ショートショート「2×2=4」

「世の中ってほんと馬鹿が多いよな」
「ほんとバカばっかり。もうヤバくない?」
「ヤバい。マジ、ヤバいよ。もー、終わってるっしょ」
「なんで、みんな自分がバカだって気づかないのかな?チョー不思議じゃない?」
「馬鹿だな。自分が馬鹿だって気づかないから、馬鹿なんだよ」
「あ、あたしのことバカって言った―」
「シャレだよ。シャレ。シャレも分からないほど馬鹿じゃないだろ」
「もームカつくー」
「でも、マジで頭悪いやつ多すぎじゃね」
「しょーもないよね。でも、社会の歯車になるバカも必要なんだからほっとけば」
「まー馬鹿がいるおかげで、おれらが楽できるわけだしな」
「ねー、てかバカのふりしないといけない時とかもあるじゃん。あれ、つらくない?」
「ほんとマジでムリなんだけど」
「もーいつばれないかヒヤヒヤ」
「馬鹿のくせにカンのいいやつがいるからな」
「そーそー。バカってバカにされることにチョー敏感だから。そこかよ、みたいな」
「馬鹿ほど自分が頭がいいと思ってるんだよ」
「あー、だから傷ついちゃうのね」
「馬鹿を馬鹿にしないように馬鹿のふりをするって、もーどんだけ馬鹿なんだよって話じゃん」
「ほんとマジ勘弁」
「それに、馬鹿って言っても分かんないじゃん」
「わかるー。チョーめんどーだよね」
「こっちがちゃんと言ってんのにさー。なんで分かんないって、もー超ストレスだから」
「自分で考えなよって言いたくなるよね」
「うーん。でも、馬鹿にそれ言ったところでさー」
「コスパ悪いか」
「あいつらって自分で考えないじゃん」
「馬鹿の本領ってやつ」
「そー、まわりと違うことできないのよ。怖くて」
「マジうんこじゃん」
「まー馬鹿と鋏は使いようっていうけどな」
「使う側の苦労も考えてほしいよね」
「おれもほんと馬鹿に生まれたかったよ。楽だろーなーって思うもん」
「あたしもーそー。ほんと意味わかんない」
「…おい」
「え、なに?」
「言ってる意味分かるよな」


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