私は、好き。

私は、痴漢プレイと同じくらい野外露出が好きです。
誰にも言えない思春期からの悩み。
それをずっと心に秘めながら今に至っています。
親も夫も親友も知らない、あなただけが知っている私の秘密。
結婚を機に一度はやめたつもりだったのですが……。
人は簡単には変われないものですね。
その嗜好は心の奥深くまで根を張っているのでしょう。
いくら理性で押さえつけても「好き」は変えられないのです。

人気のない場所に向かうまでの高揚感が好き。

放課後の教室が好き。

朽ち果てそうな小屋が好き。

夜の河原が好き。

誰か居ないか探る緊張感が好き。

周りの音に重なる衣擦れの音が好き。

緊張で汗ばむ身体が好き。

まとわりつく衣服から解放されるのが好き。

肌で季節を感じるのが好き。

靴を脱ぎ捨てるのが好き。

足の裏に感じる地面の熱が好き。

近づく足音が遠ざかっていく安心感が好き。

ホックが弾ける瞬間が好き。

下着が爪先から抜ける瞬間の絶望感が好き。

一糸まとわぬ姿を晒す心細さが好き。

地面に乱雑に散らばる衣服が好き。

私の肌に映る木漏れ日が好き。

月明かりに照らされる身体が好き。

遠くから聞こえる人の声が好き。

身体を撫でる空気が好き。

私を貫く存在しない視線が好き。

脚を上げて奥を晒すのが好き。

見せつけるように胸を揉むのが好き。

お尻を突き出すのが好き。

四つん這いになるのが好き。

指を伸ばした先が濡れている時の気恥ずかしさが好き。

蠢く指が次第に早くなっていくのが好き。

小声で恥ずかしい言葉を言うのが好き。

自分を第三者視点で俯瞰するのが好き。

理性で心を抑えきれなくなる瞬間が好き。

思考が溶けていくのが好き。

私が私じゃなくなるのが好き。

一心不乱に絶頂を目指すのが好き。

こんな行為で頭の中を真っ白にしてしまうのが好き。

――我に返り現実に引き戻される瞬間が嫌い。

周囲を見回す時の恐怖が嫌い。

糸を引く指先が嫌い。

散らばる衣服を急いで集めるのが嫌い。

あわてて下着に脚を通すのが嫌い。

みっともなく盛り上がってしまった事が嫌い。

普通じゃない自分が嫌い。

それなのに、夜には次回の事を考えてしまうのが嫌い。

無意識に次回を求めてしまうのが嫌い。

――次回の計画を事細かに思案するのが好き。

思考の海に溺れていくのが好き。

妄想に没頭するのが好き。

どこなら安全に楽しめるか考えるのが好き。

いいアイディアを思いついた瞬間が好き。

私だけの自由な世界が好き。

脳内で予行練習をするのが好き。

空想の中の大胆な私が好き。

実際には出来ない過激な事を考えてしまうのが好き。

指の刺激に併せてエスカレートしていく妄想が好き。

脳内の男の動きをなぞるように身体をまさぐる両手が好き。

強引にパジャマを乱すのが好き。

酷い目に合う姿を妄想しながら達するのが好き。

次回の事を夢想し、まどろみながら眠りに落ちるのが好き。

――やっぱり私は、外で裸になるのが好き。