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人は権威にどれほど「服従」するのか

組織内部において、経営者や上司の指示に対して誰も逆らうことができず、やがて世間を驚かせるような大きな事件に発展するケースがしばしばニュースになります。

このようなニュースに、皆さんは疑問を持つことでしょう。
「直属の部下や従業員は、なぜ不誠実な上司の指示に従うのか?」

さて、イェール大学のスタンリー・ミルグラム博士は、ホロコーストが起きたメカニズムを解明するため「人々の権威に対する服従」に関して実験を行い、1963年にその結果を発表しました。

この実験は「権威ある博士」、サクラである「テスト参加者」、そして「被験者」の立場の3人で行なわれます。

博士はあらかじめ3つの命令を被験者に伝えます。
命令Ⅰ:簡単なテストで、相手が間違えたら電気ショックを与えて下さい
命令Ⅱ:間違える毎に電圧を15V上げて下さい(最高450Vまで)
命令Ⅲ:壁の向こうの人がどんなに苦痛を訴えても続けて下さい

被験者は部屋に入り、その壁の向こうにサクラのテスト参加者がいます。
被験者の前には“疑似電気発生器”が置かれ、テスト参加者に繋がっています(しかし、実際には繋がっておらず電気は流れません)。

テストは始まりました。サクラのテスト参加者が間違う度に、被験者は15ボルトずつ電圧を上げ電気を流します。

サクラは壁の向こうで「痛い!」という反応の声を上げます。そのうち「実験を止めて!」「た、助けて~!」、「ウ、ウワ~!」と声を上げます。
やがて電圧が高くなると、唸り声を上げた後に最後は反応がなくなります。

ほとんどの被験者は、あまりの心苦しさから途中で博士に実験の中止を申し入れます。しかし博士は、先ほどの命令に従って最後まで実験を遂行するよう冷酷に伝えます。

この実験の結果、40人の被験者のうち26人(65%)が最後まで実験を遂行しました。つまり、権威ある者による命令であれば、それが倫理的に間違った命令であっても多くの個人は服従するということが実証されたのです。

この実験は「ミルグラム実験 (Milgram experiment)」として現在も組織の心理学として語り継がれています。
組織において注意すべき心理学的課題ですね。


ミルグラム実験 (Milgram experiment)

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