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【J NOTE】観光・地方創生コラム

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観光や地方創生政策について書いたコラムをまとめたものです。1記事はそれぞれ大体2500~3500字ほどあります。
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#0 「J NOTE」について

はじめに 「J NOTE」では地方の市町村にスポットを当てて、過疎化の現況や地方創生に関する行政の取り組みなどについて取り上げます。 主に、大学生のレポート課題の題材探しや、通勤通学の電車内でサクッと読めるようなコラムにすることを目標に、なるべく客観的かつ中立的な立場から書いていきたいと思います。 もし、「J NOTE」を読んで興味のあるトピックが見つかった時は、このnoteの内容を全て鵜呑みにするのではなく、必ず自力でそのトピックについて調べることをおすすめします。そう

#26 木曽地域の未来 ―持続可能な産業づくりを目指して―

はじめに『J NOTE』第26回は、長野県の木曽地域を取り上げます。 木曽地域は長野県中部に位置し、広義的には御嶽山を中心とした「御嶽山系」と、木曽駒ケ岳を中心とした「木曽山脈」に挟まれた地域を指します。森林が面積の93%を占めており、開けた平地がほとんどないのが特徴です。 かつては、中山道が木曽地域を縦断するように整備されており、福島宿に置かれていた福島の関は「天下の四大関所」と呼ばれるほど、出入りの取締の拠点として重要な役割を担っていました。現在でも木曽地域は東西の

#25 人口減少時代におけるベッドタウンの未来―横浜市金沢区を例に―

はじめに『J NOTE』第25回は、神奈川県横浜市金沢区を取り上げます。 金沢区は、横浜市南部に位置する人口約19万人の区です。東京湾に面している地域は、「横浜・八景島シーパラダイス」や「三井アウトレットパーク横浜ベイサイド」など、人気の施設が数多く立地しています。また、横浜市立大学や関東学院大学のキャンパスが置かれているなど、文教都市としての側面も持ちあわせています。 一方海に面していない地域は、区を縦断する京急電鉄の沿線を中心に、1960年代ごろから住宅地として開発

#24 私立大学の公立化と地域貢献 ―山口県周南市と周南公立大学を例に―

はじめに『J NOTE』第24回は、山口県周南市を取り上げます。 周南市は、山口県中部に位置する人口約13.5万人の市です。かねてから重化学工業が盛んな街で、トクヤマや東ソー、日本ゼオンなどの総合化学メーカーが市内に生産拠点を置いています。 また、山陽新幹線徳山駅や山陽自動車道徳山東インターが市内に立地しており、下松市や光市など周辺地域への玄関口としても栄えています。 そんな周南市では2022年、市内に立地している私立徳山大学の運営が市に移管されたことで、新たに「周南

#23 大阪府門真市における「生き残り」を懸けた都市再開発事業

はじめに『J NOTE』第23回は、大阪府門真市を取り上げます。 門真市は大阪府北東部に位置する、人口約11.6万人の市です。大阪の都心部にもほど近く、かねてからベッドタウンとして発展してきました。市内には京阪電車や大阪モノレール、大阪メトロ長堀鶴見緑地線が通っており、公共交通機関のアクセスも良好です。 また、門真市はパナソニック(旧:松下電器)の本社がある街として知られており、守口市や東大阪市などの近隣の自治体と同様に工業が盛んな街です。 しかしながら、門真市は商工

#22 もうすぐ区が減る街 ―静岡県浜松市が取り組む未来の街づくり―

はじめに『J NOTE』第22回は、静岡県浜松市を取り上げます。 浜松市は、静岡県西部に位置する人口約79万人の市です。現在日本で15番目に人口の多い都市であり、2007年には政令指定都市にも指定されています。 浜松市には、スズキやヤマハといった日本を代表するメーカーが本社を構えており、自動車・バイク産業や楽器産業が盛んな「ものづくりの街」として知られています。 また、浜名湖周辺では浜名湖パルパルや舘山寺温泉などの観光地が多数立地しており、観光交流客数は1,189万人

#21 開拓して生まれた日本最後の市町村 ―秋田県大潟村―

はじめに『J NOTE』第21回は、秋田県南秋田郡大潟村を取り上げます。 大潟村は、秋田県の中央部に位置する人口約3,000人の村です。基幹産業は米づくりで、米どころが多い東北地方の市町村の中でも有数の産出額を誇っています。 そんな大潟村は、村域のすべてが八郎潟という湖を干拓してできた土地です。そのため、自然に形成された山や川などは村内に存在せず、また村全体が八郎潟の調節池と放水路で囲まれているという、全国的にも珍しい地勢となっています。 そこで今回の『J NOTE』で

#20 かつて四国への窓口だった街 ―岡山県玉野市の産業と街のありかた―

はじめに『J NOTE』第20回は、岡山県玉野市を取り上げます。 玉野市は、岡山県南部に位置する人口約5.4万人の市です。瀬戸内海に面する港町で、明治時代には市内の宇野港から香川県の高松港まで宇高連絡船と呼ばれるフェリーが就航するなど、玉野市は本州と四国を結ぶ交通の要所として近代以降に大きく発展してきました。 しかし2023年現在、宇野港から四国本土行きの定期船は運行されておらず、代わりに瀬戸大橋が通る隣町の倉敷市児島地区が「四国への窓口」という重要な役割を担っています。

#19 「ふるさと納税人気NO.1」ってどんな街? ―北海道紋別市の産業と観光―

はじめに『J NOTE』第19回は、北海道紋別市を取り上げます。 紋別市は、オホーツク総合振興局の北部に位置する人口約2.0万人の市です。オホーツク海に面しており、冬には沿岸に流氷がやってくることで有名な街です。 市内には鉄道や高速道路などは通っておらず、札幌や旭川方面からのアクセスにはもっぱら自家用車や高速バスが用いられています。また、市内に所在するオホーツク紋別空港に発着する定期便は1日1往復の羽田便のみに留まっており、他地域から紋別へのアクセスは決して良いものではな

#18 京都府城陽市 ―新名神開通後の新たな街づくり―

はじめに『J NOTE』第18回は、京都府城陽市を取り上げます。 城陽市は、京都府南部に位置する人口約7.4万人の市です。京都市と奈良市のほぼ中間に所在し、城陽市内から京都駅まで電車で約30分という立地であることから、1970年代ごろよりベッドタウンとして発展してきました。 しかし、現在では近隣の京田辺市や木津川市などで宅地開発が盛んであることから、城陽市内の人口は1995年ごろをピークに減少傾向となっています。 そんな城陽市では、2024年度の新名神高速道路開通に合わ

#17 都市部からめちゃくちゃ遠い街 ―和歌山県新宮市の産業振興―

はじめに『J NOTE』第17回は、和歌山県新宮市を取り上げます。 新宮市は、和歌山県南部に位置する人口約2.6万人の市です。新宮市は昔から熊野詣の拠点として栄えた街で、市内には「熊野速玉大社」や「権現山」など、世界文化遺産に登録されている神社や史跡が立地しています。 また、かねてから紀伊山地の豊富な森林資源を生かした林業が盛んであり、製紙業や木材加工業などが新宮市の基幹産業であるといえます。 そんな新宮市は、都市部からは非常に離れた場所にあります。 市街地にある新宮

#16 富山県南砺市のなんとびっくり!な芸術産業について

はじめに『J NOTE』第16回は、富山県南砺市を取り上げます。 南砺市は、富山県西部に位置する人口約4.6万人の市です。市内の南北には東海北陸自動車道が通っており、北陸新幹線の新高岡駅にも程近い立地であることから交通アクセスにも優れています。 南砺市は、2004年に平野部の5町村と山間部の3村が合併して誕生した市です。行政の中心は、警察署や市役所(2020年に福野地区から移転)などが置かれている福光地区ですが、平野部の福野・井波・城端地区にも市街地が分散しています。

#15 全国各地にたくさんある「高田市」

はじめに 『J NOTE』第15回は、全国各地にある「高田市」を取り上げます。 2023年1月現在、市の名前に「高田」が付く自治体は全国で4団体あります。そして、過去に新潟県に所在していた高田市(現上越市)を合わせると、これまで5つの高田市が存在していたことになります。 そこで今回の『J NOTE』では、全国に所在する「高田市」の特徴について、それぞれ見ていきたいと思います。 全国各地の「高田市」あつめてみました①上越市高田地区 ―歴史の風薫る街― 新潟県上越市は、人

#14 京都市における歴史文化に頼りすぎない「観光」づくり

はじめに『J NOTE』第14回は、京都府京都市の観光について取り上げます。 京都市は京都府南部に位置する、人口およそ144.8万人の市です。京都市は中世から近世にかけて1000年以上もの間、都が置かれていた日本随一の歴史を持つ街です。市内には清水寺や嵐山、伏見稲荷大社などの観光地が点在し、風光明媚な街並みと伝統文化が色濃く残っています。 また、京都市は外国人観光客からも人気の観光地であり、コロナ禍前年の2019年には延べ886万人が京都市を訪れるなど、日本を代表する国際