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"っぽく"生きなきゃ嘘だろう

アートについて思うこと

「カッコつけんな」

「スカすなよ」

アート好きなんだよね〜って言うと、かなりの確率で返ってくる言葉たちである。

人の"好き"というのは、人それぞれであって、

その人が好きなのであれば、それだけで十分だとぼくは思っているので、大きく傷つきはしない。

ただ、言われて良い気分がしないのも事実としてある。

だって、人間だもの。


では、なぜアートが好きなのか。

結論から言うと、

アートを描いたその人の想いであったり、生きてきた背景が見えるような気がして興味深く、おもしろいからである。


まず、ぼくが興味あるところでいうと、

「なぜ、絵を描いているのか」

である。

アート、広く捉えて"絵"というのは、年齢を重ねていくと描かなくなるものだと思う。

色んな要因はあると思うけど、

学生の頃だったら、

勉強や部活、SNS、友達と遊ぶこと、

社会人の頃だったら、

仕事や友達と遊ぶことに時間を割くことが多くなると思うし、それが"絵を描く"よりも面白かったりもする。

なので、絵を描くという行為の優先順位は、歳を重ねていくにつれて下がっていくもので、

そんな忙しい中でも絵を描いている人は、本当に絵が好きな人なんだと思う。


絵を描くことで心が落ち着くのだろうか。

絵を通して何か伝えたいことがあるのだろうか。

絵を描いている自分自身が好きなのだろうか。

そういったことを調べるのもおもしろいし、絵を見て想像するのも面白い。


あともう一つ興味があるところでいうと、

「なぜ、その絵の描き方なのか」

である。

絵の描き方にも、きっと種類がたくさんあって、

アニメっぽいキャラクターを描く人もいれば、リアルに近い人間を描く人もいる。

さらに、キャラクターや人間ではなく、風景画を描く人もいる。


なんとなくだけど、その描き方の選択って、誰に影響されたとか、時代の流行とか、その人の生きてきた背景が見える気がする。

例えば、

ぼくが好きな橋爪悠也さんの作品というのは、藤子・F・不二雄さんの作風に似ており、

その想いとしては、「すべてのものは何かの真似の上に成り立っているものではないか」という昔からの考え方にあると言っていた。

藤子・F・不二雄さんへの敬意を示しつつ、オリジナルとコピーの境界線を問うている。

そういった背景を知った上で絵を見ると、すごくおもしろいし、知ることができなくても、それを想像するのは面白い。


っていうのがぼくがアートについて思うことです。

長々と失礼しました。



主人公っぽくない主人公

「成瀬は天下を取りに行く」

このタイトルと表紙を見て、興味を持って買った人はぼくだけではないだろう。

本屋さんでこの本を見つけた時、久々に心躍ったのを覚えている。


簡単に内容を説明すると、

主人公の「成瀬」が

閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映り込むと言ったり、

M-1に挑戦すると言ったり、自分の髪の毛で実験を行ってみたり、

「成瀬」が様々なことに挑戦して、我が人生を生きていく物語となっている。


この物語の主人公の「成瀬」って、

主人公っぽいといえば、主人公だけど、

主人公っぽくないといえば、主人公っぽくない。


個人的な見方にはなってしまうが、

"主人公っぽくない人を主人公にした"

という表現が一番しっくりくる。


誰かを引っ張って何かに導くとか、

特殊な能力を持っているとかもない。

逆に何か暗い部分を持っているとか、

悲劇のヒロインみたいなものもない。

いわゆる、主人公的な要素がないのである。


ただ、そんな主人公らしくない物語であるのに、

読み終わった後には「成瀬」のファンになっている。

大谷翔平に"憧れるのをやめましょう"と言われても、大半の人は「成瀬」に憧れてしまうだろう。


では、なぜ「成瀬」に魅了されるのだろうか。

ぼくとしては、彼女の"真っ直ぐすぎる"性格に惹かれている。

例えば、

大学の受験会場で、明日試験があるにも関わらず、大学構内で野宿すると言った人に対して、"風引くからウチの家に来て過ごした方がいい"と提案してみたり、

バイト先のスーパーでクレーマーをしている人に対して、"クレームをつけるくらいお店を見ているなら万引き犯を捕まえてほしい"とお願いしてみたり、

良い意味で発想のネジが外れていて、真っ直ぐだし、そこに嫌味が感じられない。


きっと、ぼくは「成瀬」みたいになりたいと思う側面もあるから、惹かれるのだけど、絶対になれないと言い切れる。

ぼくがやると、嫌味であったり、打算であったりが含まれてしまい、「成瀬」ほど高い純度で行動することができないだろう。

だから「成瀬」に憧れてしまう。

ごめん、大谷翔平。

憧れるのはやめられそうにないです。


あと話し方も特徴的なので、是非読んでみてください。

(記載内容には「成瀬は信じた道をいく」という続編のものも含まれています)

先日ビバラに行ってきました。
やっぱりフェスはお祭り感あって最高🏃‍♂️
sumikaの「starting over」が今回のハイライトかな〜

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