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シチリア マフィアに抵抗する人たち

 マフィアというものに漠然とした憧れを抱いている人はいるだろうが、その発祥の地シチリアでは大多数の人がマフィアは不要で害悪と考えている。

 お店にふらりとやってきて、何かトラブルがあったら自分たちが顔を利かせて解決するから..などといってカネを要求してくるマフィアたちに、シチリアの人々は心底うんざりしていた。マフィアを立件、逮捕しようとする警察や判事たちは、ボディガードや家族ごと次々と殺されていった。..誰がそんな人々を好意的に思うだろうか?

 勇気ある若者たちが、ある日、マフィアに協力するのは尊厳を失う事だ!とキャンペーンを行った。皆が寝静まった深夜、街中にそのメッセージを記したステッカーを貼って回った。

 人々は、はじめ誰かのいたずらとみなして取り合わなかったが、若者たちは一つ一つの店、会社を訪れマフィアへの非協力を説得。いつしかそれはイタリア本国やEUの議員まで巻き込んだ広範なムーブメントへと発展した。

 かつてのように、マフィアが一般の会社や商店からみかじめ料をもらうのはだいぶ難しくなっている。

 海沿いにあるこのラウンジ/レストラン Kursaal Kalhesaも、自分たちはマフィアに協力しない!と堂々と宣言している。

 一階は飲み物と軽食をスタンディングで楽しみ、本格的な食事は二階のテラスで提供される。

 私が訪れた際、テーブルを担当した女の子はチュニジアに留学経験がありアラビア語を話せると言っていた。料理はどれも手がこんでおり、何度でも訪れたい店だ。

 (下の写真)脱マフィア運動を進めるAddio Pizzo(さよならみかじめ料)のメンバーたち。右の男性は創設者のひとりエドゥアルド。彼の奥さんはキャンディ・キャンディなど日本の漫画が好きで日本語を勉強中とのこと。

 (下の写真)マフィアへの非協力を謳っている生産者たちの商品のみ扱っているお店Punto Pizzo Free. マフィアからの脅しや嫌がらせはないの?と尋ねたが、「ない」という力強い答え。

 彼の後ろにあるのは歴史に残る大掛かりなマフィアたちの一斉検挙と刑務所送りを実現させたものの報復にあい妻と共に爆殺されたファルコーネ判事の言葉。

 その左、写真の男性はマフィアの一族に生まれながら反マフィアの活動に取り組み、これもまた殺害されたペッピーノ・インパスタート。エドゥアルドの車で彼の生家に連れて行ってもらった。

 勇気ある人々に心からの敬意を!

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