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世田谷区立小学校で実施されているPTAによる自転車安全教室について調べた

PTAの活動(社会教育活動)がどうして授業(学校教育活動)として扱われるのか疑問だったので調べてみました。記事は随時更新しています。

自転車安全教室は世田谷区から委託されているが、PTAは開催要件を満たすことができない

PTAが実施している自転車安全教室は、世田谷区が世田谷区立小学校PTA連合協議会(世小P)へ事業委託したものでした。

世田谷区は、世小Pへ事業委託する際に、対象児童(3年生)全員の参加を求めています。
PTAは、放課後や週末に実施しても全員参加を確保するのは難しいため、開催要件を満たすことはできません。
世田谷区はそれを知りながらも、世小Pに事業委託します。

自転車安全教室事業委託の流れ0
世田谷区が世小Pに事業委託した時点では社会教育活動である

毎年実施される校長会という局面で、世田谷区は校長に「自転車安全教室の対象児童全員参加への協力」を依頼します。
すると校長は、世小Pに委託された自転車安全教室を特別活動等の授業として採用します。この時点で自転車安全教室は学校教育活動となるのです。

自転車安全教室事業委託の流れ1
校長が授業として採用すると学校教育活動になる

基本的にはこのような流れでした。実際は校長が特別活動等の授業として採用することを前提に、世田谷区が世小Pへ事業委託していると思われます。

スタントマンが事故を再現する講座内容で、対象児童に交通事故被害者がおり参加が難しい場合には、
■ 希望者のみ参加できるよう放課後に実施するケース
■ 自転車安全教室実施中に代替授業を実施するケース
があるようです。世田谷区としては、放課後実施はあまり認めたくないようでした。

自転車安全教室事業委託の流れ2
放課後に実施する場合は社会教育活動のまま
自転車安全教室事業委託の流れ3
代替授業を実施する場合は学校教育活動

自転車安全教室は、このようなアクロバティックなフローで、社会教育活動から学校教育活動へ遷移していたのでした。

世田谷区は社会教育法に違反しているのでは?

■ 社会教育活動のままでは開催要件を満たせない事業をPTAへ委託している
■ 校長会で全員参加へ協力するようお願いしている
という点で、世田谷区は社会教育法に違反しているのではないでしょうか?

(国及び地方公共団体との関係)
第十二条 国及び地方公共団体は、社会教育関係団体に対し、いかなる方法によつても、不当に統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない。

この疑問について調べ始めた当初は、世田谷区から校長会への働きかけが社会教育法に違反していると思っていました。しかし図にしてみると、開催要件を満たせない事業をPTAへ委託している時点で違反していると思えてきます。

法律以前に、クリアできない開催条件で事業を委託する流れを「おかしい」とも自発的に「修正しよう」とも思わないことが問題です。結果として実施される自転車安全教室が悪いことではないからといって、不条理な流れを認めていたら、本当に問題のある流れを止めることはできません。
感覚が麻痺し、自発的な行動ができない大人が行政や教育について何かを決めていることがわかってしまい、残念な気持ちになりました。

PTA活動や区政はおかしな部分がたくさんあるにもかかわらず、改善には手間がかかるため、例年通りに活動することが目的になっているようです。個人情報保護法違反が指摘されようやくPTAに入会届が導入されたので、法律に違反していれば改善の手掛かりになると考え、社会教育法に着目しています。

委託の理由は「保護者を教育するため」

区立小学校なのだから直接学校に教育を依頼すれば良いのに・・・と思いませんか?実際、杉並区では同様の自転車安全教室を、学校主催の学校行事として実施していると聞きました。

校長が特別活動等の授業として採用することを暗黙の了解事項として、世田谷区がわざわざ世小Pに事業委託している理由は「保護者の参加を促すため」だそうです。PTA会員は「子供のため」と考えて活動していると思うのですが、世田谷区の目的は「子どものために保護者を教育すること」です。保護者への教育が必要という考えは正しいと思います。だとしても、学校が保護者に参加を促せば良いのですから、PTA活動にする必要性は無いのです。

もし世小Pが受託終了を決定したら、同じ内容の講座を学校主導で実施するだけです。自転車安全教育としては何も問題ありません。そしてPTAの負担は減ります。

一方、自転車事故件数都内ワースト1・2を争っている世田谷区は「対策している感」を出したいはずです。ということは、世田谷区から積極的に委託を終了することはないでしょう。委託によって各校のPTA校外委員を自転車安全利用推進員として確保できていますしね。

事業委託費は税金だが、PTA非加入世帯の保護者は対象外

この事業委託は税金から13,000円/校の事業委託費が支払われています。
参加対象者は
■ 対象全児童
■ PTA会員
です。PTA会費で実施されるものでは無いのに、PTA非加入世帯の保護者は参加対象として明記されいません。
この問題に対し区は「PTAに委託しているためPTA会員を参加対象としているが、非加入世帯の保護者も参加して構わない。非加入を理由に参加を拒否された場合は世田谷区に連絡するように。」と回答しています。
拒否されてから区に連絡していたら自転車安全教室は終わってしまいますよ。「対象全児童とその保護者」が参加できるように仕様を変更すれば良いのに、そうしない感覚は理解できませんでした。

PTAの会計を公開している小学校があるのでいくつか見てみたところ、自転車安全教室実施費用として13,000円を計上していない学校もありました。その場合でも返金はされていないようです。


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