唯一無二の女性展の話
天王洲で開催中のこちらに行ってまいりました!
イヴ・サンローランの"片割れ"とまで言われたミューズ
BETTY CATROUX(ベティ・カトルー)に焦点を当てた今回の展示。
サンローランの現クリエイティブ・ディレクター、アンソニー・ヴァカレロが監修。
ベティからピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団へ寄贈された数々の貴重なピースを間近で見られます。
サンローランの歴史を辿りながら、彼女のアンドロジナスな魅力が存分に体感できる素敵な内容でした!
何となく、展示されるのは60~70年代のものが多いのかなと思っていたけど、90年代のオートクチュールコレクションのものが多くて意外に最近ねぇなんて言っていたら、友人に「90年代でもまあまあ昔だよw」と言われてハッとしました時の流れについていけてない…ww
どこにもいない完璧なスタイル、人に媚びない、芯のある、そして否が応でも周りを魅了してしまう。そんな人物。
今でこそ女性がメンズっぽい格好をするのも別に普通だけど、男性用のスーツを女性らしさを引き立たせるようにアレンジして作ったイヴ・サンローラン。それまで男!女!と2択しかなかったファッションの世界では革命的だったんだろうな。そのインスピレーション源になったのがベティ。
というわけでここからは、イヴ・サンローランの代表的なルック、キーワードを辿っていきましょう!
サファリジャケット
ワイルドで強い女性のイメージだけど、意外にも着こなしで変化が楽しめるアイテム。カチッとしたスーツスタイルから、若々しいミニワンピスタイルも。
フェミニンからマスキュリンまでいろんな着方ができる!
ルル・ドラ・ファレーズとイヴとベティ。ルルはベティとは対照的な雰囲気でキュート!
ベティはルルについて「彼女はとても陽気で楽観的だった一方で、私たちはすべてに悲観的だった」とも語っている。
レザー
サンローランといえばのブラックレザー。
流れるようなラインが美しいドレスや、ムダを削ぎ落としたつるんとしたジャンプスーツは、こんな滑らかな表面なのに、革なの?!という驚き。
素材自体の質の良さもあるんだろうけど、間近で見ると仕立ての良さがすごーく分かる。
タキシード
「THE メンズ服」なタキシードを女性が着ること。
その概念を作り出したのもイヴ・サンローラン。
ベティの着こなしは、素肌にジャケット、ノーアクセの潔さ。これはかなーりハードル高い、自信がないとできないなぁ。めちゃくちゃかっこいい。
(その昔、葉巻の灰がついても床に落ちやすいようにーってシルクサテンの喫煙用のスモックを着ていたって、知らなかった!!そこから派生してサンローランのレディス向けタキシードが作られたとか。)
ベティのインタビュー動画のなかで紹介している服の実物が!展示されててドキドキ。家ぐらいの値段の服とか言っててびびる。
シャネルにサンローランを紹介したり、ファッション史に残る逸話がバンバン飛び出す生ける伝説のベティ。
スカーフは大嫌い、結婚式にファーを着たり、自由でノールールな生き方がそのミステリアスな容姿に表れている。
誘惑が生きがいで、毎晩パーティー三昧、ときに羽目を外しすぎることも。
薬物更生施設に入院したり、、そんな時代もあったわ、と笑って話すところが、もう!
今でも若い子たちに混じって2時間ダンスをしているんだそう。すげーな。全く年齢を感じさせない。性別も年齢も関係ないわって感じ。
服に追いかけられる、逃げれは逃げるほど追いかけてくる、って言ってたのが印象的。そりゃーこんなザ・モデル!な人物、とにかく服着せてみたいもんな。
最後の展示室は、ベティへのトリビュートとして近年アンソニー・ヴァカレロが制作したウィメンズコレクション。
ここまで見てきたサンローランのスピリットが、現代へと脈々と受け継がれているのだなぁと実感できるコレクションだった…!
ほわぁ~っとした頭で会場を出ると、ドアマンの男性に
merci!アリガトウゴザイマシタ て言われて現実に引き戻された笑
会場ではQRコードでアクセスすると富永愛さまの解説を聴きながら観られるので、ぜひイヤホン持参で!
(これは私の理解力が乏しいからなのだけど、サイトの構成が分かりにくくて会場で存分に体感できずに帰宅後にゆっくり解説を読み込みました…作品を見ながら一つ一つ味わいたかった涙)
会期は12/11まで。LINEで事前予約制です。
※
(展示会内容は撮影OKでしたが、それ以外のポートレート写真は解説サイトの画像をお借りしました)
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