することにより、自分たちがつくっているプロダクトが正しい(=本当に顧客が価値を感じてくれる)かどうかを投入コストが小さいうちに確認し、方向修正するのです。これを繰り返すことにより、短期間で正しいプロダクトのに辿り着くことができる可能性が高まります。

このバリデーションのため、人々とプロダクトの接点(タッチポイント)を、本物であるかのように感じられる必要十分なところまでつくり上げるのがプロトタイピングです。ここでは、岐阜県内の企業が参加してオープンイノベーションに取り組んだプロジェクト「光枡」を例に簡単に紹介したいと思います。これが最初のアイデアスケッチ「光る枡」です。

このアイデアをもとに、技術的な実現可能性などを探りながら発展させていき「傾けるとほのかに光ることで日本酒を飲む経験に彩りを添える枡」というコンセプトが生まれました。しかしながら、このように電子回路が剥き出しの状態で、このプロダクトをいいと思うかどうか尋ねられても、多くの人々は正確に判断できないと思います。例えば、電子回路に馴染みのない方であれば、電子部品を見ただけで拒絶反応するかもしれません。

そこで光枡のチームは、あたかもこのプロダクトが本当にあるかのように感じられるようなプロトタイプをつくりました。その段階においては3Dプリンターなど、当時手軽に使えるようになった技術を活用し、チームが編成されてから3ヶ月弱という非常に短い期間でコンセプトプロトタイプが完成しました。このコンセプトタイプを見た人々からは、本物の感想を得ることができました。

欲しい、欲しくない、欲しいとすればいくらなら払えるかといったことに関する本物の反応が、本物であるかのように感じられるプロトタイプに触れることで得られるのです。多くの場合において、この段階を経ることなく、思い込みに基づいて多額の投資をして一足飛びに製品の試作をつくってしまいがちなのですが、その前の段階においてこうしたコンセプトプロトタイプを低コストでつくれば、リスクを最小化できます。

光枡は物理的なプロダクトでしたのである程度の期間をかけて作りましたが、ウェブサービスやスマートフォンアプリのようなものであれば、プレゼンテーション用ツールなどを用いることでわずか数時間で本物であるかのように感じられるプロトタイプを作ることだって可能なはずです。このように、必要十分なプロトタイプを用いてバリデーションを実行することにより、リスクを最小化できるのです。

おわりに

最後に、これまでにお話してきたことをまとめたいと思います。

・市場と技術の変化が激しい時代に企業が生き残るには、既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行う「両利きの経営」が必要・限られた資源でイノベーション創出に取り組むためには、他の分野で成熟した技術を探索し、自社の組織能力と繋げて展開する「枯れた技術の水平思考」で考えることが重要・市場や顧客のインサイトがない新規事業の場合、必要十分な完成度のプロトタイプを用いて、自分たちが正しいプロダクトをつくっているかどうか確認することが有効

いかがでしょうか?もし、ここまでの話に共感した方は、ぜひ「岐阜イノベーション工房」に参加し、一緒にイノベーション創出に挑戦していきましょう。岐阜イノベーション工房の目的は、参加同意書で次のように定めています。

本プロジェクトは、参加者が、イノベーション創出に有効であるとされる手法を主催者から学び、参加者個人または参加者の所属組織などにおいて実践し、実践からの学びを共有することを通じて、イノベーション創出に挑戦するための風土を岐阜県内に醸成することを目的としています。

風土を醸成する、というと大げさに聞こえるかもしれませんし、数年間で実現するようなことでもないでしょう。しかしながら、イノベーション創出に挑戦する人々の活動が顕在化すれば、その地域において人々が生き生きと暮らせるようになるのではないでしょうか?ぜひ、辺境におけるイノベーション創出の可能性を一緒に探索していきましょう。

リファレンス

・経済企画庁編『昭和31年度経済白書—日本経済の成長と近代化』至誠堂(1956年)
・Joseph A. Schumpeter『経済発展の理論―企業者利潤・資本・信用・利子および景気の回転に関する一研究(上)』塩野谷 祐一(訳)、東畑 精一(訳)、中山 伊知郎(訳)、岩波文庫(1977年)
・一橋大学イノベーション研究センター(編)『イノベーション・マネジメント入門 第2版』日本経済新聞出版社(2017年)
・OECD. Oslo Manual: Guidelines for Collecting and Interpreting Technological Innovation Data. 3rd ed. Paris: OECD, 2005.(文部科学省科学技術・学術政策研究所『第4回全国イノベーション調査統計報告』(2016年)の翻訳より)
・チャールズ・A・オライリー、マイケル・L・タッシュマン『両利きの経営—「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く』入山 章栄(監訳)、渡部 典子(訳)、東洋経済新報社(2019年)
・横井 軍平、牧野 武文(インタビュー・構成)『横井軍平ゲーム館: 「世界の任天堂」を築いた発想力』筑摩書房(2015年)、pp. 210-211
・和田富夫『電卓用液晶ディスプレイの開発 : 液晶ディスプレイとともに30年間を歩んで』映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア、第60巻、第3号(2006)、pp. 321-325、一般社団法人映像情報メディア学会
・Wikipedia contributors, "Software verification and validation," Wikipedia, The Free Encyclopedia, https://en.wikipedia.org/w/index.php?title=Software_verification_and_validation&oldid=870007870 (accessed November 24, 2018).
・奥出直人『デザイン思考とヴァリデーション』品質月間テキスト432、日本規格協会(2018年)

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