腕を振らない腕振り

まず、肩甲骨の動きについて(しっている方は飛ばしてください)
肩甲骨には内転、外転、挙上、下制、上方回旋、下方回旋、前傾、後傾がある。

肩甲骨胸郭関節

本題。

腕振りでは肩甲骨を’’意識’’することが大切である。’’動かす’’のとは違う。あくまでも動かすのは’’背骨’’である。
この際の背骨とは’’胸椎’’(肋骨がついている)のことである。胸椎を丸めたり(屈曲)、反ったり(伸展)するのである。その結果、肩甲骨は’’前傾’’、’’後傾’’する。
前に走るという目的では前傾、後傾が最も大切である。特に、重心移動をしやすくするためには
肩甲骨を前傾できるかが大切になる。
前傾に必要なのは、①鎖骨が’’動く’’こと、②小胸筋を意識できること、③後傾ができることである。

それぞれ説明していくが、下のボルトの動画を見ながら感覚と照らし合わせてほしい。①は正面から、②、③は横からの映像で特にわかりやすいと思う。

①について、鎖骨は上肢を体幹と結ぶ唯一の骨で、上方や前方へよく動き、回旋も約30°行う。走る上で大切なのが、上方への動き(挙上)と回旋である。
挙上することで、上肢を振り下ろすエネルギーを溜め、回旋で肩甲骨の前傾を行う。

②について

小胸筋

小胸筋は肩甲骨の前傾、外転、下方回旋である。
腕振りで重要なのは、肘を体の前に出さないことである。体の前に出すことで、肩甲骨の外転が大きくなってしまい、小胸筋が体に対して左右に伸びる形になり前傾に対して働きにくくなるためである。
動画からも、肘が体の前に出る選手は、肩甲骨の前傾が少ないことが分かるだろう。

③について、肩甲骨を後傾するのは、前傾のためのエネルギーをためるためである。これは胸椎を伸展させることで比較的行いやすい。

最後に
44秒あたりからのスタート

肩甲骨に付着する筋は、背骨にも付着するものがいため、背骨を動かして走るボルトは肩甲骨がかなり動いていることが分かる。肩甲骨が内転することで小胸筋が引き伸ばされ、収縮の力が強まったりする。肩甲骨が動くことで、腕振りの力強さが変わるのである。

ただ、あくまでも動かすのは背骨である。腕は振られるイメージで。

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