知ってるからつまらないものと、知っているけど面白いもの

僕は映画や漫画などの作品に触れた時、つまらないなと思うことがしばしばある。
世間では大ヒットの人気作品でも、全く自分には刺さらないなんてことも多い。
大人気の「鬼滅の刃」も個人的にはそこまで面白いものとは思えなかった。
近年のヒット映画で言えば、実写「東京リベンジャーズ」や「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」なんかも世間が騒いでいるほど評価の高い作品には感じなかったかな。

で、noteでたまたまこんな記事を読んだ。

この記事を読んですごく納得した。
僕は「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」を観てもそんなに刺さらなかったが、たぶんこの方のお母さんと同じ感覚なのだろう。
僕は世代的にはこのお母さんよりだいぶ下だろうけど、昔の作品やホラーはよく観るのでゲ謎の作風に特別なものは感じなかった。
戦争に関しては、戦争を経験した祖母からよく話を聞かされていたし、この作品のメッセージって当たり前のことだよなという感想だった。

ゲ謎がつまらないと言うよりは、なんか知っているものの寄せ集めなので新鮮さを感じなかったんだろうと思う。
それは他の作品に対しても同じかな。


知れば知るほどつまらないものが増える

例えばもし僕が中学生くらいの頃に「鬼滅の刃」を読んでいたら、めちゃくちゃ面白いと思ったんじゃないだろうか?
理不尽に人が惨殺される描写に衝撃を受けたかもしれない。
格好いい鬼殺隊に憧れて呼吸の練習をしていたかもしれない。
敵である鬼にも悲しい過去があると知って世の中をわかった気になれたかもしれない。

ただ、今の僕はそうではない。
その理由は、僕が似たような多くの作品をすでに通ってきたから。

少年ジャンプのバトル漫画なら子供の頃にたくさん読んだ。
「ドラゴンボール」「ONE PIECE」「HUNTER×HUNTER」「BLEACH」など
ジャンプの漫画ではないけど「うしおととら」なんかもすごく好きだった。
今思えば「うしおととら」は鬼滅と重なる部分がすごく多いよな。
おそらくそんな漫画の影響を受けて作られたのが「鬼滅の刃」だろうし、だからこそ僕からすればなんか知ってる漫画になってしまう。

多くの作品を知れば知るほど、つまらないと思える作品が増えていくんじゃないだろうか。


コピーとアップデート

とは言え、僕は王道やお約束が好きでもある。
むしろ、そういうものを求めていたりもする。
特撮ヒーローは今でも好きだが、特撮ヒーローなんて王道とお約束の権化とも言えるだろう。
スーパー戦隊なんかは特に毎年同じ形式を繰り返している。
その中でも面白い作品とつまらない作品が分けられる。

知っているからつまらない作品と、知っているけど面白い作品の違いとはなんだろうか?
それはおそらくコピーかアップデートの違いではないかと僕は思う。

僕の感覚では「鬼滅の刃」はコピーの作品のように感じる。
過去の名作の良い部分をコピーし切り貼りしたような印象。
ゲ謎も同じ。
これらよりも酷い劣化コピーな作品も時々ある。

そして、僕が最近面白いと思った映画「ゴジラxコング 新たなる帝国」
これもなんか知っている映画ではある。
やっていることは僕が子供の頃に観ていた平成ゴジラシリーズと大差ない。
ただ、この作品は王道やお約束を基盤にしアップデートされた作品だと感じた。
平成ゴジラシリーズでは得られないものをこの作品からは得られる。
ハリウッドならではの映像の派手さやクオリティの高さ、より怪獣にフォーカスを当てた怪獣メインの物語。
ただ同じことを繰り返すのではなく、ゴジラシリーズを一段階上に持ち上げた作品だと思う。


純度

知っているものはつまらなくなる。
という理論が正しければ過去の作品はどれもつまらないものになってしまう。
現代に生きていれば、コピーされた作品やアップデートされた作品に先に触れることは多いだろう。

でも実際は、過去の作品は今観ても面白いなんてことはよくある。
手塚治虫の漫画は今読んでも面白いし、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は子供の頃から何度も観ているけどいまだに面白い。

こういう過去の作品が面白いと思える理由は純度が高いからではないだろうか。
オリジナルはコピーより純度が高い。
コピーすればするほど純度が低くなる。

僕が子供の頃にポケモンとたまごっちが大流行した。
で、そのあとにデジモンが出てきた。
今思えば、デジモンは明らかにポケモンとたまごっちをパクった商品だ。
名前からして完全にポケモンをパクってる。

僕はポケモンは大好きだったがデジモンにはさほど興味が湧かなかった。
その理由は子供ながらにデジモンは不純物が多いと感じていたからだ。
デジモン側としてはオリジナルとの差別化を図るためにいろいろやっていたんだろうが、僕からすればそれは不純物でしかなかった。
少しリアルなタッチのデザインはどこかうるさく感じたし、アニメは中途半端に年齢層を高めに設定していていまいちだった。
発売された当時も流行りはしたけど、ポケモンやたまごっちと比べるとあまりパッとしなかったかな。
僕のように感じていた子供も多かったんだろう。

今となってはデジモンも人気コンテンツとして生き残っているが、ポケモンと比べるとかなり格下の印象しかない。
今ではポケモンよりデジモンを先に知る子供もいるだろうが、それでもやっぱりポケモンの方が人気がある。


なんか知ってる作品の存在意義

僕は今まで様々な作品に触れてきたから、鬼滅やゲ謎のような作品にはさほど魅力を感じない。
でも過去の作品に触れていない人からすれば、これらの作品は未知の刺激的な作品に思えるだろう。
むしろ、そんな作品の方がジャンルの入り口には丁度いい。
映画、漫画、アニメ、音楽、アート
どんなジャンルでもいきなりコアなものだと入りづらい。

鬼滅やゲ謎は過去の名作の総集編のように思えば、どこかしっくりと来る。
実際にこれらの作品を支持しているのは、過去の作品を知らない若者やオタク知識がない人たちが多いように思う。
こんな作品が過去の名作やマイナーな名作を掘り下げるきっかけになるんじゃないだろうか。

例え劣化コピーな作品であっても存在意義はある。

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